2021年5月31日 11:30

松戸と東京2020オリンピック・パラリンピック

東京2020オリンピックの開幕までおよそ2カ月、東京2020パラリンピックまではおよそ3カ月となりました。新型コロナウイルス感染症の影響が懸念されますが、アスリートの皆さんは「いま、自分にできること」に専念しています。

今回は、出場内定を決めた松戸市ゆかりのアスリートや候補選手のほか、パラリンピック聖火の採火を担う子どもたち、ホストタウンに関する取り組みなどをご紹介します。

※掲載情報は2021年5月30日時点のものです。

Topics 01
レスリング女子代表・須﨑優衣選手が松戸市を表敬訪問

表敬訪問した須﨑優衣選手(1999年6月30日生まれ、21歳 / 早稲田大学 在学中)

表敬訪問した須﨑優衣選手(1999年6月30日生まれ、21歳 / 早稲田大学 在学中)

どん底からの復活劇。可能性を信じ、遂につかんだ五輪代表!

松戸市出身の須﨑優衣(スサキ ユイ)選手は、今年4月にカザフスタンで行われたアジア予選で優勝し、2位以内に与えられる東京2020オリンピックの出場権を勝ち取りました。代表に内定し、松戸市に凱旋した須﨑選手は市役所を表敬訪問し、「夢の金メダル獲得」へ意気込みを語りました。

須﨑選手がレスリングを始めたのは小学1年のとき。レスリングをしていた父親と姉の影響もあり、「やりたい」と自ら志願。瞬く間に上達し、全国大会で優勝を重ねるなど、次第に注目を集め始めます。この頃から、周囲の友達に「オリンピックで金メダルを獲る」と宣言していたそうです。

転機となったのは、中学2年に進級した2013年。さらなる高みを目指すため、JOC(日本オリンピック委員会)が有望選手にエリート教育を施す全寮制のJOCエリートアカデミーへ移り、生まれ育った松戸を離れました。そして同年9月には、東京でのオリンピック開催が決定。須﨑選手の夢が、「東京オリンピックで金メダルを獲る」になりました。

国内外全勝、中学生で唯一東京オリンピック強化選手に選出されるなど、その快進撃は高校生になっても止まりません。2・3年時には全日本選抜レスリング選手権大会を2連覇、3年時には世界選手権でも優勝し、大学進学後も数多くの大会を制してきました。

2019年7月、東京オリンピックの代表候補最有力と目されていた須﨑選手に最大の試練が訪れます。 東京オリンピックの代表選考となる世界選手権の代表決定戦で敗北。世界選手権代表の座を逃してしまいます。日本人選手がこの世界選手権で3位以内となった時点で、須﨑選手の「東京オリンピックで金メダルを獲る」夢がついえてしまいます。

須﨑選手のオリンピック出場は、限りなく厳しい。そのような雰囲気が漂うなか、吉村祥子コーチに「0.01%の可能性があるかぎり頑張ろう」と励まされ、トレーニングを再開しました。その諦めない姿勢が流れを変え、代表選考は振り出しへと戻りました。須﨑選手に一筋の光が見えてきたのです。

コロナ禍による大会延期を強化期間ととらえ、見事代表権を獲得!

須﨑選手は、同年12月に開催された「令和元年天皇杯 全日本レスリング選手権大会」の決勝で5カ月前の雪辱を果たし、2020年に開催されるアジア予選への出場権を獲得しました。「今度こそ、オリンピックの出場権を手に入れる。」 そう決意し練習を重ねていた最中、新型コロナウイルス感染症の流行により大会は延期に。国内のレスリングトレーニング施設も閉鎖され、オリンピックの1年延期が決定しました。

「延期する1年間を必ずプラスに変える」と決意した須﨑選手は、自身を見つめ直し、レスリング技術や筋力のさらなる強化に励みました。そして迎えた今年4月のアジア予選では、1ポイントも失うことなく全4試合でテクニカルフォール勝ちを収め、完璧な形で東京オリンピック出場権を獲得しました。

「2019年7月の敗戦で夢を諦めなかったのは、これまで支えてくれた友達や家族、応援してくださる方々がいたからこそ。諦めずに頑張って本当によかった」と語る須﨑選手は、東京オリンピックで金メダルを獲得し、「励ましてくれた方々へ恩返ししたい」と述べています。

須﨑選手が出場するレスリング女子フリースタイル50kg級は、オリンピック閉会直前の8月6日・7日に行われます。「夢の金メダル」を獲得して「母国開催大会」のオリンピックを有終の美で飾れるか、ご期待ください。

種目

レスリング女子50kg級

開催日

2021年8月6日(金)・7日(土)

会場

幕張メッセ Aホール(千葉市美浜区)

放送局

未定

 

応援のため、2019年12月に開催された「令和元年天皇杯 全日本レスリング選手権大会(アジア予選出場者を決定する大会)」も観戦したという本郷谷健次・松戸市長(左)

応援のため、2019年12月に開催された「令和元年天皇杯 全日本レスリング選手権大会(アジア予選出場者を決定する大会)」も観戦したという本郷谷健次・松戸市長(左)

須﨑選手へインタビュー

小学校時代の思い出や松戸についてお話をうかがいました。

ー表敬訪問を終えた感想は?

須﨑選手:母校の小学校の児童の皆さんからこんなに素晴らしい寄せ書きをいただけるとは思ってもいなかったので、嬉しくて鳥肌が立ちました。

母校・松戸市立六実第三小学校の全校児童375名と教職員からの寄せ書きを受け取る須﨑選手

母校・松戸市立六実第三小学校の全校児童375名と教職員からの寄せ書きを受け取る須﨑選手

ー須﨑選手はどのような小学生でしたか?

須﨑選手:学校の校庭や学校の隣の六実中央公園など、屋外で遊ぶのが好きでした。レスリングのほかに部活動もやっていました。季節限定でミニバスケットボールや陸上のハードル種目、あとは小学4年から6年までの3年間は吹奏楽部で、アルト・テナー・バリトンの3種類のサックスを吹いていました。

ー普段は都内在住で、トレーニングを積んでいらっしゃいますが、松戸に戻ってきたなと思う瞬間は?

須﨑選手:実家に帰ってきたときや地元の友人に会ったとき、あとは「金太楼鮨」に行ったときです。子どもの頃から、レスリングの練習後に通っていました。最近だと、アジア予選前の2月にも行きました。

ー縁起のよい、須﨑選手のパワーフードですね。オリンピック出場内定を決め、地元のご友人などの反応はいかがでしたか?

須﨑選手:「おめでとう」のメッセージをたくさんもらいました。「オリンピックで金メダルを獲る」と子どもの頃から宣言していたので、そのスタートラインに立ててよかったです。

ー最後に松戸市で応援している方々にメッセージをお願いします。

須﨑選手:私の出場する階級は、決勝戦がオリンピック閉会前日の8月7日に、地元・千葉県で行われるので運命を感じています。決勝に進出して金メダルを獲得し、東京オリンピックを締めくくりたいです。応援よろしくお願いします。

 

Topics 02
出場内定!松戸市ゆかりのオリンピック・パラリンピック選手

2021年5月30日現在、出場が内定している選手をご紹介します。

レスリング|皆川 博恵(ミナガワ ヒロエ)選手

<1987年8月19日生まれ、33歳 /クリナップ株式会社所属>

画像提供/クリナップ株式会社

東京2020オリンピックでのレスリング(女子フリースタイル76kg級)の出場が内定。2017年から松戸市内に在住。

中学・高校・大学と各世代で全国制覇を達成。明治杯全日本選抜選手権の初戴冠は2012年(72kg級)で、以降2019年まで現在8連覇中(2012年・2013年:72kg級、2014年~2017年:75kg級、2017年~2019年:76kg級。2020年は中止)。また、世界選手権では2017年から3大会連続でメダルを獲得し、昨年2月に開催されたアジア選手権では5年ぶりに優勝。オリンピック本大会でも、メダル獲得が期待されます。

開催日

2021年8月1日(日)・2日(月)

 

パラ・陸上競技|髙田 千明(タカダ チアキ)選手

<1984年10月14日生まれ、36歳 /ほけんの窓口グループ株式会社所属>

東京2020パラリンピックでのパラ陸上競技〔視覚障害T11(全盲)クラス〕の出場が内定。走り幅跳びと100mが専門で、両種目の現日本記録保持者。

先天性の疾患により19歳で全盲となった髙田選手が陸上を始めたのは20歳のとき。トレーニングを積むと2007年には100mで当時の日本新記録を更新。その後、結婚・出産を経て、2016年に初めてパラリンピックに出場。走り幅跳びで8位入賞を果たしました。2大会連続となる東京2020パラリンピックで、悲願のメダル獲得を目指します。

2019年5月から聖徳大学児童学部児童学科(松戸市岩瀬)の客員教授を務めています。

開催日

2021年8月27日(金)~9月5日(日)

 

パラ・卓球|竹守 彪(タケモリ タケシ)選手

<1993年10月10日生まれ、27歳 / TOMAX(卓球クラブ)所属>

東京2020パラリンピックでの卓球(クラス11・知的障がい) の出場が内定。松戸市出身で現在も市内在住。

ITTF(国際卓球連盟)のパラ卓球クラス11世界7位で、2大会連続のパラリンピック出場。前回大会は開幕直前の4月に手術をした影響もあり、予選リーグで敗退。「結果を残せず悔しい思いをした」ことから、今大会には並々ならぬ意気込みで準備をしています。近年の大会の結果も好調であることから、初のメダル獲得を狙います。

開催日

2021年8月25日(水)~9月3日(金)

 

パラ・アーチェリー|大山 晃司(オオヤマ コウジ)選手

<1991年10月21日生まれ、29歳 /警視庁所属>

東京2020パラリンピックで、W1クラス(四肢の障がい・車いすを使用)アーチェリーの出場が内定。専修大学松戸中学校・高等学校出身。

大学3年時、体操部の練習で事故に遭い、頚椎を損傷。リハビリも兼ね、様々なスポーツに挑戦するなかでアーチェリーと出会いました。首から下に麻痺があり、右手が不自由なため、口で弓を引くスタイルでトレーニングを積み、 2017年に初めて出場した障害者アーチェリー全国大会で優勝を果たしました。

開催日

2021年8月27日(金)~9月4日(土)

 

Topics03
出場内定までもう少し!候補選手と内定条件

1.東京2020オリンピック候補

2.東京2020パラリンピック候補

 

Topics04
松戸市少年少女発明クラブが採火する火が、東京パラリンピックの聖火に

科学とモノづくりの楽しさを学べる教室・松戸市少年少女発明クラブ※(松戸市新松戸)が、東京パラリンピック聖火の元となる「市町村の火」づくりを担当することになりました。

パラリンピックの聖火リレーは、オリンピックと異なります。「パラリンピック聖火はみんなのものであり、パラリンピックを応援する全ての人の熱意が集まることで聖火を生み出す」という理念のもと、競技が開催される埼玉県・千葉県・静岡県・東京都で行われる「聖火リレー」と、43道府県で行われる聖火の元となる火を採る「採火」、採火した火を集める「集火」、東京都で開催される全国集火式へ聖火を送り出す「出立式(総称して聖火フェスティバル)」で構成されます。

千葉県では、8月18日(水)に聖火フェスティバルが開催されます。各市町村ごとに独自の方法で「市町村の火」を採火したのち、県の中心部である市原市に集め、1つの「千葉県の火」をつくります。その後、競技会場のある千葉市内で聖火リレーを行い、開催都市東京へと送り出します。

同日、松戸中央公園(松戸市岩瀬)で、松戸市少年少女発明クラブの子どもたちが古式のひもぎり式で火を起こし、「松戸市の火」を灯します。

松戸市少年少女発明クラブは、2010年の千葉国体でも炬火をひもぎり式で起こしました(当時の様子)

松戸市少年少女発明クラブは、2010年の千葉国体でも炬火をひもぎり式で起こしました(当時の様子)

科学が盛んな新松戸エリア

松戸市少年少女発明クラブは、1983年6月の設立から37年以上に渡り、小学3年生から中学3年生までの少年・少女に、科学的な興味関心の追求、モノづくりを実践できる場を提供しています。歴史あるクラブで、指導実績の評判も高く、市外から通う生徒もいるほどです。2009年には、寄贈により「新松戸未来館(松戸少年少女発明クラブ会館)」がオープンし、土・日を中心に利用されています。

近隣には科学部が多くの実績を残している松戸市立小金中学校があります。同部は、ロボット競技大会「ロボカップ」世界大会のジュニアリーグに日本代表として出場するなど、活動が盛んです。

新松戸未来館

Topics05
ホストタウン・ドミニカ共和国、ルーマニアとの交流

国は、東京オリンピック・パラリンピックに向け、スポーツ立国、グローバル化の推進、地域の活性化、観光振興等の観点から、参加国と相互交流を図る自治体を「ホストタウン」として登録しています。

松戸市は、2016年12月に、ドミニカ共和国とルーマニアのホストタウンに登録されました。

ドミニカ共和国とは、2015年に行われた外務省の地方視察ツアーを契機に交流を開始。大使と市長の会談、同国の公使や大使の長男による市立松戸高等学校での文化芸術に関するプレゼンテーション、同国での梨栽培の支援など、様々な分野で交流を深めてきました。

ルーマニアとは、松戸市で毎年開催されている「七草マラソン大会」に、2016年に同国の陸上競技選手を招待したことを皮切りに交流が始まり、翌年の招待時には書道や茶道、学校給食を体験していただきました。また、他県でのレスリングワールドカップ出場のために来日した選手団を大会後に招き、松戸ジュニアレスリングクラブと交流を図りました。

本土寺での小金中学校の生徒たちとドミニカ共和国視察団の交流の様子

本土寺での小金中学校の生徒たちとドミニカ共和国視察団の交流の様子

ルーマニアカラーのゴールテープをつくった第四中学校の生徒たちと招待選手

ルーマニアカラーのゴールテープをつくった第四中学校の生徒たちと招待選手