2022年6月17日 14:30

全国の主要地域生協の2021年度供給高はコロナ前の2019年比で伸長を維持

医療・学校生協を含む全国の会員生協総組合員数が初の3,000万人台に/「DX-CO・OPプロジェクト」:若年層へのアプローチと定着に向け、デジタルツールを活用した組合員 活動の実証実験を開始

日本生活協同組合連合会(略称:日本生協連、代表理事会長:土屋敏夫)は、2021年度業績および2022年度方針について取りまとめましたので発表いたします。また、生協の横断的な取り組み「DX-CO・OPプロジェクト」の新しい取り組みについても併せてご報告いたします。

地域生協:21年度供給高はコロナ前となる19年度との比較で伸長を維持

 全国63主要地域生協の2021年度の供給高(売上高)は3兆922億円(推計値、20年比98.9%)となりました。宅配・店舗事業ともに前年割れとなりましたが、新型コロナ感染拡大前となる19年との比較では宅配事業は114.8%、店舗事業は103.4%と伸長を維持しています。

①宅配事業:供給高は前年割れとなるも、19年比では2桁伸長。個配は1兆5,815億円(推計値、20年比100.2%)と引き続き好調に推移

 宅配事業供給高は2兆1,148億円(推計値、20年比99.2%)と前年を下回るも19年比では114.8%と伸長し好調に推移しています。また個配は20年比100.2%となる1兆5,815億円(推計値)と引き続き好調です。コロナ禍で増加したWeb加入は、19年比240%超の伸長となりました。
 

②店舗事業:供給高は20年比97.7%となる9,273億円

 店舗事業供給高は9,273億円(推計値、20年比97.7%)となりました。コロナ禍を経て、店舗に行く回数を減らし、まとめ買いをする方が増加傾向でした。

地域生協:2022年度方針を策定

地域生協では2022年度方針として以下の4つの方針を策定しました。

1.宅配事業のリノベーション(再強化)
SNSやWebでのデジタルコミュニケーションを強化し、若年層を中心とした加入促進に取り組みます。組合員データに基づくレコメンド・提案、注文サイト・アプリの改善により、一人当たり利用高の維持・向上に努めます。

2.店舗事業の黒字化
魅力ある店舗づくりに向け、積極的なリニューアルに取り組みます。需要の高まっている総菜・冷食など簡便・即食品を強化し、低価格志向に対応します。
また宅配事業との連携や、買い物支援を通じた地域貢献など、生協ならではの総合力を活かした店舗を展開します。さらに、宅配ステーションやドライブスルー、ネットスーパーなど新たな受け取り方法の検討も進めます。

3.魅力ある商品づくり・品質保証
“コープ商品「おいしさと健康でNo.1」へ”をスローガンに、“減塩に取り組みたい” “食物繊維・タンパク質を摂りたい”といった組合員の声からの開発・改善に引き続き取り組みます。
また、組合員からのニーズが高まっている時短商品や、コープ商品のエシカル対応を強化します。地域の農畜産業に貢献する特色ある商品づくりにも取り組みます。

4ICTによる事業・活動のデジタル変革
生協の横断的な取り組み「DX-CO・OPプロジェクト」の地域生協での実証実験と導入を進め、全国での展開に向け、課題を検討します。
経済産業省による「2025年の崖」の問題提起を踏まえてまとめた「ICT中期計画(2020-2025年)」に基づき、全国生協で情報システム基盤の刷新・共同化によるコスト削減と未来開発を進めるための具体策の検討を進めます。
全国の生協で、①OAコミュニケーション②情報(商品、顧客)③業務システム④システムインフラの4つの連携プラットフォームづくりに挑戦しています。

 医療・学校生協を含む全国の会員生協総組合員数が初の3,000万人台に

 21年度の全国の生協組合員数は3,027万人(推計値、20年比101.0%)と、初の3,000万人台になりました。

  • DX-COOPプロジェクト:若年層へのアプローチと定着に向け、デジタルツールを活用した組合員活動の実証実験を開始

  •  「DX-CO・OPプロジェクト」は、日本生協連が、生活協同組合コープ東北サンネット事業連合、コープデリ生活協同組合連合会、生活協同組合東海コープ事業連合と4者共同で組合員の新しいくらしの実現を目指す、生協の横断的な取り組みです。

 2021年4月から、同プロジェクトを推進するために策定した3つのコンセプトと具体的施策について、3つの連合会下での検証を行っています。これらの検証結果をもとに、成果が確認できた施策から順次、日本生協連を通じて全国の生協へ導入を進めていきます。

ご参考:2021225日発表ニュースリリース
組合員の新しいくらしの実現を目指す、生協の横断的な取り組み「DX-CO・OPプロジェクト」本格始動https://jccu.coop/info/newsrelease/2021/20210225_01.html 

  • ①組合員同士のつながりづくりが広がるデジタルツールの実証実験がスタート

 従来の組合員活動は、地域にある生協の店舗の一室などを利用し、主には平日に開催されており、時間に余裕がない方や仕事をしている方たちの参加が難しいのが課題となっていました。また、組合員に参加を呼び掛ける方法も店頭でのチラシの掲示や、宅配でチラシを配布するなどの告知によるものが主であり、情報をスマホやSNSから得ている方たちへの周知が十分には行えていないことも課題でした。
 これからの時代に即した組合員活動を広げていくために、組合員同士のつながりづくりがひろがるデジタルツールの実証実験がスタートしました。
 このツールを使うことで、組合員は自身の興味や都合に合わせてイベントに参加できるほか、子どもや暮らしにまつわるちょっとした相談事をしたり、仲間を募ってオンラインやリアルの企画を実施したり、これまでの同じ時間・同じ場所に集う組合員活動から、多様なカタチの活動に参加できるようになります。
※本取り組みは、コンセプト2 「流動的な地域共同体のプロデューサー」に基づく取り組みです

  • ②レシピから注文できるWebサービス「コープシェフ」の全国展開が進む

 お好みのレシピをタップすると、レシピに使われている食材を注文できるWebサービス「コープシェフ」は、当初はみやぎ生活協同組合のみのスタートでしたが、昨年の5月末から生活協同組合コープ東北サンネット事業連合全体(6生協)に広がりました。その後、生活協同組合連合会コープ中国四国事業連合、生活協同組合コープ北陸事業連合、生活協同組合連合会東海コープ事業連合にも広がっています。

 利用者からは「人数によって注文数を変えることができ大変便利」「必要な材料が一覧で表示されるので、冷蔵庫の中身を見ながら注文を調整して買い物している」「初めて入っても操作が分かりやすく、沢山のメニュー提案があり、購入目当てだけでなくても使える」などのご意見をいただいています。※本取り組みは、コンセプト1:「家族との豊かな関係構築を支援するパートナー」に基づく取り組みです


③生活協同組合 コープあいちでAIによる配送コース最適化の2回目の実験を実施し、導入効果を実証
 コープあいち三好センターでは、2021年10月~2022年3月の期間、AIソリューション「Loogia」を使った配送コース最適化の2回目の実証実験が行われました。AIがより生産性の高いコース設計を行い、実際にコースを確認しながら配達時間や走行距離の短縮の効果があるかを検証した結果、「総稼働時間の減少」と「訪問件数の増加」をともに実現でき、導入効果を実証しました。
 今後も全国生協での導入に向けて検証を継続してまいります。
※本取り組みは、コンセプト3 「安心して生協のサービスを利用いただくためのサポーター」に基づく取り組みです

 日本生協連:総供給高4,329億円(20年比4%、2019年比110.3%)と伸長を維持

 日本生協連の総供給高は4,329億円(20年比98.4%、19年比110.3%)となりました。前年に届かない事業が多くなったものの、コロナ前となる19年比ではいずれも100%を超え、伸長を維持しています。
 コープ商品事業供給高は3,383億円(20年比99.4%、19年比109.3%)となり、商品分類では特に冷凍食品、菓子飲料、家庭用品が好調で前年超えとなりました。NB商品を主とした日用品・消耗品の供給を行うキャロット事業供給高は、369億円(20年比91.4%、19年比110.8%)となり、昨年に引き続き日用品、台所用品が好調でした。そのほか、衣料品などの供給を行うカタログ事業は繊維品・日用品を中心に家庭用品が全体をけん引し540億円(20年比97.3%、19年比116.3%)、ギフト事業供給高は36億円(20年比103.0%、19年比121.7%)となりました。