【ニュースレター】「半導体」産業に多岐にわたり関わる、三菱ケミカルグループの関連製品・サービス

2030年には世界市場100兆円規模へ※ 5G、AI、コネクテッドカーの普及など、これからの人々の暮らしの基礎となる「半導体」

「半導体」産業に多岐にわたり関わる、三菱ケミカルグループの関連製品・サービスをご紹介します。

 ライフスタイルの変化、5G、AI、IoT の普及によるデータ通信量の増加、コネクテッドカーの増加などを背景に、半導体デバイスの需要は年々増加傾向です。世界の半導体市場は、2001年は20兆円弱でしたが、2025年には70兆円超、そして2030年には100兆円規模になると予測されています※。

※2021年経済産業省 1回半導体・デジタル産業戦略検討会議資料「世界の半導体市場と主要なプレイヤー」

 日本の化学メーカー最大手である三菱ケミカルグループは、 世界をリードするスペシャリティマテリアルグループを目指し、グローバルな主要トレンドを踏まえ、EV/モビリティ、デジタル、食品といった注力市場を特定しています。デジタルの中核である半導体分野については、2025年度に1,500億円の売り上げを目指しています。三菱ケミカルグループは、半導体メーカーなどのお客様と共に課題解決に取り組み、革新的なソリューションを通じて半導体製造を支えています。本レターでは、半導体分野における三菱ケミカルグループの製品やサービスをご紹介します。

CONTENTS

・半導体製造工程における三菱ケミカルグループの主な製品・サービス
半導体の製造工程のご説明とともに当社グループの製品・サービスがどこで活躍しているかご紹介します。

・半導体製造 前工程に関する製品・サービス

・半導体製造 後工程に関する製品・サービス

・半導体製造の工程を通じて活躍する製品・サービス/その他

◆半導体とは

電気を通す「導体」と電気を通さない「絶縁体」の中間に位置する物質で、シリコンが代表格です。普段は電気を通しませんが、条件によって電気を通したり、通しにくくしたりする伝導特性を持っています。
現在では、その特性を利用して開発した電子部品を広く「半導体」と呼びます。
主な「半導体」としては、IC(集積回路)、LSI(大規模集積回路)、記憶装置(メモリー)などがあり、スマートフォンやパソコン、自動車、家電製品などさまざまな製品に使われ、産業の基盤として社会生活に必要不可欠なものとなっています。

半導体製造工程における三菱ケミカルグループの主な製品・サービス

半導体の製造工程は、前工程と後工程の2つに大きく分かれています。
前工程では、シリコンウエハー上に電子回路を形成し、後工程では、シリコンウエハーから半導体チップを切り出し、固定・封入(パッケージング)して製品にします。

半導体製造 前工程に関する三菱ケミカルグループの製品・サービス

① 合成石英粉「三菱合成石英」

合成石英紛は、シリコンウエハーのもととなる高純度単結晶の塊(インゴット)の製造で使用する石英ルツボの内装材料です。
インゴットに不純物が混入するとシリコンウエハーの品質に大きく影響するため非常に高い純度が求められます。「三菱合成石英」は独自の製法により、砂状シリカとしては世界最高レベルの純度を実現しており、多くのお客様に採用されています。

② 窒化ガリウム基板

窒化ガリウム(GaN)基板は、シリコン系デバイスより高速動作が可能で、かつ抵抗が小さく電力ロスが少ない、超高効率デバイスの実現を可能にする素材として、パワー半導体や次世代EV、5Gなどの分野での活用が期待されています。
新たに開発した酸性アモノサーマル技術「SCAATTM」により、従来のGaN基板製造法よりも高い品質を実現しました。さらに、生産性の向上を求めて国立大学法人東北大学および㈱日本製鋼所と共同で低圧酸性アモノサーマル技術を開発しました。2021年5月から㈱日本製鋼所と共同で、生産性を高めた新たな製造技術「SCAATTM-LP」によるGaN基板の量産に向けた実証実験を行い、2023年度下期からのサンプル供給を予定しています。

③ 電子工業薬品(EL薬品)

EL薬品は、シリコンウエハー上の不純物やゴミを取り除くための薬品です。不純物やゴミが残っているとショートなどの原因となり半導体として機能しなくなることから、非常に高い純度が求められます。三菱ケミカルグループでは、メタル不純物含有量0.01ppb(1,000億分の1)以下を実現する精製技術と、不純物が混入していないかを最先端レベルで確認する分析技術、さらに高純度なままお客様に届ける品質管理技術で応えています。

半導体製造 前工程に関する三菱ケミカルグループの製品・サービス

⑤ 電子線リソグラフィー用帯電防止剤「アクアセーブTM」 
フォトレジスト用現像性ポリマー「リソマックスTM」

「アクアセーブTM」は、フォトマスクに回路パターンを描く際に使われる水溶性の帯電防止剤で、導電性が高く、レジストとの相性に優れた製品です。「リソマックスTM」は、回路パターンをウエハーに焼き付ける際のレジストに使用される現像性ポリマーで、金属含有量や不純物が非常に少ないのが特長です。
現在、回路パターンの微細化が進み、これまで以上に高い性能が求められています。その要求に応える製品として提供し、世界中の大手レジストメーカーに採用されています。

⑥ CMP(研磨)後洗浄剤

ウエハー上の配線の多層化に伴い、一層ごとに配線の表面を平坦化する重要性が高まっています。
CMP(研磨)後洗浄剤は、CMPによって発生する削りカスや汚れなどを除去するための洗浄剤で、高い洗浄性能が求められます。一方で、配線を侵さず異物を除去しなければなりません。
三菱ケミカルグループでは「高い洗浄性」と「配線を侵さず異物を除去」という2つの洗浄性を両立するとともに、お客様ごとに異なる要求に応えてカスタマイズを行い、評価と改善を繰り返すことで高い品質を維持しています。

⑦ CMP(研磨)ウエハーガイドリング用
切削エンジニアリングプラスチック

三菱ケミカルグループの三菱ケミカルアドバンスドマテリアルズ㈱ではCMPプロセスにおいてウエハーをホールドするガイドリングに適した切削加工用エンジニアリングプラスチック素材「テクトロン™1000PPS」をラインナップしています。
「テクトロン™1000PPS」は精密な加工寸法を実現するとともに、低い摩耗率、幅広い耐薬品性能を有しています。
「テクトロン™1000PPS」により、CMPプロセスにおける長時間のウエハーの平坦化研磨が可能になるため、半導体メーカーの有用な選択肢となっています。

CMP(研磨)ウエハーガイドリング

半導体製造 後工程に関する三菱ケミカルグループの製品・サービス 

⑧ 半導体封止材向けエポキシ樹脂

エポキシ樹脂はエポキシ基をもつ合成樹脂の総称です。加熱すると固まる熱硬化性樹脂で、硬化剤や組み合わせる化合物などの種類・配合により、様々な特性をだすことができます。接着性がとても
強く接着剤として金属や磁器、コンクリートにも使用されるほか、絶縁性、耐水性にも優れ、熱や薬品にも強いことから電子機器にも最適な素材です。その特性から、半導体チップを覆って、埃や熱、湿気、衝撃などの外部環境から保護する封止材に欠かせない素材です。

三菱ケミカルグループの分子設計力で開発したエポキシ樹脂は、封止材に求められる耐熱性・耐水性、衝撃への強さなどの物性に加え、流動性をバランスよく兼ね備えているため、半導体封止材のデファクトスタンダード※として世界中で採用されています。
そのほか、半導体保護のソルダーレジストインク、半導体チップを保護し基板に固定するアンダーフィルにも使われるなど、半導体に欠かせない素材として活躍しています。

需要の増加に対応して2023年4月には九州事業所で新たな生産ラインを完成させました。1962年に日本で初めてエポキシ樹脂を製造した経験を活かし、これからも高品質なエポキシ樹脂の提供を目指します。

※デファクトスタンダード
ISO、JISなどの標準化団体が定めた規格ではなく、市場における競争で、結果として事実上標準化した基準を指す。

⑨ テストソケット用切削エンジニアリングプラスチック

半導体の完成後、電気的特性などを検査するためにテストソケットが用いられます。
三菱ケミカルグループの三菱ケミカルアドバンスドマテリアルズ㈱ではテストソケット向け切削加工用エンジニアリングプラスチック素材である「セミトロン™ MDSプレート™」をラインナップしています。回路パターンの微細化が進む半導体デバイスの検査用ソケット材料として、優れた寸法安定性と微細加工性を有しています。「セミトロン™ MDSプレート™」は半導体デバイスメーカーの高精度検査システムの実現をテストソケット用樹脂材料という側面から支援しています。

半導体製造の工程を通じて活躍する三菱ケミカルグループの製品・サービス/その他

⑩精密洗浄

三菱ケミカルグループでは、半導体製造装置のパーツ洗浄を行っています。
①半導体製造装置メーカーの製品パーツ洗浄、
②半導体デバイスメーカーの製造工程で汚れた装置パーツの洗浄
の2つのチャネルを持ち、ビジネス基盤を確立しています。

三菱ケミカルグループの総合力を活かし、最先端の半導体プロセスにおけるパーツ洗浄の課題解決に向け、様々なソリューションを提供しています。
日本や欧米のほか、半導体デバイス製造の中心である台湾、韓国、中国の全てに拠点を構え、世界で唯一グローバルに展開しています。

⑪産業ガス・半導体材料ガス・ガス供給設備

半導体工場で使用されるガスは非常に多岐に渡ります。
代表例としては、超高純度の窒素やアルゴンガスをはじめ、水素、ヘリウム、そしてロジック(演算素子)、メモリ(記憶素子)から、ディスクリート(個別半導体)まで、幅広い半導体デバイスの製造において不可欠な材料であるジボランガスなどの半導体材料ガスが挙げられ、半導体メーカー各社の製造能力の増強に合わせてその需要が急激に増加しています。
三菱ケミカルグループの日本酸素ホールディングス㈱では、国内でのみ製造していたジボランガスを韓国・中国でも製造を開始し、供給能力を高めています。レアガス(クリプトン・キセノン)の供給は、日本市場では大半を輸入で頼っていましたが、国内工場に製造装置を新たに設置し、安定供給に向けて着々と準備を進めています。

さらに、お客様の製造工場の隣接地に超高純度窒素製造装置や半導体材料ガス供給設備を備えた”トータル・ガス・センター”を設置し、パイプラインによる窒素や、材料ガスを24時間体制で安定供給しています。また、ほぼ無人化されている半導体製造工場において、ロボットやAIなど最新技術を用いてガス供給・管理をオートメーション化した次世代ガス供給システム
「インテリジェント・ガス・サプライングシステム(IGSS)」を開発しました。
半導体材料ガスの製造・供給の枠を越え、トータル・ソリューションでお客様をサポートしています。

※本資料に掲示の画像はイメージを含みます。