2022年5月14日 12:00

【コラム】見た目はキュート(?)、正体はゴキブリ! 本当に怖いシロアリの話~下

私たちの住まいの天敵であるシロアリ。

コンクリートをも砕くパワーを持ちながら、じつは非常に繊細な生き物だったりもします。そんなちょっと意外な、シロアリの生態についてご紹介しましょう。

クロアリはシロアリの最大の天敵

クロアリはシロアリにとって最大の天敵。

皮膚の薄いシロアリは、ひとたび肉食であるクロアリに囲まれたらひとたまりもありません。ほぼ確実に捕食されてしまいます。クロアリだけではありません。タンパク質が豊富なシロアリは、カエルのエサとして販売されているほど、肉食の野生生物にとって非常に好ましいエサなのです。

紫外線を浴びると死んでしまう?

シロアリは、ジメジメとした、湿っている場所が大好き。

そして、紫外線に極めて弱く、日の光に当たるだけで死んでしまうこともあります。基本的には土や木材の中で生活しており、餌のあるところまで移動するときは、「蟻道(ぎどう)」と呼ばれるトンネルを使います。

しかし、一部のシロアリは、時期が来ると羽アリとなり、群れで巣から飛びたちます(群飛)。

羽アリは外皮にメラニン色素を有しているため、紫外線の影響を軽減できるのです。群飛の時間はシロアリの種類や状況にもよりますが、数十分から2日程度です。

短い群飛を終え、地上に降り立った羽アリは羽を落とし、自らの足で地上をさまよいながら結婚相手を探します。しかし天敵の多いシロアリはその多くが捕食されてしまい、運命の相手と巡り会える個体は決して多くはありません。

シロアリの巣

見事、結婚相手を探し当てた羽アリは、オスがメスの後ろにつくタンデム歩行で、巣を作るのに適した場所を探します。場所を決めたシロアリは自身の排泄物や土を唾液と混ぜたものを材料とし巣を作ります。このペアが、新しい巣の王・女王となります。

シロアリの食事

シロアリの主食は、木材の主成分であるセルロースです。木材のなかでも柔らかな松がとくに好物です。木材以外にも、セルロースが含まれている紙、本、畳なども食べます。生涯のほとんどの時間を暗いところで過ごすシロアリの目は退化していますが、そのぶん嗅覚が発達しており、木材に含まれているごくわずかな油性成分の匂いがシロアリを引き寄せます。なお、日本に多く生息するヤマトシロアリをはじめ、一部のシロアリは油性ボールペンで書いた線の上をたどろうとする習性があります。

これは、油性ボールペンのなかに、働きアリが出す“道しるべフェロモン”と構造が似ているジエチレングリコールモノメチルエーテルという物質が含まれているためです。