インドネシアの水問題に取り組むAPPグループ (ニュースレター 2019年8月 )

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2019.8.12 00:00

深刻なインドネシアの水の問題

インドネシアは世界で4番目に人口 が多い東南アジア最大の国ですが、国 民 2 億 6,700 万人のうち 1 億人以 上が清浄な水を使える環境になく、さら に河川の 80%は都市ゴミで汚染され ています。また、人口増加や森林破壊 に伴い、近年、インドネシアの水の問題 は深刻さを増しています。

 

国連グローバル・コンパクトthe CEO Water Mandateへの参加

水は人にとって貴重な資源です。水 の問題の重要性と、問題解決のために 企業が国際社会で果たすべき役割を 認識し、APPグループは2011年に国 連のグローバル・コンパクト the CEO Water Mandate に署名しました。 The CEO Water Mandateは、国連 グローバル・コンパクトの協力のもと、 2007 年にスイスで立ち上げられた水 の持続可能性に関する課題に取り組 む国際的なプラットフォームです。 APP はインドネシアにおけるきれいな 飲料水の確保と公衆衛生の改善の必 要性から、Indonesia Water Mandate working Groupに参加し
ました。その後、APP は同グループの議 長に選任され、水の問題の解決に率 先して取り組んできています。ここでその 活動事例の一端を紹介させていただき ます。

 

APPグループ製紙工場での取り組み

製紙産業は森林資源と水を大量に 必要とする産業です。実際、1 トンの 紙を作るのに、約50-60トンの水を必 要とします。このため、APP グループの 各製紙工場では、河川から取水して 紙の生産に利用した排水を回収し、 再利用するなどして節水に努めていま す。使用後の水は製紙工程で生じる 汚濁物質を含んでいるため、高度な排 水処理技術で汚濁物質が除去されま す。こうしてきれいになった水を、製紙 工程で再利用しているのです。また、 排水処理の過程で発生するスラッジ (汚泥)も回収され、ボイラーなどでバ イオマスエネルギー源として活用されて います。

 

清浄な水を僻地に供給

APP グループの製紙会社のひとつで あるインダ・キアット社セラン工場(ジャ ワ島バンテン州セラン県)周辺では、 清浄な水の確保が困難なため、同社の浄水設備で処理された清浄な水を 地域に供給する社会貢献活動が実 施されています。

また、近隣のカジャウィハムレット村や ワリクソン村では、同社が共同井戸を 設置したことにより、清浄な水を利用で きるようになりました。これらの村では、 かつては清浄な水を使うことができず、 入浴や洗濯だけでなく、調理や飲料水 にも付近の河川の水を使ってきましたが、 水質は悪く、問題となっていました。 インダ・キアット社は地域の要望に応 え、水道工事業者と協力して地域の 共同井戸を掘り、住民に清浄な水を 使ってもらっています。この井戸は 2012 年に掘削されたものですが、現 在も引き続き使用されており、村の寺 院の近くにあることから、イスラム教徒が 身を清める際にも使われています。現 在、この共同井戸は地域住民によって 維持・管理されています。各世帯は年 額1万ルピア(約76円)を支払っており、そうして集められた資金は設備の 修繕や維持に使われています。

 

Habitat for Humanity Indonesiaとの協力事業

Habitat for Humanityは、「だれ もがきちんとした場所で暮らせる世界」 の実現を目指す国際 NGO であり、 APPは2010年から貧困地域での住 宅の建設や衛生問題の改善に共同で 取り組んでいます。 APP グループのインダ・キアット社は Habitat for Humanity Indonesia と協力して井戸を掘削するなど、清浄 な水を供給する事業を行っており、村 落の家にトイレや下水設備を導入した り、住民に衛生習慣を身につけてもらう ための啓蒙活動を実施したりしていま す。また、水田灌漑用の水を確保する ために、セラン県の複数の集落に 36 基の給水ポンプを提供しました。その結 果、作物の収穫量は質量ともに向上 し、住民の生活水準が向上しました。 こうした支援事業が大規模に実施され ることにより、長期的には貧困率を 6-8%まで削減するという政府目標の 達成につながると期待されています。

 

世界「水の日」のセミナーを国連機関 と共同で開催

2019年4月22日、APPは世界 「水の日」を記念して、インドネシア・グ ローバル・コンパクト・ネットワーク (Indonesia Global Compact Network/IGCN) とジャカルタのユネ スコ代表部と共同で、「誰一人取り残 さない」をテーマとするセミナーを開催し
ました。このセミナーは世界で重要な課 題となっている「清浄水の利用」に焦点 を当てたものでした。IGCNは現在、地 中に垂直に伸びるバイオポアという筒状 の穴の設置に積極的に取り組んでいま す。これは土壌に水を浸透させる方法 で、土壌の保水力を高めると共に、地 上で溢れた水を土壌に吸収させる効 果があります。 2018 年、APP が主導している Indonesia Water Mandate 作業 部会は、洪水の影響を受けやすい景 観地域に 95 万本のバイオポアを造成 しました。

 

パリ島での成功事例

パリ島はジャカルタ港から高速船で 45分の小さな島で、観光地としても知 られています。APP はパリ島における水 の利用環境と水質に関するプロジェクト を 2016 年に開始しました。パリ島の 人々に貯水技術を伝授するとともに、 水や廃棄物の管理、汚水処理に関す る研修などを行ってきました。

このプロジェクトによって、パリ島の 人々の生活水準は著しく向上し、島を 訪れる観光客の水の利用方法は改善 され、ゴミの削減に対する理解も深まり ました。この成功事例は「小さな島にお ける水の安全性と持続可能な生活に 対する意識啓発」というユネスコの新事 業に発展しています。パリ島でのこうし た成功事例に続き、APPとベランターラ 基金はベルバック・センブラン地区で、
水の確保と公衆衛生に関する取り組 みを開始しています。同地区にあるスン サン村では 2 機の浄水設備が導入さ れ、320世帯に飲料水を供給している ほか、野外で排泄行為をさせないため に屋外トイレ100基を設置しました。

 

SDGsの達成に貢献

インドネシアでは、水問題によって SDGs の達成がむずかしくなっています。 上水道設備導入の遅れから水道水は 飲料として使用できず、下水道も十分 に整備されていないのが現状です。こう した複合的で困難な課題を克服する には複数のステークホルダーと協力した 取り組みが必要であり、APP は国連グ ローバル・コンパクト行動部会のメン バーとともに2011年から活動を続けて います。
APPは自社工場の周辺にある地域 コミュニティが清浄な水を利用できるよう にするとともに、衛生状態を改善するた めに住民に対して衛生教育を行うなど、 持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals/SDGs)の3 番目と 6 番目の目標である「すべての 人に健康と福祉を」と「安全な水とトイ レを世界中に」の達成に貢献していま す。APP は責任ある企業として、国連 のthe CEO Water Mandateに参 加している他の企業やNGOと共に、こ れからも水問題の解決に取り組んでま いります。