2022年2月24日 14:00

「近畿エリア 空き家所有者に対する意識調査」~アキサポ空き家総研~

空き家を所有した経緯は「相続」が最も多く、物件タイプは「一軒家」が約8割 近畿エリアは、空き家放置の問題・リスクへの認知が高い一方で 貸す・売却するなど空き家活用を検討した所有者は5割未満に

アキサポ空き家総研(運営:株式会社ジェクトワン、以下、ジェクトワン)は、全国で急増する空き家問題の解決に貢献すべく、空き家所有者に向けた意識調査の実施、空き家問題の啓発に寄与する様々な情報や空き家に関する最新トピックをメディアの皆様に発信しています。

ジェクトワンでは、2021年2月に実施した東京都内の空き家所有者への空き家に関する意識調査に続き、近畿エリア(2府5県)内に空き家(※)を所有する人を対象に、その実態を把握すべく「近畿エリア 空き家所有者に対する意識調査」(調査期間2021年11月29日~30日)を実施しました。本ニュースレターでは、空き家の所有実態、空き家に関する法制度や空き家問題への認知度、空き家活用に向けた行動の実態から、近畿エリアの空き家問題の特色やそれを解決する手がかりを考察します。
※誰も住んでいない、利用していない、借り手や売り手も探していない物件と定義

~【アキサポ空き家総研】 2021年度実施 「近畿エリア 空き家所有者に対する意識調査」サマリー~

【1】 空き家の所有実態
近畿エリアの空き家で最も多い物件形態は「一軒家」で79.0%と約8割を占め、空き家を所有した経緯は「相続」が最も多く、6割(62.9%)を超える結果に。

Q.どのような経緯で空き家を所有されましたか。(n=310名)

Q. 所有している空き家はどんな形態ですか。最もあてはまるものでお答えください。(n=310名)

【2】 空き家所有者の空き家に対する知識や意識        
空き家対策特別措置法の認知度(※)は約5割(49.7%)で、空き家を放置する年数が長くなるほど低くなり、10年以上放置した所有者の「法律の具体的な内容まで知っている」は4.7%にとどまる。
空き家を放置することで起こる問題として最も認知されているのは「湿気がこもって、建物が倒れやすくなる」(45.8%)で、「知っているものはない」と回答した人は23.9%にとどまり、空き家放置の問題・リスクの認知は高いという結果に。
※「法律があることを知っている/名前を聞いたことがある」、「法律の具体的な内容を知っている」の合計

【3】 空き家活用の検討の有無、検討した際の相談先について
貸す・売却するなど空き家活用を検討したことのある人は、全体で47.4%と5割に満たず。
相談先として最も多かったのは「不動産会社」(41.5%)で、「公的な相談窓口」、「リフォーム会社」等を加えた企業・公的機関等への相談の合計は約6割(59.2%)という結果に。

【Topic】 空き家の専門家に聞く!近畿エリアの空き家事情と空き家活用のポイントとは

空き家数の増加は全国で進んでいますが、近畿エリアも例外ではありません。

とくに大阪府は、東京都に次いで空き家数が多い都道府県ですが、中でも大阪府吹田市の空き家は38,710件と、大阪府で最も多いエリアとなっています。吹田市が特に注視しているのが、「高齢者夫婦世帯」と「高齢者単身世帯」の数です。「吹田市空家等対策計画2020」によると、吹田市の空き家発生原因は約3割が相続によるもので、さらに空き家になってから10年以上経過しているケースも約3割あることが分かっており、近い将来起こりうる空き家の相続が問題視されています。また、同計画によれば空き家所有者の7割以上が60歳以上で、所有者の約半数が「売ることも貸すこともしたくない」とも回答しており、今後も流通しない空き家が増えていくことが予測されます。

今回、アキサポ空き家総研が調査した「近畿エリア 空き家所有者に対する意識調査」でも、近畿エリアの空き家の所有経緯は6割以上が相続によるもので、空き家活用を検討したことがある人は半数以下(47.4%)にとどまりました。空き家にしている理由は人それぞれですが、この結果は、およそ半数が一度は解消に向け検討したことがあるにも関わらず、現状維持を選択している、とも言えるでしょう。

一方、昨今では、年々増え続ける日本全国の空き家が社会問題化すると同時に、多くの空き家所有者が収益化を目指して活用を進めています。空き家は放置しているとさまざまなリスクやデメリットを生み出しますが、うまく活用すれば収益をもたらす貴重な資産であることは間違いありません。

空き家自体は立派な資産であるものの、やはり売却・賃貸といった第三者への提供により初めて収入につながるため、放置すること自体が経済的なデメリットといえるでしょう。空き家活用がうまくいかないケースは、多くの場合、事前の情報収集やマーケティング・分析不足によるものですから、いかに専門家のサポートを得ながら二人三脚で進めることが大切なのか分かります。

今回の調査で、近畿エリアの空き家所有者は空き家放置の問題・リスクへの認知が高いことがわかりました。空き家問題への関心が高いエリアでは、空き家活用に対する理解の促進により、空き家の活用がより活性化する可能性があります。また今回の調査では、空き家活用を検討した際の相談先として、企業や公的機関等の窓口に相談した空き家所有者は約6割にとどまりましたが、空き家所有者は、収益化に導くための重要な要素であるプランニングを適切に立てるため、さらに自分の物件に適した収益化パターンを見出すためにも、まずは専門家に相談してみるのが最初のステップとしてはベストでしょう。

※平成30年住宅・土地統計調査による

<プロフィール>

株式会社ジェクトワン 執行役員
地域コミュニティ事業部 ディレクター 清水 貴仁

2009年、株式会社ジェクトワン設立時より入社し、現在は地域コミュニティ事業部長として事業拡大に尽力。NPO法人空き家活用プロジェクトの理事長を兼任。

【本調査結果に関するニュースレターはこちらから】
【アキサポ】近畿エリア調査ニュースレター.pdf

調査の詳細についてのお問い合わせ、取材のご相談、専門家コメントのご要望等につきましては、広報事務局までお気軽にお問い合わせください。