2022年2月17日 10:00

【ニュースレター『KAITEKI通信』vol.2】独自技術でコロナ禍の「ニューノーマル」に対応 三菱ケミカルホールディングスグループの取り組み紹介

~人々の生活に身近な商品・サービスにも“化学”の力が!~

三菱ケミカルホールディングスのニュースレター「KAITEKI通信 Vol.2」では、グループの取り組みとコロナ禍への対応についてお伝えします。

三菱ケミカルホールディングスでは、「人、社会、そして地球の心地よさがずっと続いていくこと」を表す「KAITEKI」の実現をビジョンとして掲げ、環境・社会課題の解決にとどまらず、社会そして地球の持続可能な発展を目指しています。SDGsへ積極的に取り組む全世界的な流れも踏まえ、当社事業の特長をお伝えするニュースレター、「三菱ケミカルホールディングス KAITEKI通信」Vol.2をお送りいたします。ご企画等の一助としてご活用いただけますと幸いです。

ニュースレターVol.2では、三菱ケミカルホールディングスグループである、「田辺三菱製薬株式会社」「日本酸素ホールディングス株式会社」について、事業内容や直近のトピックス等をご紹介させていただきます。また、コロナ禍の社会に寄与するため、「三菱ケミカル株式会社」の持つ技術を用いて開発した感染予防対策製品についてもご紹介いたします。

 contents 1 新型コロナウイルスワクチンの研究開発

田辺三菱製薬は、現在の社会課題に対応すべく、新型コロナウイルスのワクチン開発を行っています。開発中のワクチンの特徴や現在の開発状況などについてご紹介します。

 

 contents 2 酸素を供給。産業ガス世界シェア4

日本酸素ホールディングスは、コロナ禍で需要が高まる酸素をはじめとする、各種産業に必要不可欠な“産業ガス”の供給を行っています。実は人々の生活に身近な存在であり、社会に貢献していることをご紹介します。

 

 contents 3 感染予防対策製品

新型コロナウイルス感染症の拡大以降、三菱ケミカルでは、その技術を活かし、“ニューノーマル”に対応する製品の開発を行っています。その中の一部をご紹介します。

 

contents 1 新たなメカニズムの新型コロナウイルスワクチンを作製!世界初の「植物由来VLPワクチン」とは>

田辺三菱製薬は、前身となる田辺製薬から数えると340年以上の歴史を持っており、世界で2番目、日本では最も古い製薬会社です。優れた医薬品の創製とその提供を通じて、世界の人々の健康寿命の延伸に寄与しており、主に、病院で医師から処方される「医療用医薬品」の開発を行っております。現在は、社会課題に対応し、新型コロナウイルスのワクチン開発を進めており、供給に向けた最終段階まで進行中です。

 医療用医薬品

■ ワクチン開発についてワクチン室の田村さんに伺いました

 田村さん

ワクチン開発を始めた経緯は?
当社はもともと、50年以上にわたって各種ワクチンの開発や販売を行っており、国内のワクチン販売のトップ企業として日本の感染症予防に貢献してきました。2013年には、“植物”を使用したワクチン・バイオ医薬の作製技術に強みを持つカナダのメディカゴ社を買収し、植物由来のワクチン(植物由来VLPワクチン)の開発に取り組んでいます。

そんな当社が、新型コロナウイルスが感染拡大の一途をたどっていた状況に際して、ワクチン開発に取り組むのは社会的使命であると考え、2020年3月より、世界初の植物由来の新型コロナウイルスワクチン開発を進めています。

植物由来VLPワクチンの特徴・強みは?
植物由来VLPワクチンは、ニコチアナベンザミアナという植物にワクチンの元となる抗原蛋白の設計図(遺伝情報)を導入し、植物内で蛋白を発現させることで作られます。ワクチンを打つことは“予行演習”のようなもので、人体に「ウイルスが来た!」と錯覚させて、本物のウイルスに感染する前に免疫力をつけさせるものです。植物由来VLPワクチンは、本物のウイルスによく似た形状(ウイルス様粒子:VLP)であり、人体の錯覚を促し、ウイルスに対する免疫力をつけさせることができます。

 ニコチアナベンザミアナ

 
モデル図(左:通常のウイルス、右:ウイルス様粒子(VLP))

 
電子顕微鏡写真(左:新型コロナウイルス、右:新型コロナウイルスVLP)

 

また実際のウイルスと異なり、ウイルスの遺伝情報を持たない、形を似せているだけのワクチンであるため、感染能力を持ちません。さらに、今回の新型コロナウイルスに対するVLPは着手からたったの20日間で作製に成功しており、作製のスピードが早いことも植物由来VLPワクチンの特徴です。また現在開発中の新型コロナワクチンは“冷蔵(2~8度)保存”できるため、各施設への流通や施設内での管理が容易になります。

コロナワクチン開発の進捗は?
順調に進んでおり、2021年12月には、臨床試験の最終段階であるフェーズ3試験にて良好な結果を得ることができました。この結果を受けて、まずはカナダでのワクチン申請を行っており、当局から承認されるとワクチン供給を開始することができます。承認され次第速やかに供給を開始できるよう準備を進めています。

日本では、2021年10月より、成人145名を対象として第1/2相臨床試験を開始しています。順調に進みますと、2022年度第2四半期(7-9月期)にはワクチンの承認申請を行うことができると考えております。

ワクチン開発について長い場合は10年以上かかることもあると言われていますが、これまで当社およびメディカゴ社にて確立した植物由来VLPの技術を活用し、規制当局との連携を密にとることで、新型コロナワクチンの開発を迅速に進めることができました。

左:メディカゴ研究所での研究
中央:植物由来VLPワクチン製造風景
右:植物由来VLPワクチン製造所 外観

現在、感染拡大が進んでいるオミクロン株に対するワクチン効果について試験を実施しており、近く結果を発表できる予定です。

コロナワクチンの開発にあたって苦労している点は?
苦労している点は、“臨床試験の被験者募集”です。これまで進めてきた臨床試験においては、被験者がまだ新型コロナウイルスのワクチンを打っていない必要がありました。そのため、他社製のワクチンが先行して供給され、接種率も高まっていく中で、ワクチン未接種の方を集めることが難しく、思うように臨床試験を進められない状況に苦戦しました。

コロナワクチン開発に対する想いを教えてください
コロナワクチンに限らずですが、私たちは世の中に“選択肢”を提供することが大事であると考えています。現在、新型コロナウイルスに対するワクチンは、頭痛薬や咳止めなどの医薬品と比較すると、まだまだ種類が限られており、それぞれの体質や考え方に合わせた選択肢を十分に提供できていない状況です。

そこで、既存のワクチンとは異なる私たちの「植物由来VLPワクチン」を、“新しい選択肢”として世の中にいち早く提供することで、自身に適したワクチンを探している方々のニーズに寄り添いたいと考えています。このような想いのもと、私たちは既存のワクチンとは違うメカニズムのワクチン開発を進めています。

 

<contents 2 産業ガス市場世界シェア4位を誇る企業が世界初・日本生まれのステンレス魔法びんを開発!?>

日本酸素ホールディングスは、日本、米国、欧州、アジア・オセアニア各地域で、鉄鋼、化学、自動車、エレクトロニクス等あらゆる産業分野に向けて、酸素・窒素・アルゴンを中心とした産業ガスを製造・供給しています。加えて、当社がこれまで培ってきた技術力を通じて、ガスの供給のみならず、お客様の課題解決につながるガスソリューションを提供しています。産業ガス市場の世界シェアは第4位、国内シェアは第1位です。

 

 

産業ガス市場シェア

 

事業内容や産業ガスについて人事・秘書室 広報部 広報部長 梅原 崇禎さんに伺いました

 梅原 崇禎さん

産業ガスと我々の生活との関わりとは?
生活に密着したところでは、炭酸飲料の炭酸、コンビニやスーパーの惣菜のフィルム容器の中にも鮮度保持のために窒素が入っています。その他にも、ノルウェーサーモンやウナギの養殖の際に、生育促進のために生け簀の中に供給される酸素も当社で扱っています。

また、パソコンやスマートフォン、自動車など皆さまが毎日利用するような身近な製品に組み込まれている「半導体」にも、製造過程で電子材料ガスを中心とした産業ガスが使用されています。最終的な製品に影響を与えないよう、ガスの供給配管の材質にも気を配っています。

このように、多種多様な分野で産業ガスは人々の生活に関わっています。産業ガスについて理解を深めてもらうために、採用活動など対外的に当社事業を説明する際、「我々の事業は“産業の血液”である」と説明すると、より事業の重要性をイメージしていただけます。

産業ガスが活用されている主な製品
左:自動車
中央左:パソコン
中央右:炭酸飲料
右:サーモン養殖の生け簀

また実は、魔法びんやタンブラーで有名な「THERMOS(サーモス)」も当社事業の一つです。一見、産業ガスとは関係がなさそうに思えますが、極低温である液化ガスを運搬・貯蔵するタンクは低温を維持するために真空断熱技術が使われており、まさに「巨大な魔法びん」です。こうした技術を応用し、1978年に世界で初めての高真空ステンレス製魔法びんを開発・発売しました。

左:世界初の高真空ステンレス製魔法びん(1978年発売)
中央左:手頃な価格帯で大ヒット「シャトルミニ」(1982年発売)
中央右:人気の真空断熱ケータイマグ JNRシリーズ
右:現在はフライパンなど豊富なラインナップを展開

日本酸素ホールディングスの優位性は?
産業ガスは、元素を売っているという特性上、モノとしての差別化が難しい商材です。そのため、“いかに各地域に根を張って、お客様との信頼関係を築き、安定供給および課題解決に貢献できるか”という点が重要になります。いわば地産地消のビジネスの中で、当社では日本をはじめ、米国、欧州、アジア・オセアニア各地域にてグローバルにビジネスを展開できていることが優位性になっています。

コロナ禍における日本酸素ホールディングスの役割とは?
日本酸素ホールディングスでは、産業ガス事業のサブセグメントとして、メディカル事業を展開しています。医療機関向けの酸素をはじめ、窒素、炭酸ガスなどの医療用ガスを供給しています。コロナ禍においては、呼吸向け酸素の重要性が増しており、世界中で “ガス生産工場を止めない”ということを大切な役割と認識し、従業員の感染対策を徹底した上で酸素の供給に努めています。

またコロナ禍の巣ごもり需要の拡大に伴って増えている宅配向け冷媒用ドライアイスの供給でも、大きな役割を果たしています。

サーモスでは、屋外だけでなく室内での生活も快適にすべく、真空断熱タンブラーやフライパンなど家庭内製品のラインナップを拡充し、提供しています。

左:医療用酸素ガス供給設備
中央:ドライアイス
右:真空断熱タンブラー

産業ガスが環境負荷低減に貢献する点は?
例えば燃焼分野においては、長年培ってきた酸素富化燃焼技術により、燃焼時の化石燃料の使用を抑えることで、温室効果ガスの削減に役立っています。また食品分野では、窒素ガスの封入によって食品鮮度を維持することにより賞味期限を延ばし、食品ロスの削減につなげ、廃棄の際に生じる温室効果ガス低減に貢献しています。

このように、当社の産業ガスを使用することで、顧客の環境負荷低減を促進し、カーボンニュートラル社会を実現する手助けをしています。一方で、産業ガスの主要商材であるエアセパレートガス(酸素・窒素・アルゴン)を製造する工程では多くの電力を消費しています。この製造工程で発生する温室効果ガスの排出削減は重要課題と認識しています。

 

 <contents 3 コロナ禍における「ニューノーマル」に対応した三菱ケミカルの感染予防対策製品>

三菱ケミカルは、その多様な技術力によって多くの産業や人々の生活を支えてきました。このコロナ禍においても、これまで培ってきた技術力を活かし、“化学”をベースにして商品開発を行い、ニューノーマルに対応した感染予防対策製品を多数展開しています。これらの製品を必要とする皆さまに迅速かつ確実にご提供できるよう、グループ一丸となって十分な供給体制を整えています。

「マルカサイド」を使用した医療現場アイテム
医療現場で用いられる白衣やシーツ、カーテンなどは一般家庭用とは異なり、抗菌作用のある繊維を用いて作られることが多く、この繊維へ抗菌作用を付与するために使用されているのがグループ会社の大阪化成が手掛ける「マルカサイド」です。「マルカサイド」は、抗ウイルス、防カビなど幅広い用途を持った抗菌加工剤であり、その一銘柄である「マルカサイドAV」について、新型コロナウイルスを不活性化する効果があることが、2021年1月、北里研究所との研究で判明しました。「マルカサイド」は、新型コロナウイルスと対峙する医療従事者を支えています。

 マルカサイドを使用した白衣

ハイセロン製ランドリーバッグ
新型コロナウイルス感染症の拡大以降、医療機関の洗濯事業者の中には、衣料品に付着したウイルスからの感染を懸念して、洗濯物の受け取りを拒否する会社もありました。そこで三菱ケミカルでは、水溶性フィルム「ハイセロン」を使用したランドリーバッグを開発しました。

「ハイセロン」は、水に溶けるプラスチックフィルムであり、洗濯糊にも使用されるPVA(ポリビニルアルコール)という樹脂が原料です。我々の身近なところでは、ボール型の洗濯洗剤の包装材にPVAが使用されており、強度や伸度に優れ、冷水や温水にも溶けるのが特徴です。

この「ハイセロン」を使用してランドリーバッグを開発したことで、中の洗濯物に触れることなく、ランドリーバッグに入れたまま洗濯機に投入することができるようになりました。2020年6月から販売開始したところ、医療機関や介護施設から問い合わせが殺到。エッセンシャルワーカーの安心に寄与することができました。

 ハイセロン製ランドリーバッグ

フェイスシールド
コロナ禍において、マスクと同じく需要を伸ばしているフェイスシールド。実際に装着すると、光が反射してしまい見えづらさがあったり、自分の呼気で内側が曇ってしまったりと、その使用感に改善の余地がありました。そこで三菱ケミカルでは、ポリエステルシート製造技術と、化粧品ケース加工で培った折り曲げ罫線付与技術を応用したフェイスシールドを開発。防曇機能と反射防止機能を付与したほか、折り曲げ罫線付与技術によって、顎の部分を折り返して顔をすっぽり覆える造りを実現。下からの飛沫も防ぐことで安心感を向上させています。

 フェイスシールド

アクリル板「アクリライト」
飛沫感染防止のため、コロナ禍において設置が一般的となった、飲食店のテーブルやレジカウンター、対面業務のカウンターなどに置かれている透明なパーティション。このアクリル板の原料は、三菱ケミカルが世界シェア約4割を誇るメタクリル酸メチル(MMA)という素材です。本素材によって作られた三菱ケミカルのアクリル板「アクリライト」は、ガラスより透明性が高く、光に当たっても劣化しにくい耐候性を持っています。さらに、新ラインアップとなる「アクリライトBX」は、表面に抗ウイルス・抗菌加工を施しており、より高い安全性を獲得いたしました。

 アクリライト

 

※本コンテンツに掲示の画像はイメージを含みます。また各数値や目標値は、2022年2月17日現在のものとなります。

<本件に関するメディアからのお問い合わせ先>
三菱ケミカルホールディングスPR事務局〔共同ピーアール株式会社内〕 
担当:伊藤、奥平
TEL:03-6260-4859 FAX:03-4540-8325
MAIL:mchc-pr@kyodo-pr.co.jp