オンライン授業となった学生たちへの贈り物。 本に託した近畿大学の思いとは

     

昨年4月、多くの大学が入学式も授業もオンラインで行うことを決め、学生たちは通常のキャンパスライフを送ることができなくなりました。新入生の中には故郷を離れて新生活を始めた人も多く、孤独や不安と無縁ではいられなかったでしょう。また、2年生以上の学生も様々な活動を制限されて、思い描いていた学生生活が過ごせずにいることと思います。そんな学生たちをどうケアしていくのかは、各大学の大きな課題になっています。全体で約3万4千人と全国第3位の学生数を誇る近畿大学も、2020年度の前期は原則オンラインで授業を行いました。キャンパスに迎え入れることができない学生とのつながりをつくり、元気づけていくために、同大学が注目したのが「本」でした。

緊急事態宣言中に決定された学生支援策~Amazon図書商品券の活用~

「当時は新型コロナウイルス感染症というものがいったいどういうものなのか分からない段階で、みんな不安でいっぱいでしたね。学内でも、毎日会議を重ねて対応を検討する日々でした」

大学運営本部中央図書館学生センターの職員、岡友美子さんは、当時を振り返ります。

緊急事態宣言が発出されたのが4月だったため、まずはオンライン授業を行うための環境づくりや、新1年生に対するガイダンスが急務でした。その次に優先的に検討されたのが、学生のケアとサポートだったといいます。その結果、早くも4月末には主に以下の対応がアナウンスされました。

・すべての学生に、オンライン学習の環境整備を含む自宅学習支援金として一律5万円の支給

・コロナ対策緊急奨学金の新設(20万円無利子・貸与)

・全学生に「今だから読んでもらいたい本」の贈呈、書籍の宅配サービスの実施

学生には経済的なサポートはもとより、心のケアも必要だという考えから、本を贈るという施策が生まれたそうです。

具体的には、学長・副学長・各学部長等が、それぞれ4〜5冊の「今だから読んでもらいたい本」を選び、学生へのメッセージを添えて紹介。同時に大学から各学生に「Amazon図書商品券」5,000円分を贈り、学生が好きな本を選んで購入すると、自宅に届けられる仕組みを整えました。

<先生方のメッセージとおすすめの本は近畿大学中央図書館のウェブサイトに掲載され、書影をクリックすればすぐにAmazonで購入手続きができるようになっています>
 
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「Amazon図書商品券」で好きな本が選べるように

学生に本を贈呈するにあたり「Amazon図書商品券」を活用したことについて、近畿大学の岡さんは、「Amazonの商品の中でも本だけを購入できる仕組みが今回の目的に最適でした。」と話しています。

岡さんによれば、最初は本そのものを送ることを考えたそうです。しかし、緊急事態宣言下で取次店の社員も在宅勤務になるなど、3万人を超える学生全員に送るだけの本を調達するのが困難でした。そこで、先生方からのメッセージ付きの推薦図書リストを準備し、学生たちが好きな本を選んで買えるようにしたのです。メールでコード型ギフト券を配布するので、学生全員に一斉に届けることができます。

また、近畿大学はAmazonと連携協定を締結しており、学生が教科書をAmazonで購入できる環境になっています。学生がAmazonを使うことに慣れていたことも、今回のAmazon図書商品券の活用につながっています。学生にAmazon図書商品券を送るとすぐに、Twitterなどで「こんな本を買った」「どれにしようか迷う」といった様々な反応が見られたそうです。

なお、「Amazon図書商品券」は、本であれば先生方の推薦図書以外も購入できます。「教科書代にする」「漫画を大人買いする」という学生もいたそうで、どんな本を買うかは本人に任されているとのこと。有効期限は発行日から10年間と長いので、各自が必要なタイミングで利用することができます。

 

学生に響く贈り物として「本」が選ばれた

岡さんによれば、近畿大学には以前から「本を通じて学生の人生を応援する」という文化があるそうです。

「毎年クリスマスに『Xmas happy bag』という企画を実施していました。学長や学部長、図書館長などに本を3冊ずつ選んでもらい、一言メッセージも書いてもらうんです。それを手提げ袋に入れて図書館の入り口にクリスマスプレゼントのように置いておき、学生たちは中身を想像しながら袋をひとつ選んで借りることができる、というものでした。

2019年末にノーベル化学賞を受賞された吉野彰さんが、少年時代に『ロウソクの科学』を読んで化学に興味を持ったということが注目されましたよね。他にも、本が人生の道を選ぶきっかけになったという話をよく耳にします。そんなこともあって、『本というのが一番学生に響く贈り物なんじゃないか』という話になったんです」

<2016年のXmas happy bagの展示の様子>
 

近畿大学では同じく2020年4月より、大学図書館の本を宅配で貸し借りできる施策も始めています。この取り組みを始めてすぐに多くの学生から貸し出し希望があり、岡さんは「学生も大学からのコンタクトを待ち望んでいたんだな。公共の図書館も本屋さんも閉まっているなか、本を読みたいというニーズがあったんだな」と感じたそうです。

「今だから読んでもらいたい本」として紹介された書籍のうち、特に多く購入されたのは、『FACTFULNESS 』(日経BP)や『銃・病原菌・鉄』(草思社文庫)、『アメリカの大学生が学んでいる「伝え方」の教科書』(SBクリエイティブ)などだったそうです。

コロナ禍で活動が制限されたものの、近畿大学では「Amazon図書商品券」を活用して、環境にとらわれず読書ができる取り組みを進めています。先生方おすすめの本をじっくり読み、大きな視点で世界や人生を考える時間を持つことは、学生たちが前を向いて進んでいくための活力につながるのではないでしょうか。

Amazon図書商品券とは?
Amazonで取り扱う本カテゴリーで販売される書籍や雑誌などのほか、Kindleコンテンツの購入にも利用できる、コード型ギフト券。
大学をはじめとした教育機関のほか、社員の自己啓発を目的に、企業の福利厚生サービスの一環としても活用されている。
Amazonで販売されている特定の対象商品の購入に利用できるAmazon種類別商品券は、法人を対象としており、Amazon図書商品券以外に、Amazon在宅支援商品券、Amazon健康支援商品券がある。それぞれ、社員の在宅勤務環境や健康増進を支援する企業の福利厚生サービスに加え、自治体での導入やキャンペーン商品としても利用可能である。
 
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