2025年6月26日 10:00
唯一無二の「二刀流」の存在へ
株式会社ONODERAフードサービス(代表取締役社長:小野寺勇司、所在地:東京都千代田区)が運営する「銀座おのでら」ブランドは、「銀座から世界へ」を合言葉に、鮨をはじめとするさまざまな日本食を中心とするレストランを、世界3カ国21店舗(2025年6月現在)で展開しています。 各種メディアで取り上げられている統括総料理長・坂上 暁史氏とともに、「銀座おのでら」ブランドを牽引しているのが、総支配人兼統括ソムリエの大橋 哲藏氏です。 支配人とソムリエを兼任する「二刀流」スタイルは、昨今の飲食業界でも増加傾向にあります。しかし、大橋氏のように鮨・薪焼・天ぷら・うなぎ・ラーメンといった多様なジャンル、かつ高級店からカジュアルな店まですべてを網羅する「二刀流」は他に類を見ません。今回は、大橋氏が実践する「二刀流」の流儀、そして総支配人として思い描く「銀座おのでら」の未来についてお話を伺いました。
二刀流のサービスでお客様に特別感と安心感を
二刀流のサービスでお客様に特別感と安心感を与える 老舗フレンチ、高級ホテル、世界的なワイナリーの直営レストランなど、錚々たる一流店でソムリエ・支配人として活躍した後、「銀座おのでら」を運営する(株)ONODERAフードサービスに入社。2021年には**「薪焼 銀座おのでら」**(東京・銀座)のシェフソムリエに着任しました。「入社前は高級和牛専門店で支配人兼ソムリエを務めていました。店の評判は非常に良かったのですが、私自身、もっとグローバルに活躍したいという気持ちが強くなったため、次のキャリアを模索することにしました。そんな時、フレンチ時代の同僚だった寺田(惠一)シェフ(現・『薪焼 銀座おのでら』料理長)に誘われ、『銀座おのでら』ならば、私の夢を実現できると思い、入社を決めました」 当時すでに「薪焼 銀座おのでら」は、ミシュランガイドで1つ星を獲得していました。星付きレストランを任されることに相当な重圧を感じるかと思いきや、そうではなかったと言います。 「私自身、過去に星付きのレストランでソムリエを務めた経験がありましたので、プレッシャーはそこまで感じませんでした。それよりも寺田料理長はじめ店舗スタッフ・会社の方々が築き上げたものを壊してはいけないという使命感のほうが強かったです。しかし覚悟を決め、自分のできることを精一杯やろうと思いました。一番大切なのはお客様です。お客様にいかに満足していただけるかを第一に考え、全力で向き合っていきました」 。
「薪焼き」ジャンルの先駆けとしての挑戦
今でこそ「薪焼き」というジャンルのレストランは国内にも多数展開していますが、「薪焼 銀座おのでら」オープン当時は、まさに先駆けといえる存在の店舗でした。さらに、フレンチに和のエッセンスも加えた「薪焼フレンチ」という業態です。大橋氏にとっては未知なる挑戦でした。その中で特に意識したのは、「薪の香り」を活かしたワインのペアリングだったそうです。 「『薪焼 銀座おのでら』の料理の最大の特徴は、薪火で調理されることによって生まれる独特の香りです。ペアリングでは、この薪の香りをワインの香りの要素として捉え、それを活かせるワインを選ぶように心掛けています。例えば、熟成したニュアンスのあるワインは薪の香りとの相性が良く、料理とワインが一体となった奥行きのある風味を演出してくれます。もちろん季節感も大切にして、ペアリングの内容を柔軟に変えています」 大橋氏がセレクトしたペアリングは、世界的にも高い評価を得ています。
世界のVIPが絶賛した“記憶に残る体験”
お客様とのエピソードで特に印象に残っていることを尋ねると、以下の話を語ってくれました。「世界中の3つ星レストランを訪れているという海外のVIPのお客様に、『この店のペアリングが世界一だ。すべての組み合わせがパーフェクトだったよ』と言っていただいたことです。その時はスタッフ全員、お客様には見えないように隠れてガッツポーズをしてしまいました(笑)」。
支配人との「二刀流」でさらなる進化
2022年からは「薪焼 銀座おのでら」の支配人も兼任することに。これにより「二刀流」としての本領発揮となり、寺田料理長との息の合った連携でお客様をもてなし、ミシュランガイドの1つ星を現在まで5年連続で守り続けています。 ソムリエと支配人という2つの役割を兼ねる中で、それぞれの視点が相互にどう影響し合い、どのようなシナジーを生み出しているのでしょうか。「ソムリエはお客様の好みや料理との相性、TPOに合わせた最適なワインを提案するのが仕事です。一方、支配人の仕事はサービス全般に関わります。お店の雰囲気やスタッフの動き、料理を提供するタイミングなど、全体をコントロールしながら、お客様が快適に過ごせる空間を創造することが大切です。この2つを完璧にこなし、スムーズなサービスを行うことで、お客様は『自分のことをよく理解してくれている』という安心感と特別感を抱き、結果、記憶に残る特別な体験をご提供できるのだと思っています」。
「銀座おのでら」ブランド全店の統括ソムリエとして
「個性を生かす」指導方針で人材育成にも注力「薪焼 銀座おのでら」のシェフソムリエと支配人を兼任し始めた2022年、大橋氏はもう1つの重要なポストにも就きました。それが**「銀座おのでら」ブランドの全店の統括ソムリエ**です。 「総本店のような高級鮨をはじめ、廻転鮨や天ぷら、うなぎなど、『銀座おのでら』はジャンルも価格帯も異なるさまざまな店舗を抱えています。鮨に合うワイン、天ぷらに合うワインはそれぞれ違いますし、同じ鮨でも本店と廻転鮨では扱うワインの価格帯も変わります。もっと言うと、東京と関西、中国、アメリカと地域性によってもお客様のニーズは分かれます。統括ソムリエとして、各店舗に数か月に一度は足を運び、海外店舗とは月に一度オンラインでのMTGを重ね、それぞれに合ったワインをセレクトしています」 さらに、統括ソムリエとしてチームビルディングの構築にも着手しました。それまで交流が少なかったソムリエを集めてチームをつくり、意見交換や意志統一を図るなど、コミュニケーションを積極的に取るようにしたそうです。 「私以外に、現在グループには5人のソムリエがおります。彼らとどういう意図でそのワインを選んだのかなどをじっくり話し合うようにしました。また、交流することで風通しもよくなり、それまでは店舗ごとだった仕入れを一括化することができ、より多くの種類を効率的に使えるようになりました」。
「個性を生かすチームづくり」
もう一方の支配人として意識しているチームづくりについては**「個性を生かす」**をキーワードに掲げています。 「サービス哲学をいかにスタッフ全員に浸透させ、組織全体のサービス品質を高めていくかという課題を常に意識しています。サービスにおける『ホスピタリティ』を、私自身の経験から培った具体的な行動として示し、スタッフが自ら考え、行動できるような環境を整備することも心掛けています。そうすることで『チーム全体で最高のホスピタリティを提供できる』という強みを生み出せます」。
新業態「鮨 銀座おのでら 息子」と人材育成
2024年4月、新しい鮨の業態として「鮨 銀座おのでら 息子」の1号店が東京・渋谷に誕生しました。「本格鮨を気軽に楽しめるカウンター鮨入門店」をコンセプトに、圧倒的なコスパで「鮨 銀座おのでら」クオリティーの鮨を体感していただける店舗です。2025年3月には大阪・梅田に2号店がオープンし、今後は国内の都市部を中心に5年間で100店舗の出店を目指しています。それに合わせて今後は**新たな「人材育成」**にも力を入れていくとのこと「店舗拡大に比例して、ソムリエも増員していく予定です。人を育てるのは非常に難しいですが、今はもう頭ごなしに物事を押し付ける時代ではありません。それぞれの個性を把握し、どうすれば成長させ、チームに貢献できるようになるのかを考えて、伸ばしてあげることが大切だと思っています」 。
いざ未到の2つ星獲得へ
そしてその先に見据える未来、総支配人兼統括ソムリエとして、世界各国の店舗を巡回している大橋氏ですが、「今は『薪焼 銀座おのでら』が7割、そのほかの店舗が3割の比重になるよう調整しています」。そこには、並々ならぬ決意が込められています。それは**「薪焼 銀座おのでら」のミシュランガイドでの2つ星獲得**です。 「5年連続1つ星をいただいていて、もう一つ上の高みを目指す段階に来ていると思います。」寺田シェフと相談し、キッチン内のレイアウトを一部変更したことや新たに調理機材を導入したことで薪焼以外の料理のグレードもより高めることができました。また、会社からも後押ししていただき、料理のグレードに合わせたカトラリーや食器を揃えていただきました。ソフト面で必要なのは、より一層のサービスの向上です。薪の炎を見ながら、香りや料理を楽しんでいただくという空間づくりは変わりませんが、フルオープンキッチンなので全てのスタッフがお客様と会話できるよう、意識させています。あとはサービスの動作ですね。目線から指先まで、細かいところまで気を配り、それを積み重ねていくことで自ずと2つ星に近づいていくのではないでしょうか」。
大橋氏の未来構想
大橋氏は長期的視野で「銀座おのでら」の未来についても構想を膨らませています。現在は「GINZA ONODERA 鮨アカデミー」にてワイン講師として関わっていますが、今後は鮨職人の育成にとどまらず、サービスのプロフェッショナルを目指す人たちに向けた実践的な学びの場を整えたいと考えています。実践を通して学べる環境を整え、人財育成の裾野を広げていくことを視野に入れています。飲食業界は労働時間が長い、休みが少ない、上下関係が厳しいと思われがちですが、『銀座おのでら』は福利厚生がしっかりしていて、世界をフィールドに活躍できる環境が整っています。何より飲食業は、目の前のお客様に喜んでいただける楽しい仕事です。その魅力をこれからも発信していきたいです」 飲食業界全体の発展にも目を向ける、大橋 哲藏氏の体現する唯一無二の「二刀流」への挑戦、および「銀座おのでら」の今後にぜひご注目ください。
薪焼 銀座おのでら HP
https://onodera-group.com/makiyaki/