2021年3月26日 13:45

アジアモンスーンPFSコンソーシアムが取り組むアジアモンスーンモデル植物工場システムの開発に関するご報告について

― 農林水産・食品産業の情報化と生産システムの革新を推進 ―

三菱ケミカル株式会社(本社:東京都千代田区、社長:和賀 昌之)が代表機関を務める「アジアモンスーンPFSコンソーシアム」は、2016年12月より、生物系特定産業技術研究支援センターの「知」の集積と活用の場による研究開発モデル事業」に採択されたプロジェクトである「農林水産・食品産業の情報化と生産システムの革新を推進するアジアモンスーンモデル植物工場システムの開発」に取り組んでまいりました。本プロジェクトが当初の目標を達成し、2021年3月末をもって終了するのに際し、これまでの成果や今後の取り組みについて下記の通りご報告します。※ PFS(Plant Factory System):植物工場システム

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2021年3月26日
アジアモンスーンPFSコンソーシアム

農林水産・食品産業の情報化と生産システムの革新を推進
アジアモンスーンモデル植物工場システムを開発

 アジアモンスーンPFS コンソーシアム*は、2016年12月より、生物系特定産業技術研究支援センターの「「知」の集積と活用の場による研究開発モデル事業」に採択されたプロジェクトである「農林水産・食品産業の情報化と生産システムの革新を推進するアジアモンスーンモデル植物工場システムの開発」(以下本プロジェクトと記載)に取り組んでまいりました。本プロジェクトは、日本の農業と工業のコア技術を融合することで、高温多湿地域においても、本州など日本国内の温帯地域と同様に、安全・安心で美味しい日本品種野菜を安定的かつ低価格で生産する技術の開発を目指したもので、当初の目標を達成し、2021年3月末に終了します。
 本プロジェクトによる高温多湿地域向け太陽光型植物工場の代表的な成果は以下の通りです。

1)高温多湿地域向け植物工場および温湿度制御技術の開発と実証
 ・クラウド型統合環境制御システムを活用し、日本品種の果菜類栽培を高温多湿地域で、かつ周年で実現できる温湿度制御技術を開発し実証
 ・生産者の収益性向上に向け、1haあたり2億円未満で栽培装置を構築可能とする低コスト栽培システム化技術を実証

2)高温多湿地域での太陽光型植物工場ランニングコスト低減のための素材開発と実証
 ・農業ハウス向け熱線遮断フィルムを開発し、ハウス内温度を従来の被覆フィルム比で2~3℃抑制可能であることを実証

3)高温多湿環境向け太陽光植物工場の栽培技術の開発と評価
 ・日本品種の果菜類栽培において、日本国内の温帯地域(本州・九州など)と同等の収量、品質を実証:トマト(40ton/10a、糖度6)、いちご(4.1 ton/10a、糖度10)、パプリカ(10ton/10a、糖度8)

4)ジャパンプレミアム野菜のブランド化を支える認証指標、育苗装置の開発
 ・トマト栽培方法(水耕/土耕)の判別手法、および希少元素によるマーカー表示方法を確立
 ・LED光育苗装置を用い、高温多湿条件下でもトマトの安定生産をおこなえる高品質な苗(大苗)を供給する育苗システムを開発し、大苗の最適栽培条件を確立

5)ICTを活用した植物工場管理システム、農業経営の育成システムの開発
 ・気象予測に基づく生育・収穫予測の実現と栽培作業のナビゲーションシステム(栽培作業のToDoリスト自動表示など)構築

 アジアモンスーンモデル植物工場システムは、温暖化が進む日本国内のほか、東南アジアを始めとした国外の高温多湿地域において社会実装されることで、農業生産者の収益力向上やSDGsへの貢献が期待されます。
 今後は、国立研究開発法人 国際農林水産業研究センター 熱帯・島嶼研究拠点の研究設備を継続使用する新しいコンソーシアムを形成し、熱帯・亜熱帯地域での栽培を前提に、トマトの環境制御最適化(裂果等品質安定化)、イチゴ栽培技術最適化(LED補光による収量UP)に取り組み、アジアモンスーンモデル植物工場システムのさらなる発展を目指します。
 また、新しいコンソーシアムではアジアモンスーンモデル植物工場システムの国内外の普及を推進するため、農林水産省や各国大使館と連携をとりながら、海外を含む遠隔栽培指導サービスを視野にいれた社会実装を推進し、国内外の生産者の収益力向上およびSDGsへの貢献に取り組んでまいります。

【*アジアモンスーンPFSコンソーシアムについて】
 本プロジェクト推進のため、三菱ケミカル株式会社を代表機関とし、三つの公的研究機関(国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構、国立研究開発法人 国際農林水産業研究センター、国立研究開発法人 産業技術総合研究所)、四つの大学(国立大学法人 東海国立大学機構 名古屋大学、国立大学法人 大阪大学、国立大学法人 東京大学、国立大学法人 北海道大学)、六つの民間企業(三菱ケミカル株式会社、パナソニック株式会社、富士フイルム株式会社、シチズン電子株式会社、タキイ種苗株式会社、株式会社堀場製作所)によって構成されたコンソーシアム。

1 PFSとはPlant Factory Systemの意味

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<本件に関するメディアからのお問い合わせ先>
株式会社三菱ケミカルホールディングス 
広報・IR室 TEL 03-6748-7140