2024年4月19日 11:00

日本生協連 平和の活動 vol.2

~毎年春に開催「ピースアクションinオキナワ」 全国から沖縄に生協組合員が集い、沖縄戦や基地について考える3日間~

「平和とよりよい生活のために」―日本生活協同組合連合会(略称:日本生協連、代表理事会長:土屋 敏夫)は設立にあたって“協同組合は平和なくしては存立できない”との思いで、この理念を掲げました。この理念のもと、平和活動「ピースアクション」に取り組んでいます。ピースアクションは、戦争・被爆体験の継承や、世界のさまざまな戦争や紛争、基地問題、憲法など、多角的なテーマで平和を考える生協独自の取り組みです。学んだことを参加者が地元に持ち帰り、暮らしの中で平和について考える機会を広げていこうという狙いです。毎年広島、長崎、沖縄で学習講演会や、全国の生協組合員が集う交流会などを開催しています。近年は、広島・長崎で毎回延べ3000人以上、沖縄で200人以上の参加があります。

今号では、沖縄戦の実相と現在の沖縄が抱える基地問題を学び平和について考える機会として、毎年春に行われている「ピースアクションinオキナワ」についてお伝えします。

 

※沖縄本島南部に多くみられる自然洞窟のことで、沖縄戦では住民の避難場所になりました。

2024年3月27日から29日までの3日間、日本生協連と沖縄県生協連は、「ピースアクションinオキナワ」を開催しました。41回目となる今年は、「沖縄から学ぶ過去・現在・未来」をテーマに実施しました。コロナ禍以前と同規模となる、27都道府県の38生協217人の組合員・役職員が沖縄に集まり、学習講演会とフィールドワークに参加しました。

1日目:学習講演会

琉球大学教育学部教授の山口剛史(たけし)さんから、「沖縄戦・在沖米軍基地から平和を考える」というテーマで講演いただきました。沖縄戦で住民がどのように亡くなったか、米軍基地がどのように使われているのかなどをクイズ形式で解説していきました。

続いて、「那覇市繁多川(はんたがわ)の住民が見た沖縄戦」と題して、首里城に程近い那覇市繁多川地区の住民が経験した沖縄戦について、同地区公民館館長を務める南信乃介さんから講演いただきました。同地区の住民は沖縄戦の最中、軍や行政機関によってガマから追われ、南部など各地を転々とするなかで、多くの人が命を落としました。

2・3日目:フィールドワーク
2日目と3日目のフィールドワークでは大型バスに分乗し、辺野古、嘉数高台・普天間基地、糸数豪(アブチラガマ)、平和祈念公園、ひめゆりの塔などの戦跡・基地を回りました。参加者は、平和ガイドの説明を聞きながら、沖縄戦と基地問題についての学びを深めました。

日頃、広島で平和公園での碑めぐりガイド、平和資料館での語り部の活動をおこなっている、大学1年生の山本芽依さんは「沖縄戦のことはあまり知らなかった。一番知れて良かったのは沖縄の人が基地についてどう思っているかを知れたこと。基地反対運動などその理由を深く知る事ができた。『基地があることによる不安な気持ちを、後世にも残していなかいといけないのか』というガイドさんの言葉を聞いて、合点がいった。」
「長崎、東京、沖縄など各地で被害があったが、広島で生まれ育ったので広島のことしか知らなかった。広島でガイドをするなかで、広島に関する知識だけでは不十分だと思っていたので、沖縄のことを知れて良かった。」
と熱心に話してくれました。

アブチラガマで折り鶴を奉納する山本さん(中央)

ピースアクションは一部の企画を除いて、生協の組合員はもちろん、そうでない方の参加、視聴も可能で、参加無料です。戦争・被爆の実相や当事者の思いに触れることができるピースアクションを通して、一人一人が動き出せるような取り組みで平和を目指し続けていきたいと考えています。

※今後も日本生協連・各会員生協の平和の取り組みについて、発信していきます。

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