選ばれるまち 神戸 ~この1年間で企業進出倍増~

 港から海外の文化を取り入れることで様々な産業や文化を生みながら発展してきた神戸。陸・海・空そろった抜群の交通アクセスを誇り、重厚長大型産業・港湾関係産業から、アパレル・食品といった生活関連産業まで幅広い産業が集積しています。

 近年では、医療、航空・宇宙、水素エネルギー等の最先端の成長産業の集積も盛んです。特に、IT関連分野では、海外のベンチャーキャピタルと連携した起業家支援プログラムの実施等、新たなビジネスモデルを生み出す取り組みが国内外から注目を集めています。
 近年、神戸への企業移転や新設が増えており、平成27年度以降60社の企業が補助制度を用いて、本社移転や拠点開設。特に2021年度の昨年度は21社が活用して進出していることをご報告します。

充実の進出支援制度

 神戸市ではオフィス賃料等補助制度を設けており、市外からの移転や進出で賃料の4分の1を3年間、年1千万円を上限に補助しており、オフィス面積が1500平方メートル以上であれば、5年間になります。IT関連企業は三宮や元町など「都心機能誘導地区」に進出した場合、補助率が2分の1となります。

また、雇用支援として、住民票を市外から市内へ異動した場合、正社員1人あたり120万円の補助や、神戸市民を正社員として雇用した場合、正社員1人あたり100万円の補助があります。

 

 優れたビジネス環境

 神戸は他都市と比べ、優れたビジネス環境が揃っているのが魅力です。大学や市立の高専があり、学生の数が多く、雇用がしやすい環境が整っています。IT業界では人材確保が重要な課題であり、中でも東京では採用が困難だと言われています。神戸では地元への就職意識が高く、この点に関心を持つ企業も多いです。また、東京や大阪と比べ、賃料が半分程度とコストパフォーマンスが優れており、企業が進出しやすい環境です。各都市への交通アクセスもよく、JRや私鉄など6路線が利用可能な三宮駅から大阪までは約20分。新幹線、在来線等が結ぶ充実の鉄道網や世界へ開かれた海路、三宮から約18分の神戸空港から国内13都市へつながる空路等、充実の交通インフラでビジネスをサポートしています。

 市街地から車で30分ほどの六甲山上の開発も進んでおり、シェアオフィス「ROKKONOMAD(ロコノマド)」がオープンしたほか、複数の企業がコワーキングスペースを開設し、企業の本社機能の一部移転が決まっています。最近ではコロナ禍で、都心にこだわらない働き方を推奨する企業からも注目を集めています。

 神戸に移転してきた企業の声

  実際に神戸に移転してきた企業のトップから神戸進出の動機や進出後の感想について話を伺いました。 

株式会社Honeycome
CEO 大和 毅氏


株式会社メディアオーパスプラス 取締役COO 圓林 真吾氏


モノアイテクノロジー株式会社 代表取締役社長 本城 嘉太郎氏

 

  • Urban Innovation KOBEにも採択された企業(株式会社Honeycome

Honeycomeは自社サービス開発事業や受託システム開発事業を行っており、神戸市教育委員会における業務の効率化と経費削減を目的とした「給与システム CALKS(カルクス)」「届出システム ソノバ」等の研究・開発がUIK(Urban Innovation KOBE)に採択されています(以下、大和氏のコメント)。

「神戸進出の動機の1番目はUIKプロジェクトに採択いただいたことが大きかったです。スタートアップが行政を良くすることに関わることが出来る共同開発プロジェクトを、地方創生やITで傍を楽にすることに興味がある弊社がこのプロジェクトを最重要プロジェクトとして取り組むため、遠方からよりも神戸で仕事をすることが自然であると考えた結果の進出です。

2番目に神戸市のもつ魅力にあります。そもそも宝塚出身ですので兵庫に親しみがあります。中でも神戸市は子供の頃はどこか背伸びして行くおしゃれな街との印象が強い特別な存在でした。ただ20年以上東京で仕事をしてから帰ってくると、海に山、田舎に都市、産官学と色々なものがバランス良く存在していることに気が付きました。どれも多すぎず少なすぎず広すぎず狭すぎず。「 ITで傍を楽にする 」を標榜する弊社Honeycomeが、UIKを始めとするイノベーションを生み出す勢いのあるこの神戸市なら、より様々なチャレンジができ且つ成果を上げていけると確信して進出を決めました。微力ながら神戸市の発展にITのサービスを通じ貢献することと、雇用創出や納税などでも貢献していけたらと考えております。

3番目にIT業界が抱える課題に取り組みやすい都市であることが挙げられます。これは神戸市のみの課題ではないですが、人口減少の課題があります。この課題についてはHoneycomeも自分ごととして捉えております。特に若年層の東京圏への流出からくる生産年齢人口の減少についてです。これはIT業界のかかえるエンジニアの不足とも直結しています。ハニカムがこれから取り組もうとしているエンジニアを育てていくための教育事業もこれらに向き合った結果と言えます。神戸市は政令指定都市の中でもトップクラスの学校数の多さです。ワーケーションがしやすく、人も過密すぎず、学生も多い環境はエンジニアの育成の場としても有利な場所であると考えております。

進出後の実感として、神戸市が持つバランスの良さを特に感じています。人も過密になりすぎず少なすぎず、私が東京から移り住んだ北区の山手から職場である六甲アイランドの海上文化都市まで車で数十分。その間に三宮などの都市部がありと様々フィールドがギュッと詰まっています。学生も多くITにも力をいれておられて、国際都市としてこれからの日本をさらにけん引していくポジションになる都市ではないかと予感しています。」

eラーニングで「学び」を革新。学びの力を信じ、世界をよりよく変えていく会社(株式会社メディアオーパスプラス)

インターネットやテクノロジーの進化に伴い、教育機関のみならず、企業でも導入が進むeラーニング。その市場において、学びの革新に取り組み、よりよい世界の実現をめざしているのが、株式会社メディアオーパスプラスです。コロナ禍で企業のオフィスや拠点のあり方が変わりつつあるなか、昨年12月に神戸市にオフィスを新設。今年4月には同オフィスを本社化し、神戸本社としました。「神戸商工貿易センタービルに開設した神戸本社は、国内はもちろん、グローバルな展開をも見据えた新拠点です。神戸空港が近く、関西国際空港にも高速船を使うことでアクセスできます。神戸港も中国・上海や、国内では四国や九州につながり、新幹線をはじめとした複数の鉄道が利用できる点は、交通の便利さに加え、BCPも考慮しています。神戸本社内部には、私たち独自の「学びの映像撮影スタジオ」も開設予定ですが、貸会議室やホールが併設されていることも魅力的でした。神戸は1995年に発生した阪神・淡路大震災の被災地であり、私自身も当時、近隣の西宮市で被災しました。あれから20数年経ち、将来に向けてのチャレンジをいとわない志を神戸市の皆さまに感じ、人口減少や地方創生といった社会課題に、神戸から世界を見据えて向き合いたいとも感じました。私たちメディアオーパスプラスという企業も学びを軸にした社会課題解決を視野に入れ、挑戦していくフェーズに入りました。将来に向けての挑戦という志が一致したことも、神戸に拠点を構えるきっかけになりました。また、神戸市は企業の拠点として至便かつ安全性の高い環境が整っていることに加え、ICT企業への支援も積極的に行っています。企業の経営を考えていく流れのなかで、自治体と密に連携できる点もありがたく感じています。神戸本社には現在、40名ほどの従業員が所属しています。20代・30代を中心とした若い組織で、外国出身の方も働いているなど、多様性にあふれています。忌憚なく意見を交わせる文化も築いているので、従業員おのおのの様々な考えを活かしながら、神戸を拠点にグローバルを見据えて展開していきたいと考えています。」

離れていても「つながれる」。進化するバーチャル空間が提示するオフィス文化の新たなかたち(モノアイテクノロジー株式会社)

「人と会えない、集まれない」。そんな社会を背景に2020年リリースされた、バーチャル空間プラットフォーム「XR CLOUD」。どこからでも接続でき、オンラインで会議やイベントが開催できるなど、その可能性に注目が集まっています。開発を手がけたのは、神戸に本社を置くモノアイテクノロジー株式会社です。

「モノアイテクノロジーの創業は2013年ですが、もとになる会社は2005年に立ち上げました。それまでは出身地の神戸や京都などで働いていましたが、事業を始めるなら大手の本社が多い東京が有利と考え、会社を辞めた翌日に上京。サラリーマンで貯めたお金を元手に知人に紹介された新宿御苑のマンションでワンルームを借り、スタッフ3名で会社を始めました。とても静かな環境で20階にあり、東京ドームや東京タワーも見えるなど、眺めが素晴らしく、創業資金の3分の1はあっという間に飛んでいきました(笑)。それでも新宿御苑が気に入ったので、会社が成長してスタッフが増えても、同じエリア内で引っ越しを繰り返しました。ワンルームの次は15坪のオフィスを借り、その次には30坪のビルへ。そして60坪のオフィスの後は130坪のオフィスへ。その後も組織の規模に合わせ、同じビル内でフロアの移転を繰り返しました。創業以来、東京に本社を構えていましたが、2017年に神戸へ移しました。東京には現在、営業拠点として支社を置いています。神戸に本社を移転した1番の理由は、地元に恩返しをしたくなったからです。神戸にはもともと小さな拠点を設けていましたが、そこが手狭になり、広いオフィスへ移転するタイミングでもありました。神戸市さんにもご挨拶に伺ったところ、東京から本社を移転してくれたと歓迎され、さらにはIT企業の場合、助成金も出してくれるという話に。税を納めて恩返しするつもりが、移転早々、援助をいただくかたちになってしまいました。神戸市はIT企業の応援を続けており、「XR CLOUD」をリリースしたときには、オンラインイベントを開催してくれたり、私たちも地元のイベントに参加させてもらったりと、大変ありがたい関係が続いています。

 【参考】

神戸市オフィス賃料等補助制度に関するお問い合わせ先
神戸市 医療・新産業本部 新産業部 企業立地課
TEL 078―322―5329