2021年1月20日 12:00

マルカサイド加工生地の新型コロナウイルスに対する不活化効果確認について

~白衣や防護服への展開で医療機関に貢献~

三菱ケミカル株式会社(本社:東京都千代田区、社長:和賀 昌之、以下「三菱ケミカル」)、三菱ケミカルのグループ会社である大阪化成株式会社(本社:大阪府大阪市、社長:安丸 純一、以下「大阪化成」)、および学校法人北里研究所(所在地:東京都港区、理事長:小林 弘祐)は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の不活化評価に関する共同研究において、大阪化成が製造・販売を行う「マルカサイド®AV」で抗ウイルス加工を施した生地(以下「対象布」)に対する、SARS-CoV-2を用いた抗ウイルス試験を実施し、対象布がSARS-CoV-2に対して短時間(1分間または10分間)で不活化効果があることを確認しました。
2021年1月17日現在、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の国内の感染者数は32万人を超え、我が国だけではなく、世界的規模で第3波の流行に襲われています。このような状況下、医療関係者などの感染防御対策は、医療崩壊を防ぐ上でも極めて重要であり、社会的にも喫緊の課題であることから、今般の共同研究を実施しました。

【抗ウイルス試験 評価概要】

(1)評価方法(※詳細については下部に記載)

対象布に新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を培養したウイルス液を染みこませ、常温で1分間または10分間放置、その後反応を停止させた。対象布に含まれるウイルス液から新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を洗い出し、そのウイルス感染価を測定することで不活化効果を確認した。

(2)対象布および評価結果

対象布

評価結果

10分間

1分間

不織布

約1/10000以下に不活化

約1/100以下に不活化

ポリエステル65%、
綿35%混紡生地

洗濯前

約1/10000以下に不活化

約1/10000以下に不活化

10回

洗濯後

洗濯により効果低減が認められたが、約1/100以下まで不活化可能であった

洗濯により効果低減が認められたが、約1/100以下まで不活化可能であった

 

引き続き、3者間での共同研究を進め、医療機関で使用される防護服や白衣、カーテンなどへの用途展開を図り、本研究の意義である医療関係者などの感染防御対策等、医療現場へ貢献、医療崩壊予防等に役立つよう研究を進めてまいります。

※評価方法について
約3万個の感染性ウイルス(ウイルス液3μL)を、対象布にしみこませ、常温で1分間、または、10分間静置した。その後、FBS DMEM 297μLを添加したチューブに対象布を入れ、反応を停止させ、ウイルスを洗い出した。その後、TCID50法によりウイルス不活性効果を調べた。
・使用した新型コロナウイルス株:2019-nCoV JPN/TY/WK-521 (国立感染症研究所)
・使用した細胞:Vero-E6/TMPRSS2 (JCRB細胞バンク)

参考:マルカサイド®AVについて
マルカサイド®AVは、有機系第四アンモニウム塩を主成分とする水性剤であり、主に繊維加工剤として使用されています。急性経口毒性・変異原性・皮膚刺激性・皮膚感作性の安全性が確認されている他、各種ウイルスに対する抗ウイルス効果やグラム陽性菌群、グラム陰性菌群および真菌(カビ)などの幅広い菌種に効果を発揮します。

◆ 知的財産権について
マルカサイド®については、大阪化成が商標権・特許権等複数の知的財産権を有しております。また、今回の共同研究の成果については、3社共同名義による共同特許出願手続きを完了しています。

<本件に関するメディアからのお問い合わせ先>
三菱ケミカル・クリンスイ株式会社
広告宣伝部 TEL 03-6748-7472
学校法人北里研究所
総務部広報課 TEL 03-5791-6422