神戸市パブリックアートによる観光誘客事業 神戸の魅力を再発見する「KOBE Re:Public Art Project」が始動 プロジェクト参加アーティスト公募を開始

記者会見にメインキュレーター・森山未來さんらが登壇

 神戸市は、“人新世に吹く風”をテーマに神戸に潜む新たな魅⼒を再発見し、新たな形のパブリックアートを創出していく観光誘客事業「KOBE Re:Public Art Project」を開始。

本事業のメインキュレーターを務める森山未來さん、キュレーターの山峰潤也さんと共に今西正男副市長が登壇する記者会見を神戸・三宮のデザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)」にて2022年9月1日(木)に実施いたしました。

■「神戸」の魅力は多様性、10年先の神戸の価値

【「KOBE Re:Public Art Project」】特設サイト https://koberepublic-artproject.com/
【プロジェクト資料】 https://www.city.kobe.lg.jp/a57337/shise/koho/vice_mayor/20220901.html

■森山未來さんコメント

神戸という場所でメインキュレーターという形で関われることを光栄に思っています。神戸という場所をどういう存在として考えて生きていくのか。神戸という“風”を受けたアーティストが、何を得るのか、何を見るのか、どのようにみなさんと共有するかを、アーティスト・イン・レジデンスという仕組みを使ってやりたい。モノもコトもバショも立ち上げているのは人。これからの神戸、日本、地球を見据えた上で立ち上げたので、単年度で終わるのではなく、長い目でこのアートイベントを展開していきたいです。

■山峰潤也さんコメント

非常に魅力のある神戸という街でご一緒させていただけることをとても楽しみに思っています。モノを作ることより、コトを作って、出来事や価値観との出会いが重要視される時代になってきました。さまざまな個々の物語がパブリックに開かれ、他者の物語に出会っていけるようなフレームワークを、“リ:パブリックアート”としてスタートしていきます。まったく新しい形で個と個がその場所、あるいはインターネット上のツールを通して出会っていける試みを目指していきます。

■今西正男神戸市副市長コメント

神戸の魅力は多様性です。モノ・コト・バショに対してアーティストが新たな視点と感性で新しい価値を生み出していくことで、新しい概念のパブリックアートを作り上げていきたいと考えています。全国的に見てもあまり類を見ない取り組みです。さまざまなアーティストに神戸に滞在していただき、多くの方々に神戸を訪れていただきたいと考えています。

■『KOBE Re:Public Art Project』プロジェクト概要

◇プロジェクトメンバー

主催:神戸市経済観光局
運営:エイベックス・エンタテインメント 

プロジェクトキュレーター

・森山 未來(メインキュレーター)

1984年、兵庫県⽣まれ。5歳から様々なジャンルのダンスを学び、15歳で本格的に舞台デビュー。2013年には⽂化庁⽂化交流使として、イスラエルに 1 年間滞在 、 Inbal Pinto Avshalom Pollak DanceCompanyを拠点にヨーロッパ諸国にて活動。「関係値から⽴ち上がる⾝体的表現」を求めて、領域横断的に国内外で活動を展開している。俳優として、これまでに⽇本の映画賞を多数受賞。ダンサーとして、第10回⽇本ダンスフォーラム賞受賞。監督作として、ショートフィルム「Delivery Health」「in-side-out」などを⼿がける。2021年3⽉11⽇には京都・清⽔寺でのパフォーマンス「Re:Incarnation」の総合演出を務め、東京2020オリンピック開会式では鎮魂の舞を踊った。20224⽉より神⼾市中央区にArtisti in Residence KOBE(AiRK)を設⽴し、運営に携わる。ポスト舞踏派。

・山峰 潤也(キュレーター)

株式会社NYAW代表取締役/一般財団法人東京アートアクセラレーション共同代表。東京都写真美術館、金沢21世紀美術館、水戸芸術館現代美術センターにて、キュレーターとして勤務したのちANB Tokyoの企画運営に携わる。主な展覧会に、「ハロー・ワールド ポスト・ヒューマン時代に向けて」、「霧の抵抗 中谷芙二子」(水戸芸術館)や「The world began without the human race and it will end without it.」(国立台湾美術館)など。avexが主催するアートフェスティバル「Meet Your Art Festival NEW SOIL”」や文化庁文化経済戦略推進事業など文化/アート関連事業の企画やコンサルのほか、雑誌やテレビなどのアート番組や特集の監修なども行う。また執筆、講演、審査委員など多数。2015年度文科省学芸員等在外派遣研修員、早稲田大学/東京工芸大学非常勤講師。

・山本 浩貴

文化研究者、アーティスト。1986年千葉県生まれ。一橋大学社会学部卒業後、ロンドン芸術大学にて修士号・博士号取得。2013~2018年、ロンドン芸術大学トランスナショナルアート研究センター博士研究員。韓国・光州のアジアカルチャーセンター研究員、香港理工大学ポストドクトラルフェロー、東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科助教を経て、2021年より金沢美術工芸大学美術工芸学部美術科芸術学専攻講師。単著に『現代美術史 欧米、日本、トランスナショナル』(中央公論新社、2019年)、『ポスト人新世の芸術』(美術出版社、2022年)、共著に『トランスナショナルなアジアにおけるメディアと文化 発散と収束』(ラトガース大学出版、2020年)、『レイシズムを考える』(共和国、2021年)、『東アジアのソーシャリー・エンゲージド・パブリック・アート 活動する空間、場所、コミュニティ』(ベーノン・プレス、2022年)など。

◇今年度のスケジュール(予定)

Curation :アーティストの募集・選定(本日~10 月)
Research :アーティストによる神戸の魅力の発掘(11 月下旬~12 月中旬)
Realization :リサーチにより生まれたアイデアをアートとして具現化 (2023 年 2 月)
Publication :具現化されたアート、リサーチ結果・プロセスの展示(2023 年 3 月~)

◇プロジェクトアーティストの公募について

神戸の魅力や価値の発掘を行うアーティストの募集を、2022 年 9 月 1 日より下記特設サイトにて開始します。応募ページ URL:https://koberepublic-artproject.com/ 
◇ パブリックアートについて
パブリックアートとは、美術館やギャラリー以外の広場や道路や公園など公共空間(パブリックスペース)に設置される芸術作品で、地域のシンボルとして人と地域を結びつけ、地域の交流や経済を活性化させる役割を持ちます。
神戸市内にも、「六甲ミーツ・アート」、「BE KOBE」などをはじめとしたアート作品やモニュメントは既に多く存在していますが、同事業では、国際貿易都市として発展してきた同市が保有する長い歴史や多様性、人と自然の営みが共存するモノ、コト、バショを「メタ資源」と捉え、これらにアーティストが新たな視点と感性から新しい価値を加えていくことで、物理的なアートに固執しない、新しい概念のパブリックアートを創出していきます。

◇アーティスト・イン・レジデンスについて

アーティスト・イン・レジデンスとは、様々な分野で活動するアーティストが、一定期間ある土地に滞在し、常時とは異なる環境で作品制作のリサーチ活動を自由に行う仕組みです。近年、このような仕組みを活用したアートによる地域の活性化が注目されております。今回は、地域ごとに異なる文化や特徴をもつ神戸市を5つのエリアに分け、各エリアを象徴する特性を持ちつつプロジェクトテーマとの親和性が高いレジデンスに滞在いただくことで、参加アーティストが自身の興味や関心に基づき、より自由にかつ効率的にリサーチ活動を行うことが出来ます。

◇人新世について

『人新世』とは、ノーベル化学賞を受賞したパウル・クルッツェン博士によって提唱された、地質学における新しい時代区分です。人類が産業革命などを通じて地球規模の環境変化をもたらした影響はあまりに大きく、もはや人類が立つ土壌には、人工物が含まれていない場所はどこにもない「人類の時代」を意味します。神戸の街には、様々な時代・文化を背景とした造形物、建造物、さらには都市構造に至るまで、自然と人工物とが交わり共存するモノ・コト・バショが多く存在します。今回それらすべてを、「人新世」において神戸の新たな魅力や価値となりうる資源として捉えてリサーチすることにより、これまで見えてこなかった、後世になっても色褪せない神戸の新しい魅力や価値を発見し残していきます。