熊本地震から6年 〜誰一人取り残さないくまもとづくり〜 熊本県「創造的復興」の最新状況 復旧・復興、これからの熊本

 2016年4月の熊本地震から6年が経ちました。熊本県では、震災前より良いくまもとを目指すために、「創造的復興に向けた重点10項目」に取り組んできました。7年目となる現在、熊本地震からの「創造的復興」の最新進捗状況を報告します。

7年目となる現在、熊本地震からの「創造的復興」の最新進捗状況を報告します。熊本県では、熊本地震を風化させることなく復旧・復興により力を注ぎ、「誰一人取り残さないくまもとづくり」に取り組むとともに、これまで応援してくださった全国の方々に、感謝と元気を届けていきたいと考えています。

【熊本地震からの復旧・復興の現況】

熊本県では、「誰一人取り残さないくまもとづくり」として創造的復興に向けた重点10項目を掲げました。

①「すまい」の再建 ②災害廃棄物の処理 ③阿蘇へのアクセスルートの回復 ④熊本城の復旧 ⑤益城町の復興まちづくり ⑥被災企業の事業再建 ⑦被災農家の営農再開 ⑧大空港構想NextStageの実行 ⑨八代港のクルーズ拠点整備 ⑩国際スポーツ大会の成功

②災害廃棄物の処理 ⑦被災農家の営農再開 ⑨八代港のクルーズ拠点整備 ⑩国際スポーツ大会の成功の4項目については、本年度までにすでに完了しています。本報では、現在進行中の6項目について、状況を報告します。

すまいの再建

2020年3月末には、12市町村68団地1,715戸の、すべての災害公営住宅が完成しました。「自宅再建のための借入の利子に対する助成」など、熊本県独自の6つの支援策により、4万7760人(99.9%)がすまいの再建を果たされました。2022年7月末時点で、仮設住宅入居者数は16世帯40人です。熊本県は、最後のお一人がすまいの再建を果たすまで継続して支援します。

御船町 上高野団地

阿蘇へのアクセスルートの回復

地震による大規模な斜面崩壊により、阿蘇方面への主要ルートである国道57号、国道325号阿蘇大橋が通行不能になりました。2020年10月に、絶景ルートとして知られる国道57号現道部と自動車専用道路として国道57号北側復旧ルートが同日開通しました。2021年3月には新阿蘇大橋が開通し、阿蘇方面への道路の復旧が完了しました。
また、同じく斜面崩壊により不通となっていたJR豊肥本線は、2020年8月に全線運行を再開。さらに、トンネルや橋梁に甚大な被害が発生し、一部区間で運休している南阿蘇鉄道も本年度中に復旧工事が完了予定で、2023年夏頃までに全線運行の再開とJR豊肥本線への乗り入れを目指しています。

新阿蘇大橋

熊本城の復旧

熊本城では重要文化財建造物13棟全てと天守閣などの再建・復元建造物20棟全てが被災したほか、石垣も大きな被害を受け、熊本城全体として甚大な被害となりました。その後、復旧が進み、2020年6月からは特別見学通路を活用した特別公開が開始され、2021年6月には5年ぶりに天守閣の内部公開が再開されて最上階からの眺めも楽しめるようになりました。来年度には重要文化財の監物櫓(けんもつやぐら)の復旧が完了する予定です。全体の復旧は2037年度を見込んでいます。

被災当時の様子

特別見学通路

復旧し公開された天守閣

益城町の復興まちづくり

観測史上唯一、2度の震度7に見舞われた益城町。地震で県道沿いの家屋などが倒壊し、緊急・応急活動に支障が発生しました。そこで、益城町の主要道路である県道熊本高森線を4車線化し、歩道を広く設けるなど、緊急時の車両運行などをスムーズに行えるように整備しており、2025年度の事業完了を目指しています。また、町有施設全58施設中48施設が被災するなど、市街地を中心に甚大な被害をうけました。地震後、防災面の強化を視野に、区画整理事業を実施し、2027年度の事業完了を目指しています。区画整理事業区域内で益城町が整備を進めている「益城町復興まちづくりセンター」が2022年3月に開所し、2023年春には「益城町新庁舎」が完成予定です。

被災企業の事業再建

熊本県では、グループ補助金により、被災した中小企業などの施設や設備の復旧・整備、商業機能の復旧促進を継続的に支援しています。2022年3月末時点で4699件の交付決定を行い、グループ補助金の活用を希望する事業者のうち99.8%の復旧が完了しました。今後、益城町の中央被災市街地復興土地区画整理事業の完了を待つ事業者の復旧が進みます。

大空港構想NextStageの実行

熊本地震からの創造的復興のシンボルである「阿蘇くまもと空港・新旅客ターミナルビル」は、2023年3月23日の開業を目指して建設工事が進められています。新旅客ターミナルビルは、国内線・国際線が一体型となり、国内線・国際線共用の滞在型ゲートラウンジや充実した商業スペースが整備されます。また、ビル隣接地には地域に開かれた商業施設なども整備され、旅客機利用者だけでなく、地域の人たちも楽しめる場所となります。さらに、空港アクセス改善のため、アクセス鉄道の整備に向けた調査・検討を併せて進めています。

完成イメージ

【熊本地震を後世に語り継ぐための取り組み/復興プロジェクトについて】

■熊本災害デジタルアーカイブ

熊本地震関連の資料を行政機関、大学、企業、団体などの協力を得て収集・整理・蓄積し、WEBサイトで公開しています。今後の防災・減災対策、教育・研究、アーカイブ内の資料を活用した啓発用ツールの制作などに広く活用してもらい、次の災害に備える準備を整えています。2022年3月末時点で約21万点の資料を掲載しています。
URL: https://www.kumamoto-archive.jp

■熊本地震震災ミュージアム「熊本地震 記憶の廻廊」

熊本地震の記憶を後世に伝えるため、県と関係市町村では県内各地に点在する震災遺構や情報発信の拠点をフィールドミュージアムとして整備・公開する取組みを進めています。 
旧東海大学阿蘇キャンパス内(阿蘇郡南阿蘇村)の震災遺構は、教育旅行をはじめとした地域の新たな観光スポットとなっており、2020年8月の一般公開開始から延べ8万7千人を超える来場者を数えます(2022年7月末現在)。
2023年夏には、自然の驚異や災害への備えなどを学べる体験・展示施設を同キャンパス内にオープンする予定です。 
熊本地震震災ミュージアムHP: https://kumamotojishin-museum.com/ 

※キャンパス内の震災遺構

 ※ガイドの話を熱心に聞く生徒

©尾田栄一郎/集英社※キャンパス内に設置された「ONE PIECE」ロビン像

    

※体験・展示施設イメージ

■ONE PIECE(ワンピース)熊本復興プロジェクト

熊本県は、本県出身の漫画家・尾田栄一郎氏が描く人気漫画「ONE PIECE」と連携して「ONE PIECE熊本復興プロジェクト」に取り組んでいます。これまで、くま川鉄道・南阿蘇鉄道の復興列車やラッピングスクールバスの運行、熊本城マラソンとのコラボなど、多くのプロジェクトを展開してきました。
また、被害の大きかった益城町では「ONE PIECEオリジナル返礼品」が製作され、多くのふるさと納税が寄せられるなど、被災地の復興を支援してきました。

🄫尾田栄一郎/集英社

2019年よりスタートした「麦わらの一味『ヒノ国』復興編」では、熊本こと「ヒノ国」に上陸した麦わらの一味が、熊本地震の被害が広範囲に及び、今なお住民が苦しんでいることを知り、船長ルフィが、一味の仲間たちに被災地の復興の手助けを指示。仲間たちはそれぞれの特技で被災地の困りごとを解決し、復興へのエールを送るルフィのもとで再会を誓うというストーリーが展開しています。県内に順に設置してきた「麦わらの一味」像の10体目はジンベエ像で、2022年7月23日に宇土市の住吉海岸公園に設置されました。今後も、「麦わらの一味」と一緒に県内各地で様々な復興プロジェクトを進めていきます。
URL: https://op-kumamoto.com

【“食”でこれからも熊本を応援してください】

■熊本のおいしい牛肉を堪能「くまもと黒毛和牛」「くまもとあか牛」

清らかな水と空気、恵まれた自然、清潔な環境のなかで育つ熊本の牛たち。熊本県は肥育している肉牛の頭数だけでなく 、肉牛の品種数も多く、黒毛和種・褐毛和種・交雑種・乳用種の4種類を育てています。
熊本県が全国最大の産地である褐毛和種の「くまもとあか牛」のほか、近年、人気が高まっているのが2021年に誕生した黒毛和種の熊本県統一銘柄牛肉 「くまもと黒毛和牛」です。丹精込めて育てられた「くまもと黒毛和牛」は、美しい霜降りと、口に入れるととろけるような食感、まろやかで豊かな味わいが楽しめます。
熊本のおいしい牛肉を買って、これからも応援をよろしくお願いします。