2019年6月5日 10:00

【抄訳】 インフィニオンがサイプレスを買収、収益拡大に向けて成長路線を加速

  • ・インフィニオンはサイプレス株式1株当たり23.85米ドル、総額90億ユーロで取得予定
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  • ・2022年までに年間1億8000万ユーロに上るコスト面における相乗効果、長期的には年間15億ユーロ以上の売上高における相乗効果の創出が想定される
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  • ・2019年末または2020年初めに買収完了予定で、買収完了後初年度の年度本決算から収益に改善が反映される見込み
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  • ・統合後目標とする事業モデル: 9%以上の売上成長、19%の事業部合計利益率、13%の投資対売上高比率

 

インフィニオン テクノロジーズ (FSE:IFX/OTCQX:IFNNY、以下インフィニオン) とサイプレス セミコンダクタ(NASDAQ: CY、以下サイプレス) は2019年6月2日 (ドイツ時間)/3日 (米国時間)、インフィニオンがサイプレスの株式を1株当たり23.85米ドル (総額90億ユーロ相当) で取得する旨の最終契約を締結したことを発表しました。

インフィニオンCEOのReinhard Plossは、「サイプレスの買収は、インフィニオンの成長戦略の実現にとって画期的な一歩です。当社は、利益ある成長の強化と加速を推進し、より広範囲に事業を展開していきます。今回の買収取引により、現実とデジタル世界の融合に向けた最も包括的なポートフォリオをお客様に提供できるようになります。また、自動車、産業機器、IoT分野において、今まで以上の成長がもたらされるほか、当社のビジネスモデルそのものの強化をももたらすでしょう。両社のイノベーションと研究開発に対するコミットメントを継続して共有し、引き続き技術発展を加速化させるために一丸となって取り組んでいきます。サイプレスからインフィニオンに新たな社員を迎えられることを心待ちにしています」と述べています。

サイプレスの社長兼CEOであるHassane El-Khouryは、「次世代技術の波におけるコネクティビティとそれに必要なコンピューターによる計算への需要が大きな高まりをみせているなか、インフィニオンと手を組み、この数十億米ドル規模の商機に資本を投下できることを嬉しく思います。今回の発表は、我々2社がソリューションを世界中にお届けできるチームとして強化されたということのみならず、素晴らしい2社が統合することでより多くのことを実現できるという証しでもあります。また、2社が一丸となることで、安全でシームレスなコネクティビティを実現できるだけではなく、当社お客様の製品や技術を強化させるハードウェアおよびソフトウェアを包括的により完全な状態で提供することが可能になります。さらに両社間の高い親和性は、お客様や従業員に対してもより良い機会をもたらすでしょう」と述べています。

サイプレスの取締役会長であるSteve Albrechtは、「過去3年に渡り、Cypress 3.0戦略の下、重要市場に集中するために全社的な組織再編を進め、大きな成果を上げてきました。今回の合意に至るまでに数社より関心をいただきましたが、当社チームの戦略と努力が最も評価されている提案を選択し受け入れることを決定しました。サイプレス株主の皆様にとっては、引き続き配当金が支払われることと、市場の株価を上回る一株当たり23.85米ドルという買収価格は大きな価値創造となります。この買収取引により、競争の激しい車載および産業、民生機器市場においてますます重要になる製品に新たな機会が生まれることでしょう。取締役会としては、Hassane El-Khouryが率いるサイプレスの素晴らしい経営陣に感謝します」と述べています。

 

成長の高い市場において強固なポジショニングが可能に

サイプレスが加わることにより、インフィニオンは成長を牽引する事業により注力し、幅広いアプリケーションへの対応が可能となり、近年高収益を遂げてきた成長がより加速されます。サイプレスは、マイクロコントローラーをはじめ、ソフトウェア、コネクティビティ製品を含む群を抜いた製品ポートフォリオを保有しており、インフィニオンがもつパワー半導体、センサー、セキュリティ ソリューションとの間に高い補完性があります。2社の技術資産を組み合わせることで、駆動装置、電池駆動装置、電源などといった高成長を遂げている用途向けに包括的で高度なソリューションを提供することが可能になります。また、インフィニオンのセキュリティに関するノウハウとサイプレスのコネクティビティに関するノウハウを組み合わせることにより、産業機器や民生機器事業においても新たにIoT領域への参入を加速させることができるようになります。特に自動車における高度な運転支援システムや新しい電子アーキテクチャの重要性が増すなか、マイクロコントローラーやNOR型フラッシュメモリが車載向け半導体ポートフォリオとして加わったことは非常に大きな可能性をもたらすでしょう。

サイプレスの米国における強い研究開発力と地理的なプレゼンスが加わることで、北米はもちろん他の重要性の高い国々におけるインフィニオンの主要顧客への対応能力が強化されます。シリコンバレーにおけるインフィニオンの研究開発分野でのプレゼンスが向上し、戦略的に重要性の高い日本市場におけるシェアも拡大します。同時に、インフィニオンの事業モデルをより強化すべく、規模の経済を拡大することも目指します。今回の買収により2018年度の概算売上が100億ユーロとなることから、インフィニオンは世界第8位の半導体メーカーとなります。また、既にパワー半導体とセキュリティ コントローラーの分野においてトップの地位を誇るインフィニオンは、自動車向け半導体においても最大のサプライヤーとなります。

 

統合完了後に見込まれる財務体質の改善

今回の買収はインフィニオンの財務体質の改善にもつながり、インフィニオンの株主は買収取引が完了した初年度から恩恵を享受できる見込みです。資本集約度は減少するものの、フリーキャッシュフロー マージンは増加する見込みです。インフィニオンは、デューデリジェンスの一環として想定される売上とコストの相乗効果を検証しましたが、想定される規模の経済により、コスト面では2022年までに年間1億8000万ユーロの相乗効果が見込まれています。補完的なポートフォリオによって提供できる半導体ソリューションがさらに増え、長期的には年間売上高の相乗効果は15億ユーロを超える見込みです。

インフィニオンは、統合完了後に目標経営モデルの適応を図る予定です。統合後は、通年9%以上の売上高増加と19%の事業部合計利益率を見込んでおり、投資対売上比率を13%にまで縮小させると予想しています。

 

買収取引の概要

インフィニオンとサイプレスは、インフィニオンがサイプレスの発行済普通株式を1株当たり23.85米ドルで取得することで合意しました。これは、サイプレスの株価算定 (完全希薄化ベース) の総額90億ユーロに相当します。この買付価格は、2019年4月15日から2019年5月28日 (サイプレスの売却可能性に関する報道が出る前の最後の取引日) の30日間において報道の影響を受けていない出来高加重平均株価と比較し約46%のプレミアムをつけたものです。

サイプレスは、買収完了まで引き続き四半期配当金の支払いを継続する予定です。これには、2019年7月18日に支払い予定の2019年6月27日時点の普通株式の終値を基準とした1株当たり0.11米ドルの四半期現金配当も含まれます。

本買収のための資金は、全額を銀行によるコンソーシアムから調達します。引き続き堅実な投資レベルの格付けを維持し続けるため、インフィニオンは最終的には取引額のうち約30%分をエクイティ、残りは新たな借入および手元資金から調達する予定です。当社の財務方針として掲げている戦略的な手元資金の確保という原則は、引き続き継続されます。

本買収案件は、サイプレスの株主と関連規制当局の承認、およびその他慣例となる買収条件を満たすことを条件とします。買収完了は、2019年末または2020年初頭を予定しています。

この度の取引に際し、インフィニオン側はCredit SuisseとJ.P. Morganが首席財務顧問を、Bank of America Merrill Lynchが財務顧問を務めています。Bank of America Merrill Lynchが主導し3行すべての銀行により資金調達融資が行われます。法律顧問は、Kirkland & Ellis LLPとFreshfields Bruckhaus Deringer LLPが務めています。

サイプレス側は、Morgan Stanleyが単独で財務顧問を、Simpson Thacher & Bartlett LLPが法律顧問を務めています。

 

サイプレスについて

サイプレスは、車載や産業機器、スマート家電、民生機器および医療機器など世界的な革新的製品向けに、最先端の組み込みシステム ソリューションを提供するリーディング カンパニーです。サイプレスのマイクロコントローラーや、アナログIC、ワイヤレスおよびUSBベースのコネクティビティ ソリューション、高い信頼性と高性能を提供するメモリ製品は、各種機器メーカーの差異化製品の開発と早期市場参入を支援します。サイプレスは、ベストクラスのサポートと開発リソースをグローバルに提供し、ユーザー企業が従来市場を破壊する新しい製品カテゴリを歴史的なスピードで市場投入できるよう支援します。詳細はサイプレスのウェブサイト (japan.cypress.com) をご覧ください。

 

インフィニオンについて

インフィニオン テクノロジーズは、暮らしをより便利に、安全に、エコに革新する半導体分野の世界的リーダーです。明るい未来の扉を開く鍵になる半導体をつくることが、私たちの使命だと考えています。2018会計年度 (9月決算) の売上高は76億ユーロ、従業員は世界全体で4万100人。インフィニオンは、ドイツではフランクフルト株式市場 (ticker symbol: IFX)、米国では店頭取引市場 (ticker symbol: IFNNY) のOTCQX に株式上場しています。

日本法人サイト: http://www.infineon.com/jp

本社サイト: http://www.infineon.com (英語)

※本資料は、独インフィニオン テクノロジーズ社および米国サイプレス セミコンダクタ社が6月3日 (ドイツ時間) および2日 (米国時間) に発表したプレスリリースの抄訳版です。正式言語が英語であるため、原文の発表内容が優先されます。英語原文はhttps://japan.cypress.com/news/infineon-acquire-cypress-strengthening-and-accelerating-its-path-profitable-growthをご覧ください。