アジア太平洋各地の主要不動産市場は逆風にもかかわらず堅調な業績を維持

マクロ経済学的な不透明感のリスク回避として、優良資産の保有を希望する投資家が増加。特にグレードの高いオフィスは地域全体で注目。

 コリアーズ・インターナショナル・ジャパン株式会社(代表:小笠原 行洋、本社:東京都千代田区、NASDAQおよびTSX:CIGI、以下コリアーズ・ジャパン)は、「アジア太平洋マーケットスナップショット|2022年第2四半期」レポート(概要・和訳版)を発表しました。

このレポートによると、2022年第2四半期、アジア太平洋各地の主要不動産市場は堅調な業績を残しました。これは、国内外の投資家が地政学的、マクロ経済学的な不透明感に直面しながらも長期的な視点で行動したため、商業、工業部門の需要が伸びたことが主な要因です。

(主な内容)

*投資家の関心が持続するオーストラリア、ニュージーランドの高級物件
* 国内投資家が取引を席捲する中国主要都市
*景況感回復の中、商業部門が再び好調な香港
*投資家に依然人気の高いシンガポール市場
*安定需要が更なる記録更新に貢献するソウルのオフィス市場
*海外の投資家が大挙して戻っている日本の不動産市場

コリアーズ アジア太平洋地域のキャピタルマーケット&インベストメントサービス インターナショナル・キャピタルマーケット エグゼクティブディレクター兼ヘッドのJohn Howaldは、「金利上昇や地政学的な不確実性といった懸念材料があるものの、アジア太平洋地域の各市場で行われた商業分野の大型案件は、投資家が各市場のファンダメンタルズを慎重に考慮し、長期的な視野に立っていることを示しています。マクロ経済の課題に鑑み、投資家が慎重な姿勢を崩していないことから、ペースは遅いものの、この地域の主要な市場が引き続き渡航制限を緩和しているため、クロスボーダー投資はさらに促進されるでしょう。」と述べています。

コリアーズ オーストラリア&ニュージーランドのキャピタルマーケッツ&インベストメントサービス マネージングディレクターのJohn Marascoは、次のように述べています。「現在の経済環境は、市場参加者が新しい状況に適応するために一時的に活動を停滞させますが、過去2四半期の記録的な取引で調達した資金が投入され始めると、回復が見られると思います。オーストラリアの主要市場は、経済の逆風に耐え、長期的な成長の可能性を持っていることが証明されており、投資家は引き続きこの市場に注目すると思われます。ニュージーランドでは、インフレ上昇への警戒感から、優良資産への需要が高まると思われます。」

投資家の関心が持続するオーストラリア、ニュージーランドの高級物件

金利上昇によって投資の流れが抑制されてきたシドニーでは、2021年第4四半期~2022年第1四半期間に過去最高となった取引を受け、増加した資金が一旦投資に回れば景気が回復すると見られます。メルボルンでは、今期は約18億9,000万米ドルの取引が成立しました。長期的な成長が見込め、価格面でも手の届く都市であるメルボルンの存在は、今後も投資家を惹きつけると見られます。ニュージーランドでは、投資セクターは今年後半にかけて逆風にさらされる可能性がありますが、入国制限の解除によって海外事業体から関心が復活し、高級資産の需要は継続すると思われます。

国内投資家が取引を席捲する中国主要都市

中国の主要市場では、主に国内投資家がオフィス資産に注目し、合計310億人民元(45億6,000万米ドル)超える取引が成立しました。北京では今期、約95億人民元(14億2,000万米ドル)の4件の取引が成立しました。上海では85億人民元(12億7,000万米ドル)の取引があり、その中には、約20億人民元(2億9,900万米ドル)に相当するビジネスパークの取引が含まれています。広州では5件105億2,000万人民元(15億7,000万米ドル)、深圳では3件29億人民元(4億3,400万米ドル)の取引が成立しました。成都では、エンドユーザーや投資家が市のオフィス・セクターのビジネスチャンスに注目すると見られ、西安では、国営企業が低価格な住宅やマンションに転換できる資産を求めることが予測されます。

景況感回復の中、商業部門が再び好調な香港

コロナ沈静化に伴って香港政府はソーシャル・ディスタンス政策を緩和し、第2四半期の香港の商業用不動産の取引額は、低かった前期と比べ52%増となりました。インフレに対する米国連邦準備銀行の利上げで、投資家の警戒感が強まっているものの、今後は感染対策が更に緩和され、ファンドや不動産業者が投資を加速させるのに伴って景気見通しが改善し、今年後半は景況感が改善すると予想しています。
投資家に依然人気の高いシンガポール市場
シンガポールの不動産市場は、第2四半期に投資額が減少したものの、その勢いを維持し、累計の投資額は2021年の総投資額の62.4%に達しました。今期の主要な取引は政府による土地売却、土地建物一括売却、オフィス売却で、マクロ経済的、地政学的逆風はあるものの、これらの取引は全て、今年後半の健全な経済見通しを暗示しています。金利上昇による投資家の警戒心が高まる可能性もあるものの、高級オフィス、物流・リテール物件など不況に強い資産の需要は高まると見られます。

安定需要が更なる記録更新に貢献するソウルのオフィス市場

ソウルの人気スポットである江南ビジネス地区(GBD)のオフィス資産が再び人気を集め、投資額は3.4兆韓国ウォン(28億米ドル)に達しました。この市場では、A Plus Asset Towerの売却が1坪当たり4700万韓国ウォン(36,560米ドル)という過去最高の単価を記録しました。このほか、GBDではHyongji、Yeoksam-dong 718、Apro Squareビルの売却など特筆すべき取引が見受けられました。コアオフィスの1坪単価は、限られた供給に対する旺盛な需要により上昇を続けています。この傾向は次の四半期も続き、コリアーズは年末までにさらに多くの大型案件が成約すると予想しています。

海外の投資家が大挙して戻っている日本の不動産市場

2022年後半にかけて、クロスボーダー投資の更なる加速が見込まれます。M&Gインベストメンツは492億円(3億7,800万米ドル)を30物件の住宅ポートフォリオに投入し、モルガンスタンレーとレンドリースは横浜の複数の新築物件に投資しました。また、香港のガウ・キャピタルは東京その他主要都市に住宅ポートフォリオを購入するなど、海外の投資家の大半は東京以外の主要都市に照準を定めています。

アジア太平洋マーケットスナップショット|2022年第2四半期」レポート(概要・和訳版)は、以下のリンクよりダウンロードいただけます。
https://www.colliers.com/ja-jp/research/ Asia-Pacific-Market-SnapShot-Q2-2022

アジア太平洋マーケットスナップショット|2022年第2四半期」レポート(英語)は、以下のリンクよりダウンロードいただけます。
https://www.colliers.com/en-jp/research/2022-q2-apac-capital-markets-and-investment-market-snapshot-report-colliers

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