2023年2月8日 13:00

透明・高耐久性バイオプラスチック(DURABIO) × テクスチャ付き大型3Dプリンティングで、 光るベンチを製作 ~新たな “屋外空間演出手法” を開拓~

 三菱ケミカルグループ※1、株式会社竹中工務店(本社:大阪府大阪市、取締役社長:佐々木 正人)、エス.ラボ株式会社(本社:京都府京都市、代表:柚山 精一)、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC) 田中浩也研究室(本部:神奈川県藤沢市、代表:田中 浩也)は、三菱ケミカルグループの研究開発拠点であるScience & Innovation Center(神奈川県横浜市)敷地内に、バイオエンプラ「DURABIO™(デュラビオ™)」を用いた3Dプリント樹脂ベンチの共同製作・設置を行いました。

 2022年9月28日、豊かな自然環境に囲まれた三菱ケミカルグループのScience & Innovation Centerにイノベーション創出の場として、同グループ最大規模の新研究棟が開設しました。新研究棟のケヤキ並木の樹形に沿った折板状の架構に合わせた、三角形による多面体形状のベンチは、特徴的な新研究棟と呼応した一体的な屋外空間を演出しています。設置にあたり、ベンチが周辺環境から独立した家具・オブジェではなく、新研究棟の一部として調和する演出となるよう素材の選定から形状の設計、配置までを一貫して行いました。

 素材として選定された「DURABIO™」は、植物由来のイソソルバイドが主原料の三菱ケミカルグループのバイオエンジニアリングプラスチックです。従来のポリカーボネート樹脂と比較し、高い透明性、優れた光学特性などの特長があるとともに、植物由来のポリマーでありながら、耐久性や耐候性にも優れた素材です。モビリティ内外装部品、光学・電子デバイス部材、日用雑貨など幅広い分野へ展開が進められています。

「DURABIO™」:https://www.m-chemical.co.jp/products/departments/mcc/pc/product/1200363_9344.html

 「DURABIO™」の素材特性を活かし、さらに建築空間に馴染んだデザインとするため、株式会社竹中工務店が多面体同士の角度やベンチの座面の水勾配などを踏まえたパラメトリックスタディ※2という手法を用いることで、9種類の異なる形状の3Dモデルを作成しました。自然物と人工物の中間のような有機的な、三角形で構成された形状のベンチとし、ケヤキ並木や大屋根、建物ファサード※3といった、複雑な形状の自然物や人工物の一つとして、周辺環境に溶け込みます。

 3Dプリントを実現するツールパス設計、およびベンチの模様となる表面特殊効果のテクスチャ設計・デザ
インを慶應義塾大学SFC田中浩也研究室が担当し、エス.ラボ株式会社が超大型ペレット式 3Dプリンタ「茶室」※4による造形を行いました。

 またそれぞれのベンチの形状に合わせた照明計画を株式会社竹中工務店が行い、夜間は敷地内に点在するベンチがやわらかな光とともに屋外空間を演出します。

1.三菱ケミカルグループのDURABIO™
2.竹中工務店による形状パラメトリックスタディ
3.慶應義塾大学SFC田中浩也研究室による表面テクスチャ設計
4.エス.ラボ株式会社の「茶室」による3Dプリント造形

 3Dプリント樹脂ベンチそのものの製品化に加え、デジタルファブリケーションによる建築と一体化した空間演出の提案も視野に入れ、これからも各社の共創を進めていきます。

※1三菱ケミカルグループは、三菱ケミカルグループ株式会社とそのグループ会社の総称です。
※2パラメトリックスタディ:解析モデルに関わる様々な条件をパラメータとして数値化し、パラメータ値を変化させながら解析を行い、最適化を目指すもの。
※3建物ファサード:建物を正面から見たときの外観のこと。
※4「茶室」:プラスチックペレットを原料とする、短時間で大型サイズの造形が可能なペレット式3Dプリンタです。エス.ラボ株式会社が2013年より開発を開始し、特許を取得しています(2019 年からは「GEM シリーズ」として販売)。2021年に造形サイズ 横3m × 奥行3m ×高さ3m の超大型ペレット式3Dプリンタ、開発名「茶室」として完成しました。
「茶室」:https://slab.jp/releaces/20210709/

各社・機関・製品のHPリンク
・三菱ケミカルグループ株式会社:https://www.mitsubishichem-hd.co.jp/
・株式会社竹中工務店:https://www.takenaka.co.jp/
・エス.ラボ株式会社:https://slab.jp/
・慶應義塾大学SFC 田中浩也研究室:https://fab.sfc.keio.ac.jp/
・反射・透過・屈折の光学的効果を生み出す大型3Dプリンティングに向けたテクスチャ設計:
https://sig4dff.org/conference/2022/proceeding/OP33.pdf
・3D樹脂ベンチ製作中の動画:https://www.youtube.com/watch?v=EYhLu-Irajo

以上

問合わせ先

三菱ケミカルグループ株式会社 

コーポレートコミュニケーション本部 メディアリレーション部:03-6748-7140

株式会社竹中工務店 経営企画室広報部:03-6810-5140 

エス.ラボ株式会社 営業部:075-634-9577