2022年3月16日 10:00

「音楽の街 まつど」が全国を魅了!松戸の文化系部活動

松戸市内の小中高生の文化系部活動は、全国レベルで高く評価されています。特に2021年度は、合唱や吹奏楽・管弦楽がそれぞれ最高峰の大会で大活躍しました。本号ではそれらの部活動・個人を取り上げ、努力や工夫、困難を乗り越えた過程など好成績を収めるに至った経緯についてインタビューを基に紹介します。

※掲載情報は2022年3月15日時点のものです。

1.合唱

松戸市立第一中学校 合唱部

■ 第74回全日本合唱コンクール全国大会同声(女声)部門、混声部門:銀賞

松戸市立第一中学校 合唱部のみなさん

快挙!2部門で全国大会出場を果たす

千葉県大会、関東大会を勝ち進み「第74回全日本合唱コンクール全国大会(2021年10月31日、大分県)」へ出場した千葉県内でも屈指の合唱強豪校である松戸市立第一中学校合唱部は、今大会の出場校で唯一、女声・混声の2部門での出場という快挙を成し遂げ、いずれも銀賞を獲得しました。

銀賞という結果について、合唱部の部長を務めた伊藤果音さん(3年)は「もちろん金賞を目指していました」と語る一方で、「私たちは、“よい音楽を観客席のみなさんに届ける”ことを目標に練習に励んできました。今大会は観客のみなさんにも席で観覧いただけたので目標を叶えることができました」と語り、目標を実現できた喜びを表していました。

コロナ禍ではマスクの着用は必須で、換気を徹底しつつ練習に臨んだほか、口から飛沫が飛ばないよう屋外で傘を使いながら練習するなど様々な工夫を取り入れてきました。その心の中には、最後の大会が中止となり、出場できないまま卒業していった昨年度の3年生への思いがありました。「コンクールに出られないことが決まって悔し涙を流している先輩の姿が目に焼き付いています。先輩方の想いを背負って歌おうとみんなで心がけてきました(伊藤さん)」。

困難を乗り越えた結果つかんだ全国大会での経験は、1・2年生にとって大きな財産になるはずです。伊藤さんは、「全国大会で得た学びをこれからの合唱に活かしてほしいです」と代替わりした後輩たちにエールを送っていました。

部長の伊藤果音さん

松戸市立第四中学校 合唱部

■ 第74回全日本合唱コンクール全国大会 混声部門:銀賞

松戸市立第四中学校 合唱部のみなさん

快進撃の連続で全国大会初出場!

松戸市立第四中学校の合唱部は、2021年10月31日に大分県で行われた第74回全日本合唱コンクール全国大会(混声部門)に初出場し、銀賞を受賞しました。

部長を務めた押本基花さん(3年)は、「まさか初めて出場する全国大会で銀賞になるなんて思ってもみませんでした」と合唱部の快進撃に驚きを隠せなかったそうです。2021年4月に合唱部の目標を決める際に「関東大会出場」という案が出たとき、そんなにハードルを上げてしまってもよいのかと部員同士で議論が起こるほど、千葉県大会の突破は高い壁でした。

そんな高い目標を設定したくなったのも、2021年度から合唱部の顧問に就任した小倉孝勇先生の存在があったかもしれません。小倉先生は松戸市内の中学校・高校の合唱部を長年指導し、松戸市の学校の合唱レベル向上に貢献してきた立役者の1人です。押本さんが「何を考え、感じながら歌えばきれいなハーモニーになるのか。小倉先生の指導で体感できた部員がたくさんいます」と語るほど。新型コロナウイルス感染症の影響によって練習時間や方法などに様々な条件や制約が出てくる中、先生の指導のもと濃密で効率的な練習に短時間で取り組みました。

その結果、合唱は一気に上達。県大会直前に開花し、当初の目標であった関東大会出場の目標をクリア。さらには関東大会でも金賞を受賞し、全国大会への初出場も果たしました。全国大会では強豪校の演奏に圧倒されてしまい、自分達の歌唱に不安を覚えました。それでも先生方からの「そのままで大丈夫。悔いなく歌おう」という言葉を励みに本番に臨み、悔いのない合唱を披露できたそうです。

松戸市立第四中学校は、これから全国大会の常連となれるのか。その挑戦は始まったばかりです。

部長の押本基花さん

2.吹奏楽・管弦楽

松戸市立松戸高等学校 吹奏楽部

■ 第21回東日本学校吹奏楽大会 高等学校部門:金賞
■ 第27回日本管楽合奏コンテスト 高等学校A部門:優秀賞・ヤマハ賞

松戸市立松戸高等学校 吹奏楽部のみなさん

成長し続けるための武器は“きずなの固さ”

松戸市立松戸高等学校吹奏楽部は、千葉県大会、東関東大会を勝ち進み、小編成の吹奏楽コンクールの最高峰「東日本学校吹奏楽大会(2021年10月9日・10日、北海道)」へ創部以来初となる出場を果たし、金賞を受賞しました。

「私たちの強みは“きずなの固さ”」と語るのは、部長の川上奈々さん(3年)です。「きずなの固さを生み出せる理由は、学年の上下に関係なく意見を交わし合える環境が吹奏楽部の伝統として根付いているからです」と教えてくれました。

しかし、ここまでの道のりは平坦ではありませんでした。新型コロナウイルス感染症の影響による相次ぐ緊急事態宣言のため、以前のようなスタイルでの練習はできなくなってしまいました。部員全員で一斉に合わせる機会が激減した分は、個人練習のほか低音やメロディーといったパート別練習の充実で補い、少人数だからこそ気づける課題をひとつひとつあぶり出し改善していきました。コロナ禍以前よりも練習時間は減ってしまったものの練習の効率性は上がり、演奏力が伸びていったことが今回の結果につながったそうです。

精神面で吹奏楽部を勇気づけてくれたのは、昨年度の卒業生でした。昨年の大会が開催されずステージに立つことができなかった卒業生たちが千葉県大会の前日に応援に駆けつけ、エールを送ってくれたことも励みになり、気持ちよく演奏に臨むことができました。

東日本大会を経験した1・2年生は「3年生が築いてくれた部員同士のつながりを大事にするスタイルで、どこでも胸を張れるような演奏ができるようになりたい」と意気込みます。強みである「きずなの固さ」に導かれ、今後のさらなる活躍に期待が集まります。

〔左から〕部長・川上奈々さん、副部長・田代凜花さん

松戸市立第三中学校 吹奏楽部

■ 第21回東日本学校吹奏楽大会 中学校部門:銀賞

松戸市立第三中学校 吹奏楽部の演奏の様子

先輩の思いを胸に挑んだ「目指せ、全国」

2021年10月9日・10日に北海道で開催された小編成の吹奏楽コンクールの最高峰「東日本学校吹奏楽大会」に初出場した松戸市立第三中学校吹奏楽部は、「素直さとひたむきさ」を武器に銀賞を獲得しました。

部長を務めた長井雫さん(3年)が強みである「素直さとひたむきさ」を意識して練習に臨むよう他の部員に働きかけ続けた甲斐もあり、顧問の大門昇平先生が「目の前に現れた壁に立ち向かい、あらゆることを吸収しようとする柔軟性がある」と評する吹奏楽部は、大きな成長を遂げました。

「昨年度の卒業生の分までよい演奏をしたい」という想いも、吹奏楽部の原動力のひとつでした。コロナ禍のため中止となった最後の大会に出場できなかった卒業生たちは、長井さんたち後輩の前で涙を流しながら悔しがる姿を見せたと言います。そんな卒業生たちが吹奏楽部の黒板に書き残した言葉は「目指せ、全国」。後輩たちは、その想いを見事に叶えたのです。インターネット配信で大会を観覧した卒業生たちも結果に大喜びしたそうです。

新型コロナウイルス感染症の影響により、音を取る力を高めるための歌唱練習ができなくなったり、演奏力を高めたい時期に全体での合奏の機会が減ったりと長期に渡って難しい状況が続きました。それでも状況を受け止め、基礎練習を繰り返し、各楽器のパートリーダーたちでミーティングを毎週開催するなど、今できることに素直にひたむきに取り組み続けました。「東日本学校吹奏楽大会」での銀賞は、吹奏楽部の強みが存分に発揮された必然の結果なのかもしれません。

部長の長井雫さん

松戸市立小金中学校 吹奏楽部

■ 第10回日本学校合奏コンクール2021 全国大会グランドコンテスト:金賞・千葉市教育長賞
■ 第27回日本管楽合奏コンテスト 中学校B部門:最優秀賞・審査員特別賞

松戸市立小金中学校 吹奏楽部のみなさん

挫折を糧に。諦めない姿勢が導いた受賞

松戸市立小金中学校吹奏楽部は、2021年11月に開催された「第10回日本学校合奏コンクール2021 全国大会グランドコンテスト」で金賞と千葉市教育長賞、「第27回日本管楽合奏コンテスト」で最優秀賞と審査員特別賞を受賞しました。

同校は、吹奏楽の最高峰である「全日本吹奏楽コンクール 全国大会」に2016年から2019年まで4年連続で出場してきた常連校です。しかし、2020年のコロナ禍による大会中止を経て2年ぶりに迎えた2021年は、県大会も突破できませんでした。部長の小野日々樹さんは「大会が中止になり演奏できないまま卒業していった先輩に合わせる顔がない」と部全体が失意に陥ったことを、また、顧問の須藤卓眞先生も「大会数が激減したり、観客席に人がたくさんいる状態で演奏する機会がなかったり、モチベーションを上げるのが難しかった」とこの時の心境を教えてくれました。

この悔しさを次につなげたい。吹奏楽部はすぐに立ち上がりました。部員たちは、自分たちに不足しているものを補うために基礎練習やパート毎の練習内容を見直しました。須藤先生はポップスの演奏会へエントリーし、コンクール曲以外を演奏して息抜きできる機会を設けるなど、技術・精神の両面で良い環境の整備に取り組みました。「吸収力があり、努力もできるメンバーが揃っている」と須藤先生が評する吹奏楽部は目覚ましい成長を遂げ、冒頭の受賞につながりました。小野さんは、「観客席に人がいる中での演奏は気持ちよく、拍手を浴びれて達成感も格別でした。有観客での演奏経験の少ない1・2年生のモチベーションも上がったと思います」と当時を振り返りました。

代替わりの際に「みんなで団結して音楽を楽しんでほしい」と小野さんが伝えた通り、後輩たちは2年生を中心に結果を出しています。昨年12月の「千葉県アンサンブルコンテスト」ではフルート四重奏、クラリネット四重奏が共に金賞を受賞、クラリネット四重奏は今年1月の「東関東アンサンブルコンテスト」で銀賞を受賞しました。小金中が「全日本吹奏楽コンクール 全国大会」へ返り咲く日も、そう遠くないかもしれません。

部長の小野日々樹さん

松戸市立第六中学校 管弦楽部

■ 第10回日本学校合奏コンクール2021 全国大会 グランドコンテスト、ソロ&アンサンブルコンテスト・アンサンブル部門:金賞
■ 第27回日本管楽合奏コンテスト 中学校A部門:最優秀賞

松戸市立第六中学校 管弦楽部の演奏の様子

コロナ禍を言い訳にしない・させないを貫き通した好演

松戸市立第六中学校の管弦楽部は、「日本学校合奏コンクール」のグランドコンテスト(大編成)とソロ&アンサンブルコンテスト・アンサンブル部門で金賞を、「日本管楽合奏コンテスト」中学校A部門で最優秀賞を獲得しました。

顧問の岡田由枝先生が「練習時間が確保しづらかったり、部員全員で集まって練習できなかったりした」と話す通り、コロナ禍は他校と同様に六中管弦楽部の練習にも大きな影響を与えていました。「自分のパート以外を聴かせるべき所で音を大きく出してしまうなど、演奏全体の調和をとるのが難しかった(部長・赤川莉央果さん)」 、「弦楽器の弓順(弦を下から上に引くか、上から下に引くかで音の強弱や聞こえ方が変わる)を決めるのに苦労した(コンサートミストレス・砂川梨乃さん)」と管・弦それぞれのリーダーが思い返すほど、曲を仕上げることに苦心しました。

そのような状況でも頑張れたのは、「コロナ禍だったから演奏がうまくいかないのも仕方がないと自分たちで絶対に思わないように、そして周りの人たちに思わせない演奏にしたい(砂川さん)」 、「大会が中止になり、出場できないまま引退した先輩の分まで演奏したい(赤川さん)」という部員の強い意思があったからこそでした。

そこに、六中の強みである「明るさ」、「傾聴力」、「諦めない粘り強さ」が掛け合わさりました。あらためてスコアを読み直して各パートの役割と楽曲の展開をより深く理解したり、お互いの演奏の課題を指摘し合って改善点を見つけたり、個人・グループの努力が結実し数々の好成績につながりました。

〔左から〕部長・赤川莉央果さんとコンサートミストレス・砂川梨乃さん

その他の学校の「吹奏楽部・管弦楽部」の活躍

千葉県立小金高等学校

第27回日本管楽合奏コンテスト 高等学校B部門:優秀賞
第23回全日本高等学校吹奏楽大会in横浜:連盟理事長賞

松戸市立栗ケ沢中学校

第27回日本管楽合奏コンテスト 中学校B部門:優秀賞

光英VERITAS中学校・高等学校

第21回東日本学校吹奏楽大会 高等学校部門:金賞

 

3.声楽

鳥羽 寿光さん(松戸市立松戸高等学校 合唱部)

■ 第75回滝廉太郎記念全日本高等学校声楽コンクール:第1位

松戸市役所への表敬訪問でコンクールでも歌った『O del mio amato ben』を披露する鳥羽寿光さん。艶と伸びのある見事な歌声で、会議室がオペラ会場のようになりました。

夢は「ジャンルにしばられないオペラ歌手」

2021年10月に開催された「第75回滝廉太郎記念 全日本高等学校声楽コンクール」で、松戸市立松戸高等学校 合唱部3年の鳥羽寿光さんが1位に選ばれました。千葉県内から初、関東でも2人目となる快挙を成し遂げました。

『春』や『荒城の月』といった名曲を生み出した作曲家・滝廉太郎とゆかりのある大分県竹田市で開催される同大会は、歴史ある若き声楽家の登竜門といわれており、過去に1位となった方々には国内外で活躍する声楽家たちが名を連ねています。

鳥羽さんが合唱に取り組み始めたのは松戸市立第一中学校の合唱部で、音楽を学ぶために進学した市立松戸高校でも合唱部に入部しました。中学1・2年および高校1年時には、当時の合唱部顧問だった小倉孝勇先生(現在松戸市立第四中学校合唱部顧問)に師事し、声楽コンクールへの出場を薦められたのをきっかけに高校2年からコンクールへの出場を始めました。

歌唱動画審査で千葉県の代表として選ばれた鳥羽さんは、本大会では課題曲として『荒城の月』(作曲:滝廉太郎)、自由曲として『O del mio amato ben』(作曲:ステファーノ・ドナウディ)を披露し、伸びと艶のある歌声が評価され1位を勝ち取りました。副賞にはオーストリア・ウィーンへの短期留学の助成金があり、「自分と同年代で声楽を学んでいる人たちがどのようなレベルなのかを知りたい。刺激を受けてきたい」と留学への意欲を示していました。

鳥羽さんは、有名音大への進学を目指して日夜勉学に励んでいます。夢はオペラ歌手になることで、目標とするのは世界三大テノールの1人だったイタリア人のルチアーノ・パヴァロッティです。鳥羽さんは「彼はクラシックやロックなど、音楽のジャンルにとらわれない活動をしていました。私も同じようにジャンルにこだわらないオペラ歌手になりたいです」と将来像を描いていました。音楽のジャンルも世界も軽く飛び越えていく。そんなアーティストへの成長が今から楽しみです。

 

その他の分野での文化系部活動の活躍

光英VERITAS中学校・高等学校 書道部

第45回学芸書道全国展:最優秀団体賞

<ご参考>
同校の書道部のみなさんが松戸市の広報紙『広報まつど』の2022年1月1日発行号の表紙のために、縦3メートル・横6メートルの大作を製作してくださいました。作品制作の動画と作品の画像は下記のURLからご覧いただけます。
https://www.city.matsudo.chiba.jp/matumado/2021/gantangou_veritas.html