神戸のグローバル・メンターシップ・プログラムに参加した 企業が世界・日本で大活躍

~神戸は世界からスタートアップが集まるハブへ~

2021年、神戸市は過去5年間のスタートアップ支援実績を活かし、年間50社程度だった支援対象企業数を年間200社と急拡大することを目標に掲げ、新規事業「グローバル・メンターシップ・プログラム」を開始した。

支援数を拡大するだけでなく、これまでプログラム期間中のみ支援対象企業に提供していたメンタリングを、ニーズに応じてタイムリーに提供する「オーダーメイド型支援」を提供するなどきめ細やかな支援が特徴。マネックスグループ松本大氏をはじめ、国内外で活躍する約70名のメンターが参画し、プログラム開始から半年で目標の200社の支援を達成。現在、様々なバックグラウンドを持つ起業家の方々が、全世界から神戸に関わり、世界に向けてイノベーティブな事業を発信している。今年度「グローバル・メンターシップ・プログラム」に参加し、大きく事業成長が見込まれる2社の取り組みを紹介する。

1.プログラムに参加している注目の2社

Smart Tissues 3D SpA.
CEO Denise Zujurさん
「グループや個別メンタリングで、日本や世界の投資家とのつながりができました。ビジネス検証やネットワーク拡大ができ、日本のスタートアップコミュニティに参加することができました。」

株式会社fixU
代表取締役 CEO 山岡 源さん
「プログラムでは、複数のメンターに各々の視点からアドバイスをもらうことができ、ピッチの向上に役立ちました。」

●臓器移植問題を解決、人工で細胞を印刷する3Dバイオプリンティング

3Dバイオプリンティング技術を持つSmart Tissues 3D SpA. はチリを本拠地に、博士号保持者など計5名で設立されたスタートアップ。「3Dバイオプリンティング」とは、生物に類する有機物をプリントする技術を指し、バイオプリンターが生細胞を含むバイオインクを使用して、皮膚などの複雑な組織のような構造を構築することができる。室温でもプリント可能で、適切な生物学的および機械的特性を持つ新材料(特許申請中)を開発しており、唯一無二の技術を持つのが強みである。創業者のDenise氏は、現在京都を中心に活動しており、プログラム参加をきっかけに、神戸を候補に本格的な日本拠点の設立に向けて準備を進めている。デモデイでの登壇や、神戸医療産業都市とのつながりなど、新たな可能性の開拓を続けている。

●コロナ禍で店舗ビジネスの無人化を支援!関西学院大学出身、20代社長の挑戦

「店舗ビジネスの”あたりまえ”をアップデートする」をミッションに掲げる株式会社fixU(兵庫県神戸市)は、コワーキングスペース等の実店舗の無人運営や顧客管理ができるサービスを提供する。代表の山岡氏は奈良県出身の1996年生まれ。関西学院大学理工学部情報科学科でソーシャルネットワーク分析を専攻し、在学中に神戸市内のコワーキングスペースのシステム化による業務改善により収支改善を実現。学生時代の経験を活かし、2021年の卒業と同時に神戸市の「スタートアップ補助」を利用して、株式会社fixUを設立した。デモデイに参加し、今後の事業成長を目指す。

 2.背景―神戸は世界からスタートアップが集まるハブへ

先端テクノロジーを活用したビジネスで急成長を目指す起業家「スタートアップ」に神戸市が着目したのは2015年。スタートアップが挑戦でき、成長できる街にしていこうと、大きく舵を切った。

シリコンバレーの投資ファンド500 Globalと連携した起業家育成を、民間を含めても国内で初めて開始。2016年からの6年間で1000社以上(うち約半分が海外から)の参加申込があり、約180社が参加。参加企業の資金調達額は現時点で140億円を超える。

 

FinTech(金融)やEdTech(教育)といった「x Tech」という言葉の一つに、政府(Government)と技術(Technology)を組み合わせた、「GovTech(ガブテック)」がある。神戸市は、市職員とスタートアップが共同開発を進める「Urban Innovation KOBE」を2017年に全国で初めて実施。これまでに、子育てイベントを検索できるアプリによるイベント参加者増加や、区役所の窓口にあった紙マニュアルをタブレットアプリに置き換えて短時間で正確な案内できるようになるなど、成功事例が生まれ続けている。

このような自治体らしからぬ取組みを行ってきた神戸市だが、年間の支援社数は50社程度にとどまっていた。また、数か月のプログラム期間中は集中的な支援ができるが、終了後は支援が途切れてしまい、スタートアップからすると必要なときにニーズに合った支援を受けられる体制は整えられていなかった。そこで、2021年に新たに発表したのが、スタートアップのニーズに応じ、必要なときに支援を提供する「グローバル・メンターシップ・プログラム」だ。起業経験があり、スタートアップ業界に精通したInnovation Dojo Japan合同会社(兵庫県神戸市) CEOのジョシュア・フラネリー氏をはじめとした、経験豊富なコミュニティマネジャーに相談すると、ニーズに応じたメンターや支援機関をマッチングする。メンターには、国内外の著名な起業家や投資家など約70名が参加。2021年8月に事業を開始し、約半年で目標の200社の支援を実現している。定期的に少人数グループでメンタリングを行うイベント「メンターアワー」も開催しており、利用者からは「自分では会えないメンターに気軽に質問でき、ビジネスを進める上で有用なアドバイスをもらえた」と好評だ。また、この事業をきっかけに、神戸に関わる国内外の起業家のネットワークが形成され、神戸はスタートアップが集まるハブになっている。

コミュニティマネジャー ジョシュア・フラネリー 氏
Innovation Dojo Japan合同会社 CEO
オーストラリア出身。日本とオーストラリアで起業経験をもち、大学での起業支援やスタートアップとのオープンイノベーション推進を行う。大阪府在住。
「他プログラムとは違い、起業家のニーズに合わせてベストなメンターや、潜在的な顧客・パートナー企業とマッチングできることが強み。神戸から全世界にスタートアップ支援の輪を広げていきたい。」

3.要注目のスタートアップ9社に出会えるピッチバトルを開催!

 3月に「グローバル・メンターシップ・プログラム」および「500 Founder Academy in partnership with KOBE」に参加した企業のべ200社の中から選ばれた、Smart Tissues 3D SpA.や株式会社fixUをはじめ国内外注目の企業9社のピッチバトルを開催する。起業・投資経験の豊富な審査員を迎え、上位3社を決定する。

【SESSA-KOBE STARTUP DEMODAY-概要】

SESSA Startup Pitch
日時:3月16日(水)16:15開始
場所:東京・渋谷TRUNK(HOTEL)/ オンラインでも開催
【審査員】
〇マネックスグループ株式会社 代表執行役社長CEO 松本 大 様
〇株式会社モンスターラボ ホールディングス 代表取締役社長CEO 鮄川 宏樹 様
〇MPower Partners Managing Director 鈴木 絵里子 様
〇Bonds Investment Group パートナー 細野 尚孝 様

【ホームページ】https://eventory.cc/event/sessa-kobe