2023年2月10日 10:00

神戸市、23年度採用試験から採用方法を一新 政令市初、ジョブ型管理職採用など取り組みの全体像

①新卒採用と経験者採用の比率を5:5へ ②経験者採用の通年募集 ③ジョブ型管理職採用の導入

 神戸市は、労働市場における転職によるスキルアップ志向・成長志向の拡大、チャレンジ精神をもった多様な人材獲得の必要性や、社会貢献に対する意識の高まりなどを受け、新たな人材獲得戦略を策定しました。

官公庁のこれまでの新卒一括採用中心の採用方法を見直し、2023年度(令和5年度)の採用試験から経験者採用(いわゆる中途採用)を大幅に拡充するとともに、専門的なスキルをもった多様な人材を獲得するためのジョブ型管理職採用を導入します。また、公務の魅力を発信するための新たなインターンシップを創設します。取り組みの全体像をまとめてお届けします。

1.本取り組みの背景・社会情勢

 今回、新たな人材獲得戦略を策定した背景には、神戸市の今後の方向性、また、人材獲得を取り巻く社会情勢の変化があります。
 神戸市は、阪神・淡路大震災における被災により、復興のために厳しい財政状況が続きましたが、徹底した行財政改革により財政状況が改善し、近年は積極投資による都市開発を推進するなど新たなフェーズへ進んでいます。また、実は市域の7割を農村や森林が占め、西区や北区には800棟ほどの茅葺民家が現存する農村・里山地域が広がり、そのソフト・ハード両面からの保全にも積極的に取り組んでいます。そして、港の立地を生かした水素ステーションなどの取り組み、淡水域でのブルーカーボンの取り組みなども進めています。こうした多様で、先進的な取り組みを推進するためには、従来以上に多様で、専門的なスキルを持った人材の獲得が急務となっています。
 また、日本全体の生産年齢人口は、2050年には3分の2に減少すると予想されており、今後、地方自治体として人口減少社会に対応していくためにも、多様な経験・スキル・専門性を持ち、チャレンジできる人材の確保が不可欠です。
 現在、民間企業では新卒と既卒(社会人経験者)の割合は9:1が最も多い状況ですが、今後5年程度先のトレンドとしては7:3が最も多くなる見込みであり、既卒の割合は増加傾向にあります。

 

 さらに、SDGsへの関心の高まりもあり、就職先企業を決める理由として、社会貢献度が高いことを重要視する人が増えている傾向もあります。

2.新卒一括採用を見直し、経験者採用を拡大

これらを踏まえ、令和5年度実施試験より、新卒一括採用中心の採用方法を見直し、経験者採用を拡大します。

 【新卒採用と経験者採用の割合を55政令市初

経験者採用の割合を大幅に拡大し、新卒採用と経験者採用の比率を5:5とします。
<対象>一般行政職約7,000
(総合事務・福祉・土木・建築・総合設備・農業・造園・総合科学)
※消防、教員及び保健師等の資格免許職は除く

【通年募集の実施】政令市初

現在、春・秋の年2回実施の経験者採用試験を毎月、申込受付期間を設け、さらに年4回の採用試験を実施します。申込・受験しやすい日程の採用試験とすることで、受験者数の拡大につなげます。 

【年齢要件の拡大】

現在の経験者採用試験の年齢要件は2839歳ですが、第二新卒を含めた25歳~39歳に拡大し、受験者の裾野を拡げます。 

【ジョブ型管理職採用の導入】政令市初

特定の分野の知識や経験を持つ管理職人材を獲得するため、定年まで働けるジョブ型管理職採用を導入します。これまでも、3年間、5年間など、任期を定めて採用するジョブ型雇用を進めてきましたが、新たに任期の定めのないジョブ型雇用の管理職を採用します。民間企業等における勤務経験やマネジメント経験に応じた役職で採用を行います。
<対象分野>デジタル分野、用地・財産管理分野、法務分野、土木分野、建築分野、設備(電気・機械)分野など
<選考方法>書類選考、面接など(特別な試験対策は不要)

 3.付加価値を生むインターンシップ創設

 現在実施しているインターンシップに加え、公務の魅力発信をより強化するため、新たに3つのインターンシップを創設します。
 新たなインターンシップにより、学生に神戸市の公務の魅力を発信するとともに、社会人の神戸市への転職後のギャップの解消につなげます。 

【SDGs貢献型インターンシップ】
対 象:SDGsの観点から就職活動を検討する社会貢献意識の高い学生
内 容:エネルギー、リサイクル、里山再生等のSDGs関連業務を体感し、課題解決策をグループで議論・立案して発表(オンラインと対面のハイブリッド、計5日間)

【雇用型インターンシップ】
対 象:学生
内 容:市職員を補助する非常勤の公務員(会計年度任用職員)としての週2回程度、3~4か月間の就業に加えて、参加者同士のディスカッションや配属先での定期的な面談などのプログラムを通じて、自主的な気づきや学びに繋がる機会を提供

【社会人1dayインターンシップ】
対 象:社会人の転職希望者
内 容:「社会人版KOBEナビゲーター」(*)との座談会、神戸市や仕事の説明など
(平日夜間など参加しやすい時間帯にオンラインで実施)

<「社会人版KOBEナビゲーター」とは>
神戸市役所の仕事内容ややりがい、前職のスキルの活用状況等を経験者採用枠で入庁した現役職員が転職検討中の社会人に紹介する新たな制度