2019年10月31日 00:00

建築業界のリアル

◎今こそ“建築業界の悪習”打破を! 全産業がICT導入やフレックス化を進め業務効率化を図っている中、建築業界ではこうした悪循環の労働環境の元日々の業務が行われている。 今まで建築業界で当たり前に行われていたことが、もう決して当たり前ではないということに早急に気づき、変化していく時代が来ている。

◎劣悪な労働環境

全産業と建設業界を比べた時、まず浮かびあがるのが“労働時間の違い”です。
労働基本法が定める法定労働時間は、1日8時間、1週間40時間、年間で最大2080時間と定められています。この範囲において事業者は
「所定内労働時間」を就業規則にて定めることができ、この「所定内労働時間」が短いほど休憩や休日が多いということになります。

厚生労働省の調査によれば全産業の平均が1,609時間である一方、建設業界は1,918時間であり、年間で300時間以上もの差が発生しています。

出典:国土交通省「建設産業の現状と課題

 

日数に置き換えると、全産業の平均出勤日数が224.4日である一方、建設業界は251.3日であり、年間で26日以上もの差が発生しています。
また、休日の取得に関しても、建築工事全体では、約73.5%の人が44休以下の就業をしている状況です。

出典:国土交通省「建設産業の現状と課題」

 

◎労働時間だけではない“建築業界の悪習”連鎖

 

経営層

・FAXなどの共有ツールでは時間と手間がかかるため、現場スタッフ・協力業者ので個々のやり取りに帰属しやすく現場が不透明である
・請求書が届いてからしか現場の原価が把握できず、会社として明確な金額が分からないということが発生してしまう
・毎月の現場スタッフの残業代がかさむ
・労働時間が長いなどの理由から職人が定着しにくく、人員が安定しない

現場スタッフ

・各種資料はFAX・メール・電話でのやり取りのため、伝達ムラ・送信ミスが発生する
・図面や現場写真などのFAXが必要な共有は、会社に行かざるを得ないので、時間のロスだけでなく交通費もかさむ
・現場で分からないことがあった時にすぐに確認を取る方法が電話しかないため、現場スタッフの電話が四六時中窓口になってしまう
・これらの対応に追われて本来の業務に充てる時間が減削されるので、現場管理に支障がでてしまう

協力業者

・どんな質問でも現場スタッフ経由での確認になるので、確認に時間がかかる
・現場情報の共有の漏れからクレームが発生する
・労働時間が長いなどの理由から職人が定着しにくく、担い手不足が深刻化している