2022年3月16日 10:00

アノニマスによるロシアの国営石油会社侵入成功に関してダークトレース専門家がコメント

国際的なハッカー集団、アノニマスのドイツ「支部」がロシアの国営石油会社ロスネフチのドイツ法人に対する侵入に成功し、20TBを超えるデータを盗み出したという報道について、ダークトレースの脅威分析部門の最高責任者(Head of Threat Analysis)であるトビー・ルイス(Toby Lewis)は次のようにコメントしました。

「ドイツは、歴史的にロシアの石油・ガス輸出に大きく依存しており、戦争勃発時にロシアがNordStream2(注:ロシア産の天然ガスをドイツに運ぶパイプライン)の停止を決定した際には、多くの人が驚きました。しかし、ドイツ拠点のロスネフチは、石油・ガスの輸出入には関与しておらず、精製と国内流通に従事しているようです。アノニマスによると、これでもロシアの親会社には利益が出ているため、ターゲットとして有効なのだそうです。

 このグループは、データ消去された業務用のiPhoneと、少なくとも1つのファイルサーバーを示すスクリーンショットでこれを証明しています。正確な手口はまだ分かっていませんが、攻撃者は簡単に推測できるiPhoneの弱いパスワードと、検知されずにデータを流出させるためのファイル転送プロトコル(FTP)の使用について言及しています。これらは、洗練された、あるいは特に斬新な手法ではないことに留意する必要があります。

 このデータ消去が製油所の操業停止に直接つながったというケースも考えられますが、Colonial Pipeline社の事例で見られたように、彼らのインシデント対応プロトコルの一部であった可能性の方が高いでしょう。 

 問題は、重要な環境は潔く故障することはなく、ペンと紙に戻すという選択肢はないことです。重要な国家インフラを保護するための世界的な緊急課題は、攻撃が内部に侵入したら、通常の業務が中断される前に、そして広範囲にわたってシャットダウンされる前に、それを中断させることができるようにすることなのです。」