【ニュースレター】<東日本大震災から間もなく10年> 災害大国日本において、暮らしを守る・命を守るため 住まいの「総合免災」を目指す一条工務店の取り組み

未曾有の大災害となった東日本大震災から間もなく10年を迎えます。そして、この2月にも東北・関東を中心とした広域な最大震度6強という地震が発生いたしました。被害に遭われた皆様には、あらためてお見舞い申し上げます。

株式会社一条工務店では、この10年間、総合住宅カンパニーとして、この震災の記憶や教訓を決して忘れることなく、お客様により安心、安全なお住まいをご提供することに努めてまいりました。

応急仮設住宅の施工や復興支援住宅の販売など、住宅メーカーとしての被災地支援を積極的に進めたほか、震災や水災、風災など襲いくる自然災害の脅威にただ耐えるだけでなく、その後も“災害を免れたかのように暮らせる”住まいの「総合免災」を目指し、数々の実験と開発を積み重ねてまいりました。

被災地で暮らす方々へ、一日でも早く一人でも多く安心の住まいと暮らしを。応急仮設住宅の施工

一条工務店では、被災された方々のために、2011年5月~8月にかけて、宮城県南三陸町の総合スポーツ施設「平成の森」246戸をはじめ、被災地に計376戸に及ぶ応急仮設住宅の施工を実施しました。寒冷地でも快適にお住まいいただけるよう、断熱性が高いEPS断熱材と樹脂サッシを用いるなど、高断熱仕様としました。

万が一、建物が倒壊しても「人命」だけは守り抜く。社会貢献事業としての「木質耐震シェルター」

万が一、大地震で建物が倒壊したとしても、命だけは守りたい。その想いから、既存のお住まいに手を加えることなく、工期もわずか2日で設置できる木質耐震シェルターを開発し、総額27.5万円(税込)で提供しています。大きさは、内部にシングルベッドが2台設置できる広さを確保し、常時居住にも違和感のないクロス貼り仕上げとしています。出入口は、建具を取り付けると震災時に瓦礫で塞がれて開閉できなくなるため、枠のみの施工に。地方自治体の補助金制度の対象となり、更に安価に設置できる地域もあることから、累計棟数約1,000件と徐々に採用を増やしています。

住まいを、暮らしを守るため。東日本大震災以降、10年間で682もの加震実験を実施

◆耐震実験

住宅の倒壊率に関わる周期「キラーパルス」に挑む。 

耐震実験において、ガル(加速度)やカイン(速度)といった数値は地震の大きさを示す目安になります。これはどちらも「地面の動き」を示す数値です。しかし、過去に起こった地震波を分析し、実際の被害状況と照らし合わせて分かってきたのは、地震波の中にある「周期」と、地震で揺らされる建物の周期の関係が、住宅倒壊と深い関わりがあるということです。

一条工務店は、その事実に着目し、建物を倒壊させやすい周期(=キラーパルス)を含む、阪神・淡路大震災や東日本大震災を再現した地震波、さらに今後予想される南海トラフ地震などの想定波でのシミュレーションを繰り返し行っています。東日本大震災以降、10年間で682回もの加震を行い厳しい環境下で建物の強度を確認しています。

低層住宅に大きなダメージを与えるのは周期1秒前後の揺れ「キラーパルス(上図黄色部分)」。実は、東日本大震災の「築館波」よりも、阪神・淡路大震災の「鷹取波」の方が大きな力が加わっているのです。「鷹取波」の方が加速度(ガル)は小さいのに、建物を壊すパワーはなんと約100倍も大きいのです。

そのため、二つの地震波を比べると、加速度は東日本大震災の方が約4.5倍大きいにも関わらず、建物の倒壊率は阪神・淡路大震災の約1/125でした。

世界最大の震動実験施設「E-ディフェンス」での実証実験。

一条工務店では、世界最大の震動実験施設「E-ディフェンス※」での実験回数が業界最多を誇ります。そのデータは、学術的な分野や基準作りにも役立てられています。

また、実験では、現実的な間取りの建物に家具を配置し実際の暮らしを再現するなど、お客様にとって本当に安心な住まいをお届けするための検証を続けています。

※「E-ディフェンス」:阪神・淡路大震災の被害を受け、国家的な防災プロジェクトとして建設された、実大三次元震動破壊実験施設。構造物の耐震性向上に関わる研究開発と実践を促進する「究極の検証」手段となる施設。

実験に実験を重ねて、実現した高度な技術。必要なのは、「倒れない」以上の守る強さ。一条工務店「2倍耐震」の実現

建物が無事でも、巨大地震により屋内に様々な損傷を受け、それが災害後の生活復旧の遅れや大きな経済的負担に繋がる可能性があります。一条工務店の住まいは、建築基準法の2倍の強さを実現。 「建物が倒れないこと」だけに満足することなく、構造躯体はもちろん室内の仕上げ材にいたるまで、損傷をいかに小さくするかを追求しました。

家全体を強くするためには、より緻密な構造計算が必要となります。「2倍耐震」という、これまでにない強さを確保するため、高度な計算を一邸一邸行っています。また、数々の実大実験で得られたデータや情報をもとに、強度のある内壁と外壁をバランス良く配置することで、「2倍耐震」の強さを実現しました。

(ご参考)「総合免災」を目指す一条工務店。「水害」への取り組み。

◆耐水害実験

※東日本大震災規模の津波被害に対する耐性を保証するものではありません。

国立研究開発法人防災科学技術研究所にある大型降雨実験施設での「耐水害住宅」の実物大建物浸水実験。 

毎年のように、日本の至るところで発生している大規模な水害。頻発・大型化する台風や地球温暖化によるゲリラ豪雨などにより、私たちにとって水害は、身近な災害となりつつあります。

国立研究開発法人防災科学技術研究所にある大型降雨実験施設は、最大で1時間に300mmの豪雨を再現できる世界最大級の規模・能力を有する散水施設です。一条は、官民共同による水害被害の軽減プロジェクトとして、ゲリラ豪雨や洪水により河川の氾濫などが発生した際に懸念される、住宅の浸水被害を防止する「耐水害住宅」の実大実験を繰り返し行っています。

一条工務店の「耐水害住宅」と一般的な仕様の住宅を実験施設内に建築して、実大実験を実施。約3,000トンもの水を使って豪雨・洪水被害を再現し、「耐水害住宅」が浸水に強いことを証明しました。

住宅への「浮力」にも対応。あえて“浮かせる”ことで家を守る技術。

一般的な住宅には、水害に遭う恐れのある箇所が複数存在します。一条工務店では、これらを危険ポイントと定め、「浸水」「逆流」「水没」はもちろんのこと、住宅の水密性を高めた際に発生する住宅への「浮力」についても、これまで培った技術を活かし、一条ならではの対策を施しています。

一条工務店が「浮力」対策として開発した、浮かせて守る「浮上タイプ」では、船を港に係留するように、家を敷地内の四隅に設置したポールとつなぎ、家が完全に水没するような水害に見舞われても、被害を最小限に抑えられるように、あえて家を浮かせる仕様となっています。

防災科学技術研究所での実物大実験においても、床下・床上共に浸水はほぼなく、浮力に対しては専用の係留装置で安全に浮上し、災害後もそのまま生活できる状態を維持することが実証されました。

震災による停電時も、ほぼ普段通りの生活が送れる“電気を自給自足できる”一条工務店の「電力革命(太陽光&蓄電池)」

◆大容量かつ高出力の太陽光パネル&長寿命蓄電池。「最新年間で最も多くの太陽光搭載住宅を建てた会社」としてギネス世界記録™にも認定

甚大な自然災害に遭うと、ライフラインが断絶され、電気もない不自由な生活を余儀なくされることもあります。東日本大震災の際は、東北の被災地だけでなく、電力のひっ迫から関東地方でも計画停電が実施されるなど、電力の問題が世の中に大きな影響を与えました。

また、昨今では、震災等の災害時だけでなく、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、自宅で過ごす時間が長くなったことによる電気使用量の増加など、これまで以上に太陽光発電や蓄電池への関心も高まっています

電気の供給が止まると、私たちの生活に数々の影響を与えます。一条工務店の「電力革命」は、停電時も太陽光で発電し、夜間も蓄電池に貯めた電気を家中に供給。停電によってあらゆる生活家電が使えなくなる、テレビから情報が得られなくなるといった不便や不安をなくします。

一条工務店では、自社グループ工場で「屋根一体型太陽光パネル」を生産するラインを整備し、初期費用がリーズナブルでありながら後々の発電メリットにもご納得いただける太陽光発電システムをご提供。その結果、「最新年間で最も多くの太陽光搭載住宅を建てた会社」としてギネス世界記録™にも認められています。(記録名:Most solar-powered houses built – current 対象年:2019年)

■高出力・大容量の太陽光パネルを搭載。 

一条の太陽光パネル(250W※)は、従来のものと比べ、同じ面積で約1.2倍というトップクラスの出力を実現。さらに、一般的な後載せタイプとは異なり、屋根全体に隙間なく敷きつめることで、業界最高水準のパネルの大容量搭載を実現しました。

※1枚あたりのワット数。積雪地域は240W

■長寿命※1の蓄電池で、安心も長く続く。 

蓄電池の寿命は充放電のサイクル数が目安となります。一般的な蓄電池の約6,000サイクルに比べ、一条のオリジナル蓄電池は、なんと約12,000サイクル。約2倍の充放電サイクル※2を誇るため、長持ちする分、先々の設備再設置費用を抑えることもできて安心です。

※1蓄電池自体の期待寿命。蓄電システム自体の寿命を示すものではありません。

※2メーカー実測値

■停電時でも、電気が家中まるごと使える。 

一般的な太陽光の自立運転だけでは、災害時に使えるのは1つの専用コンセントだけ。一条工務店なら、停電時、太陽光パネルで創った電気や、蓄電池に充電した電気を、最大5.5kVAまで家中に供給することができ、ほぼ普段通りの生活を継続することができます。

耐震、耐風、耐水害・・・住まいの性能を体験できる「住まいの体験館」

一条工務店では、耐震、耐風、耐水害など、安心で快適な住まいをかなえる性能をお客様ご自身で実際に体験いただける「住まいの体験館」を全国※で展開しています。

※体験館所在地:札幌、盛岡、福島、栃木、千葉、山梨、新潟、浜松、名古屋、三重、大阪、香川、福岡

■地震体験:震度7の揺れとは?地震の揺れと建物の構造による違いを比較体験。

■耐風実験:風速30メートルの立っていられないほどの暴風を体験。

■ガラス飛散防止実験:竜巻や台風などの災害、泥棒によるうち破りを想定した、強固なガラスの性能を実験。

■耐水害住宅体験:洪水を想定した注水に対して浸水を防ぎながら建物を浮上させ、着地するまでを体験。