2020年7月31日 12:00

【NEWS LETTER】『アクリライト』を飛沫感染防止用パーティションに活用

反射防止フィルムとの組み合わせにより自然な会話を実現

ニュースレターでは、人々の暮らしを支える身近な製品・サービスや、経営戦略、ダイバーシティの取組みなど様々なトピックスを取り上げ、ニュースリリースだけではお伝えしきれない情報を幅広くご紹介します。

新型コロナウイルスの感染拡大防止を目的に発出された緊急事態宣言は解除され、日常生活が再開されました。しかしながら日常は、ウイルスが存在する「withコロナ」を前提とした「新しい生活様式」へと変化しています。新型コロナウイルスのワクチンや治療薬が開発されるまでは、この様式が当面続くと考えられます。

三菱ケミカル社は1943年より、アクリル樹脂板「アクリライト」の製造を開始し、国内トップシェアを誇ります。透明度や加工の自由度といった特性を活かし、これまで街なかの看板や水族館の水槽等、幅広い用途に使用されてきました。昨今では、ウイルスの感染拡大防止と日常生活を両立する「新しい生活様式」の中で、人と対面する際に飛沫感染を防止するパーティションとしても使用されるようになり、4月中旬から受注が劇的に増加しています。

今回のニュースレターでは、三菱ケミカル社のアクリル樹脂板「アクリライト」を紹介します。


当社エントランス受付の飛沫感染防止用パーティション
(左:反射防止フィルム「モスマイト」使用/右:「モスマイト」不使用)


当社ショールーム受付の飛沫感染防止用パーティション
(中央部のみ反射防止フィルム「モスマイト」貼り付け)

■アクリライトの特徴と主要な用途

アクリル樹脂は、加工の自由度やガラス以上の透明度、野外での変形や劣化等の変質を起こしにくく、軽量・強靭という極めて優れた性質から、“プラスチックの女王”と呼ばれています。
三菱ケミカル社の「アクリライト」は光との相性が良く、透過や遮断、偏光によって様々な性質を操り、光の透過ではガラスよりも高い透明度を誇ります。またグレードによっては、最大幅2763mm×最長6000mmという生産サイズの実績を持っており、大型看板の制作にも最適です。
このように、光の利用や加工の容易さにより用途は非常に幅広く、街なかで見かける様々な看板を始め、液晶ディスプレイのバックライト、照明、携帯電話やデジタルカメラの表示窓、水族館の水槽、美術館の展示ケース、住宅・商業施設等の建材など、多岐にわたって使用されています。


水族館の水槽


ホテルロビーのパーティション


文化財の展示ケース

■飛沫感染防止用途拡大

新型コロナウイルスの対策として、「アクリライトEX」「アクリライトL」は飛沫拡散防止パーティションの素材に使用されています。中でも「アクリライトEX」は、当社独自の連続キャスト製法で製造している高品質押出グレードです。一般的な押出製法と比較して、「加工性が高くて設置しやすい」「表面硬度が高く傷が付きにくい」「表面の歪みが少なく視認性に優れ、エタノール消毒等の耐薬品性も有している」といった特徴を持っています。そのため、パーティション等に手軽に使え、オフィスやクリニック等、来客と近距離で接する機会の多い受付での設置に適しています。
当社エントランスの受付では、「アクリライトEX」を使用したパーティションを設置し、当社製品の反射防止フィルム「モスマイト」を貼り付けることで光の反射を抑え、可能な限り自然に会話できるようにしています。(1ページ目写真参照)
「アクリライト」の出荷は4月中旬から加速度的に増加しています。緊急事態宣言が発出されてからは、金融機関、コンビニ、スーパー、病院など、対面接客が必要な業種からの引き合いが増加していましたが、宣言解除後は、オフィスやレストラン等で、人と人との間を分ける用途に使用されることが多くなりました。海外では航空機内への採用も検討されており、公共機関への採用拡大が期待されています。


対面パーティション


十字パーティション


富山事業所 製造工程

アクリル樹脂板の飛沫感染防止需要は、一層の採用範囲の広がりが見込まれます。三菱ケミカル社では現在、耐擦傷性を高め傷つきにくさを特徴とする「アクリルライトMR」や、すりガラス調でありながら表面が平滑なためウイルスが付着しにくい「アクリライトフロスティ」の飛沫感染防止用途への採用活動を展開しています。
さらに現在「アクリライト」の抗ウイルスグレードを開発しており、医療機器や病院など高機能が求められる需要を取り込んでいくことを目指しています。また、近い将来に訪れると思われる、製品の交換に伴う廃棄問題を見据え、リサイクル体制の構築にも取り掛かっています。
ロックダウンが解除される海外でも、今後、第二波に対する備えとして感染防止策が展開されていくと思われます。そのため当社では、「アクリライト」の需要は、これから1~2年増加し続け、その後新たなウイルス感染防止や置き換え需要により当面の間は、ニーズが高い状況が続くと予想しています。

※使用上の注意
1.アクリル樹脂板は他の多くのプラスチックと同様に可燃性を有しており、着火源に接触すると燃える恐れがあります。周辺で火を扱う環境(飲食店のコンロ周辺や喫煙エリア等)での使用は避けてください。
2.高濃度アルコールで拭き取り消毒をする場合、端部に微小なクラック(傷)が発生する場合があります。そのため0.05%以上の次亜塩素酸ナトリウムなどの水系消毒液を含ませた柔らかい布等で拭くことをお勧めします。

<本件に関するメディアからのお問い合わせ先>
株式会社三菱ケミカルホールディングス 
広報・IR室 TEL 03-6748-7140