日本生協連 平和の活動 vol.4

~ピースアクションinヒロシマ・ナガサキ開催報告~ 全国から生協組合員3,400名が集い、平和について考え・伝える

「平和とよりよい生活のために」―日本生活協同組合連合会(略称:日本生協連、代表理事会長:土屋 敏夫)は設立にあたって“協同組合は平和なくしては存立できない”との思いでこの理念を掲げ、平和活動「ピースアクション」に取り組んでいます。今年は8月4~5日の2日間を広島、8月7~8日の2日間を長崎で開催し、オンラインでの参加者を含め全国から延べ約3,400名が参加しました。

ピースアクションは、学習会や交流会を通して、戦争・被爆体験の継承や、世界のさまざまな戦争や紛争、基地問題、憲法など、多角的なテーマで平和を考える生協独自の取り組みです。毎年夏に広島・長崎で開催しており、今年で47回目です。今回は、被爆・戦後80年を前に、次世代への継承を意識し、テクノロジーを用いた平和活動の紹介、平和活動に取り組む若者たちとの企画、生協の若手職員が考案する企画など、様々な企画を通して平和について考える取り組みがおこなわれました。

今号では、今年の「ピースアクションinヒロシマ・ナガサキ」の様子をお伝えします。
特設サイト:https://peace.jccu.coop/hiroshimanagasaki/

ミライの平和活動

日本生協連とCO・OP PEACE MAPなどの共同研究を行っている東京大学大学院の渡邉英徳教授から、デジタルアーカイブをはじめ、テクノロジーを活用して戦争の記憶を後世に伝えるプロジェクトが紹介されました。ゲストとして、スマートフォンのAR(拡張現実)を用いて被爆体験の継承に取り組むKNOW NUKES TOKYO共同代表 中村涼香さんが登壇し、活動についてお話いただきました。

本企画は、8月4~8日に長崎市役所で開催された「ミライの平和活動展 in 長崎〜テクノロジーでつながる世界〜」の関連企画として実施されました。同展は、テクノロジーを活用して世界の紛争地域の被災状況を伝える展示や、原爆写真展などの平和コンテンツを体験できる企画で、昨年は広島で開催されています。

新企画【Change Makers-若者×生協で考える新しい平和活動-】

次世代に平和への想いを継承していくためのヒントを参加者が得ることを目的に、日本生協連の若手職員が考案した新企画「Change Makers-若者×生協で考える新しい平和活動」を広島・長崎で開催しました。長崎では、核兵器廃絶長崎連絡協議会が主催する人材育成プロジェクトであるナガサキ・ユース代表団の金子真歩さん、小林万葉さんが登壇。ご講演の後、両名と生協職員が「新しい平和活動」をテーマにディスカッションを行い、参加者からは「平和について考え実際に行動に移すことの大切さを学んだ」、「平和活動について若い世代をどう巻き込んで活動するか考えたい」といった声が聞かれました。

ユースフォーラム

被爆体験や平和について次世代に伝える「ユースフォーラム」では、平和活動に取り組んでいる3名の若者のお話を聞きました。その後、参加者同士でも意見交換を行い、交流しました。
参加者からは「若者が活動している様子を詳しく知れて、とても意義深かった」、「広島、長崎に比べて自分たちが暮らしている地域は平和学習の機会が少なく、自分たちから知ろうとしなければ深く知ることが出来ない。そのため平和活動への認識が低い生活となっていることに気が付いた」といった感想がよせられました。

子ども平和会議

子ども平和会議は、未来の担い手である子どもたちが事前学習やワークショップに参加して、平和について一緒に学び、考える企画です。コロナ禍以降はオンラインで開催していましたが、今年はハイブリッドで開催し、5年ぶりに13都府県の小学生~高校生までの55名の子どもたちが広島に集まりました。参加者は事前学習で、居住地域の戦跡を調べ、子ども平和会議の場に持ち寄り、平和についてできることを話し合いました。会議で出された意見は、その後議長団によってまとめられ、ピースアクション in ナガサキ「虹のひろば」のなかでアピール文として発表されました。

<アピール文抜粋>
「今年で被爆79年を迎える今、私たちはどのようにして平和に対する願いを後世に伝えていくべきなのでしょうか。相手を理解し合い良好な関係を築く、若者が被爆者の想いを受け継ぐ、正しい知識を得る、SNSで発信する。これらを通じて、身近な人に伝えることが平和な世界にするための第一歩となると思います。そしてそれを聞いた人がさらに自分の身近な人に伝えていく。この連鎖が次の世代に繋げていくための架け橋となるでしょう。」

今後も日本生協連・各会員生協の平和の取り組みについて、発信していきます。

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日本生協連 平和の活動 vol.3~ピースアクションinヒロシマ・ナガサキが開催されるまで~原爆の日を前に、全国から生協組合員3,000人が被爆地に集まるのはなぜ?