2021年3月2日 14:00

日本生協連 2020年度 家庭の食事からの放射性物質摂取量調査 結果について

~全国17都県で調査 7年連続すべて不検出~

 日本生活協同組合連合会(略称:日本生協連、代表理事会長:本田 英一)は、2011年度から「家庭の食事からの放射性物質摂取量調査」を10年間継続しております。2020年度は全国17都県の生協組合員176世帯のご家庭にご協力いただき、普段の食事2日分を検査しました。今回の調査でも放射性セシウムはすべてのサンプルで不検出となり、2014年度以降7年連続で不検出という結果となりました。

1.調査の目的

・一般家庭の日々の食事に含まれる放射性物質の量について、生協組合員の関心が高く、その実態を科学的に調査すること。
・東北、関東を中心に広く生協組合員の協力を得て、実際の食事と使用した食材に関する情報や食事に対する意識を調査することで、実情を把握すること。
・調査結果や関連情報を広く消費者の皆さまへ分かりやすく提供していくことで、現状を正しく理解するための一助とすること。

2.調査の概要

・調査期間:2020年7月16日~2020年12月28日
・実 施 数 :176世帯176サンプル(内、福島県50世帯50サンプル)
・対象地域:岩手、宮城、福島、群馬、栃木、茨城、埼玉、東京、千葉、神奈川、新潟、長野、山梨、静岡、愛知、岐阜、三重の17都県
・方 法 :各家庭の2日分の食事(6食分と間食)を1サンプルとして、すべて混合し測定
・検出限界:1Bq/kg(参考:図表1)
・測 定 器 :ゲルマニウム半導体検出器
・測定物質:セシウム134、セシウム137、カリウム40
・検査機関:日本生協連、コープ東北サンネット事業連合、コープデリ連合会、ユーコープ、東海コープ事業連合、コープこうべの商品検査センター

  • ※東北、関東を中心にこれまでに2011年度250サンプル、2012年度671サンプル、2013年度435サンプル、2014年度256サンプル、2015年度263サンプル、2016年度253サンプル、2017年度234サンプル、2018年度232サンプル、2019年度235サンプル、2020年度176サンプル、合計3,005サンプルを調査しています。

※参考値としてヨウ素131も測定しましたが、2011年度から2020年度までのすべてのサンプルで不検出でした。

3.2020年度の調査結果の概要と過去9年間の調査との比較

① 食事1kg当たりの放射性セシウムの量について
2020年度に調査を行ったすべてのサンプルで、放射性セシウムは検出されませんでした(検出限界:1Bq/ kg)(添付PDF P.4 図表2
2013年度までの各年度はいずれも放射性セシウムを検出したサンプルがありましたが、検出割合、放射性セシウムの最大値は、年度を追うごとに減少しており、2014年度以降は7年連続で不検出となりました(添付PDF P.5 図表3)。
10年間で3,005サンプルを調査した結果は、上記傾向となっており、放射性セシウムを1Bq/kg以上含む食事を継続して食べ続けている可能性は極めて低いと推察されます。

② 1年間当たりの食事からの内部被ばく線量について(放射性セシウム)
・2011年度から2020年度までの調査で、放射性セシウムを検出した食事を1年間継続して食べ続けた場合の推定内部被ばく線量をサンプルごとに算出し、年度ごとに比較しました(添付PDF P.5 図表4)。
・推定内部被ばく線量の最大値は、2011年度から2013年度にかけて徐々に低くなっていました。
・2014年度~2020年度は放射性セシウムを検出しなかったことから、食事に含まれる放射性セシウムからの内部被ばく線量は、2013年度当時よりもさらに低下していると考えられます。

③ 放射性カリウムについて
・原発事故に関係なく食品中に含まれる放射性カリウム(カリウム40)の測定結果は16~56 Bq/kgとなり、2019年度までの調査結果と同様にすべてのサンプルから検出されました。1年間の推定内部被ばく線量は035~0.33mSvとなり、過去9年間と同等のレベルでした。

4.食事サンプルを提供していただいた方々の声

アンケートに記入いただいた組合員の声を一部ご紹介します。

  • ・事故から何年も経ち、日頃は放射性物質に関する関心を忘れがちでしたが、こうして生協が変わらず調査をされている事で、安心もできますし、自身も関心を薄れさせずに食について考えなきゃと思うよい機会になりました。
  • ・友達が作った野菜(大根、白菜、キャベツ、人参)を食べています。近所のいただき野菜が安心かどうか、検査していただき、さらに結果を知り安心して食べられるので、毎年、野菜をくれる友人にも、検査してもらったと喜ばれています。
  • ・このような機会があり、生協で購入し、自分たちの口に入れるものが直接調べることができ、良い機会だと感じています。今後も継続していってほしいです。
  • ・放射性物質に対して正しい理解をしようと思える機会でした。サンプルとして役立つか心配ですが、今後も参加できる場合は、もっと色々な食材を提供したいと思いました。
  • ・原発事故が起きてから日が経つにつれ、放射性物質についての関心も薄れ、あまり考えないで食品摂取していました。子供のこれからも健康に影響があるのか、あらためて知りたいです。
  • ・心配事はキリがありませんが、少しずつでも検証し信頼感を得ていくことが大切だと思っています。ずっと震災後この調査を続けてこられておつかれ様です。関わらせていただき調査に参加できてよかったです。
  • ・検査の結果、というのは大きいと思います。もっとたくさん検出されると思っていましたが、数年でかなり安全だなと思える結果が出て一安心です。消えることはないけれど少しでも安全なものが出回る世の中であって欲しいと願います。10年間、検査ありがとうございます。

5.今後の予定

 2011年度より、実際の食事に含まれる放射性物質の量の測定結果を消費者の皆さまに提供し、現状を正しく理解する一助となるよう取り組んできました。生協組合員の協力のもと、調査を10年間継続してきたことにより、実態の把握を進めることができました。しかしながら、放射性物質による汚染の問題は依然続いており、不安や関心をお持ちの生協組合員がいます。そのため、今後は、不安や関心をお持ちの生協組合員の要望に応じて、全国生協と協力した身近な調査の1つとして、より柔軟な方法に切り替えながら、引き続き、実際の食事に含まれる放射性物質摂取量の調査を行っていきます。

<パンフレットのご案内>
調査を開始して10年が経過し、これまで生協組合員と全国生協とともに取り組んできた活動をパンフレットにまとめました。パンフレットはこちらhttps://jccu.coop/products/safety/radiation/pdf/method2021.pdf >からダウンロードいただけます。