2020年2月18日 13:30

夜間照明のないヘリポートでも約10分の設置で緊急離着陸ができるようになる 簡易式ヘリポート夜間灯火「HEXAGON(ヘキサゴン)」を開発

国立大学法人岐阜大学と学校法人ヒラタ学園(本社:兵庫県神戸市、理事長:平田 勇)は、全国の90%以上のヘリポートで夜間照明が整備されていないことにより、災害救命ヘリコプターの日没後における飛行に制限がある現状の対策として、離着陸が必要なヘリポートにキャリーバック式の収納ケース一つで持ち運べ、約10分という短時間で設置できる簡易式ヘリポート夜間灯火「HEXAGON(ヘキサゴン)」を開発、2020年4月1日から全国の自治体、消防、警察、民間ヘリ離着陸場等の施設向けに販売を開始します。

この照明システムは、航空法で定められた飛行場外での離着陸基準である、境界灯(黄色)8灯、境界誘導灯(緑色)8灯、風向灯(白色)1灯の構成となっています。付属品も入れた総重量は約35㎏という軽量化を実現、専用のキャリーバックに収納し大人一人でも持ち運びできる仕様になっています。高輝度LED集合ランプを使用した灯具は、電源ケーブルでつなぐ必要がなく一つひとつが単三アルカリ乾電池で発光します。点灯はリモコンで操作可能です。(将来的にはコックピットからの操作可能になる予定)収納ケースには、容易に設置できるようマーキングされた巻尺が付属されており、10分ほどの時間で航空法の基準に準拠した灯具の配置が可能となります。一つの灯具の大きさは縦150㎜×横150㎜×高さ30㎜(重し用鉄製底板を入れると50㎜)の六角形、重量は1.2㎏(鉄製底板含む)で、ボルト等で地面に固定する必要もありません。なお、ヘリのプロペラから吹き降ろす強い風(ダウンウォッシュ)でも飛ばされないことをタイプの違う小型から大型ヘリを使用した実証実験で確認しています。

ヘリの航空運送事業に携わるヒラタ学園の調べでは、各市町村はヘリによる人員搬送や物資輸送などを目的に災害用のヘリ離着陸場を設定しておりますが、90%以上のヘリポートでは夜間照明が未整備になっており、十分なヘリ夜間体制は構築されておりません。ヒラタ学園の所在地である兵庫県でも868カ所のヘリ離着陸場(救急ヘリ離着陸箇所数)がありますが、空港1カ所と病院4カ所に常設の夜間照明設備があるだけです。今後、発生が懸念されている大規模災害が起こった際、ヘリによる救援活動が欠かせないことを考えると、早急に24時間運航ができる体制を整える必要に迫られています。

ヘリポートの夜間照明は、空港や病院のヘリポートにあるような常設タイプがありますが、電気工事を伴うため約1000万円と高額であり、臨時のヘリポートまで導入するには費用面で高いハードルがあります。また、可搬式のタイプも販売されていますが、発電機などの電源が必要なケーブル式や総重量が重く何人ものスタッフがいなければ設置できないなど、費用と利便性が原因で普及を妨げてきました。
今回発売の製品は、これらの社会的課題があることを前提に、使いやすく低価格な照明システムを念頭に開発しております。それぞれの新製品にかかわる役割ですが、開発は国立大学法人岐阜大学工学部機械工学科が担い、製品化と量産は岐阜大学に在籍している学生たちが立ち上げた学生ベンチャーの株式会社ヒューロビントが担当します。販売は学校法人ヒラタ学園が行います。

■新製品の開発プロジェクトが発足したきっかけ
医療、福祉、介護施設の給食事業をしている日清医療食品株式会社は、災害時でも給食事業を継続できるよう有事にヘリ急支援物資の空輸をできる体制を構築している。
過去の災害においてもヘリを使用しての空輸を実施しているが、平成30年7月豪雨時において、天候の回復から夕刻にしかヘリを使用できなかったことから、夜間でもヘリを活用できれば、より多くの支援が可能になると考えていました。
学校法人ヒラタ学園と有事の際に支援物資の搬送を可能とする契約の締結や、実際に平成30年7月豪雨災害時の搬送を経験しているなどの背景がある中、ヒラタ学園から移動式夜間照明の開発を相談されたことを契機に、プロジェクトが動き始めました。
日清医療食品が岐阜大学工学部機械工学科を紹介し、また同大学から賛同を得たことから本格的な開発が進められ、製品化に成功いたしました。

■実績紹介
和歌山県では、災害時における防災ヘリ等の夜間運航体制を強化するため、ヘリポートに照明設備の整備を決定し、この新製品13セットを今年1月下旬に納入しました。

― 新製品概要 -

製品名 :簡易式ヘリポート夜間灯火「HEXAGON(ヘキサゴン)」
販売開始日 :2020年4月1日
販売価格 :130万円(消費税別) 下記セット販売(境界灯8、境界誘導灯8、風向灯1、リモコン、巻尺、乾電池、取り扱い説明書、設置サポート機能付き収納ケース)
販売形態 :学校法人ヒラタ学園 直接販売 ※今後販売網の構築も検討
販売対象 :都道府県防災部局、市町村防災部局、消防防災航空隊、自衛隊・海上保安庁・警察航空隊、病院、ゴルフ場、民間航空会社等
販売目標 :発売開始1年後の目標100セット、発売開始10年後1000セット
仕様 :別紙の商品仕様書をご参照ください

■この新製品に関する問い合わせ先
学校法人ヒラタ学園航空事業本部 担当 小笠原 電話番号078-304-5725
E-mail:ogasahaera@aerohirata.co.jp 携帯090-5245-9094(報道関係者の方の連絡先)