熊本のSDGs最前線、“森の資源”がエネルギーと地域通貨に変わる 小国町が推進する地域循環型「木の駅プロジェクト」
- 空港のSDGs発信拠点・SDGs教育旅行も登場 -
2026.3.13 11:00
熊本県では、持続可能な社会の実現に向け、教育・観光・産業・地域づくり等の分野でSDGsに関する取り組みを推進しています。本ニュースレターでは、県内の取り組みのうち、森林資源を活かした地域循環型低炭素の仕組み「SDGs未来都市・小国町の低炭素モデル」をはじめ、「SDGs情報発信拠点」「SDGsをテーマとした教育旅行プログラム」など、注目すべき熊本のSDGs情報をお届けいたします。

小国町の山林風景
SDGs未来都市に選定された「小国町」の取り組み
<森を守り、熱をつくり、地域で経済を回す 「木の駅プロジェクト」とは>
2018年、持続可能な未来へ向けた取り組みが評価され、小国町は内閣府からSDGs未来都市に選定されました。その主要な取り組みのひとつとして、森林資源を活かした地域住民参加型の「木の駅プロジェクト」が挙げられます。当プロジェクトは、森林整備で出る間伐材などを地域住民やボランティアが“木の駅”に集め、地域施設の木質ボイラー用の薪として活用することで、化石燃料の使用削減につなげる取り組みです。
薪の出荷者には地域通貨(モリ券)が支給され、町内の加盟56店舗で使える仕組みにより、地域内の経済循環も生み出しています。
■出荷の流れとプロジェクトの特徴
| 出荷の流れ ①出荷登録 ②山の管理で生まれた未利用の間伐材を木の駅へ出荷 ③地域通貨「モリ券」を受け取る ④地域の加盟店で「モリ券」を利用 昔から林業が盛んな小国町の歴史背景をベースに、森林を守るための間伐作業をする住民と、エネルギーを必要とする地域施設(木魂館)を繋げます。その対価として地域通貨を発行し、町内の加盟店で使うことで地域経済も動かす取り組みです。加盟56店舗は飲食店をはじめ、スーパー、電気屋、銭湯など生活に紐づくお店が集まっています。これにより、森林資源を起点に「地域経済の循環」と「エネルギーの地産地消」を同時に回す地域循環サイクルを実現しています。 |
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■令和6年度参考数値
◇年間の換算金額:約80万円
◇出荷登録総数:82名
◇入荷量合計:約120t
■プロジェクト立ち上げの背景
この取り組みは、「木の駅」の拠点で、学習と交流を目的に作られた木造施設「木魂館」を管理する一般財団法人 学びやの里と小国町が連携して進めてきたプロジェクトです。
スタートの背景として、木魂館には温泉やレストランが併設されており、給湯や源泉に熱源が必要だったこと、そして当時は重油ボイラーで化石燃料を燃やして熱を供給していたため、費用や環境負荷の面から抜本的に見直したい思いがありました。
江戸時代から植林の歴史を持つ林業の町として発展してきた小国町の課題は、山を所有している地域の方々が適切に森林を管理し続ける環境を整える必要があること。適正な管理がされないと、山に置かれたままの林地残材が、大雨時に流れ出すことで災害リスクを高める可能性があり、地域の方々を巻き込んだ施策が求められていました。
そこで、立ち上げられた施策が森づくりと地域経済、そして低炭素化を一本につなげる地域循環サイクル「木の駅プロジェクト」です。
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| 木魂館 | 薪で沸かした天然温泉「博士の湯」 |
■集まった薪の活用
木の駅に集まった薪は木質ボイラーの燃料として活用し、燃焼熱を熱交換で温水に変えて貯湯します。温水は木魂館の温泉(博士の湯)の加温やシャワー、レストラン等の給湯に用い、施設運営の熱需要を支えています。重油使用量の削減にもつながり、森の手入れが地域の暮らしに還元される循環を形にしています。
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| 木の駅に集まった木材 | 木質ボイラー |
<地熱と共に生きる:わいた温泉郷発、持続可能な生活のかたち>
その他、小国町の一部地域では地面の各所から蒸気が立ち上がるほど地熱資源が豊富な場所として知られています。地熱は観光地である「わいた温泉郷」の魅力だけでなく、小国町の持続可能な生活の在り方として重要な要素を持っています。
地域の一部では地熱を暖房に活用したり、野菜や洗濯物の乾燥、木材乾燥、調理などに利用したりと、日常の中で地熱が自然に使われています。こうした取り組みは、地域にあるエネルギーを無理なく活かし、化石燃料への依存を抑えるという意味で「持続可能な生活」の一助となっています。
小国町では、2015年に「わいた地熱発電所」が運転を開始しました。さらに2024年には「小国町おこしエネルギー地熱発電所」が運転を開始し、町の持続的な発展に寄与しています。
わいた温泉郷
SDGsをテーマとした探究学習プログラム :「熊本県教育旅行」
熊本県観光連盟・熊本県観光振興課では、SDGsをテーマとした探究学習プログラムの造成を支援しています。県内のさまざまなSDGs関連の取組みを体験・体感いただける、貴重な教育の機会を提供いたします。
※熊本県教育旅行 公式HP: https://kumamoto.guide/shugaku/
<小国町で学ぶ「持続可能な低炭素社会」>
教育旅行の学習プランとして、本資料でもご紹介した小国町の取り組みを学ぶ「『SDGs未来都市』小国町に学ぶ持続可能な低炭素社会の実現」が用意されています。森林資源・地熱・温泉といった地域資源を活かし、低炭素社会の実現を目指す小国町の取り組みを、視察・体験を通じて学ぶ内容です。
■実施概要
◇受入:通年/受入人数:約120名
◇所要時間:30〜150分
◇プログラム例:木の駅プロジェクト視察、地熱バイナリー発電視察、地熱乾燥施設視察、地熱珈琲体験、温泉まんじゅう地獄蒸し体験(各メニューは料金設定あり)
※当プログラム紹介ページ: https://kumamoto.guide/shugaku/programs/detail/454
木の駅プロジェクトの視察、地熱バイナリー発電の視察、地熱乾燥や地熱珈琲の体験など、複数の現場をセットで見ることで、小国町の低炭素モデルを総合的に捉えやすい構成となっています。
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地熱バイナリー発電の視察の様子
くまもとSDGsミライパーク : 熊本の玄関口から、SDGsを“手軽に体感”
2025年4月、熊本の玄関口である阿蘇くまもと空港敷地内(そらよかビジターセンター)に、「くまもとSDGsミライパーク」がオープンしました。
施設では、企業展示やワークショップを通じて、地域企業が取り組む環境・社会課題へのアクションに触れながら、県内のSDGsに関する最新情報を一気に知ることができます。
■くまもとSDGsミライパークとは
国内外から施設を訪れる修学旅行や社会科見学の児童・生徒などを対象としたSDGsの「実行」と「キャリア」を軸に探究学習を行う『教育テーマパーク』。 地域の未来を担う子ども達へSDGsを実践する機会を提供すること、自治体を含めた企業のSDGsの取り組みについての情報を発信することを目的としています。

施設は、300名収容のワークショップエリア、企業展示エリア、SDGsショップエリアで構成され、来場者は、別途受講料を払うことによりワークショップや企業・自治体の展示などでSDGsについて学べます。また、世界規模の課題はもとより、地元熊本県ならではの防災や半導体をベースとしたテクノロジープログラムにも力を入れています。
※公式HP: https://www.higobank.co.jp/business/miraipark/
地域循環サイクル




