2023コリアーズ 世界の投資家のアウトルックレポート 相対的な合理性の回復により、世界の不動産市場は安定化へ

世界の不動産市場の安定化、再プライシング、回復への速度とタイミングはマーケットやセクターごとに異なり、そこに多様な投資機会が創出されます。

 大手総合プロフェッショナルサービス・投資運用会社であるコリアーズ(NASDAQおよびTSXCIGI)は、「2023年世界の投資家のアウトルックレポート」を発表し、2023年半ばまでに世界の不動産市場が安定化する見通しであることを明らかにしました。昨年の地政学的緊張、経済ショック、金融政策のばらつきにもかかわらず、英国や米国を含む国々ではすでに価格設定が急速にリセットされていますが、これは全世界的なものではありません。このため、2023年には投資家にとってセクターやマーケットにより再調整が大きく異なることが予想されます。

アジア太平洋地域の投資家は、困難な状況にもかかわらず、エクスポージャーを増加させる

世界的に見ると、アジア太平洋地域は経済成長に対して最も楽観的な地域です。半数以上のアジア太平洋地域の投資家(53%)が、自地域の経済成長によるプラスの影響を期待しているのに対し、ヨーロッパ・中東・アフリカ地域(以下、EMEA)では41%、南北アメリカでは38%となっています。同様に、アジア太平洋地域の回答者の43%が世界経済の成長によるプラスの影響を期待しており、EMEA38%)およびアメリカ大陸(28%)を上回っています。

アジア太平洋地域のエグゼクティブ・ディレクター、インターナショナルキャピタルのヘッド、John Howaldは、次のように述べています。「2023年には、アジア太平洋地域が他のすべての市場を上回ることが予想されます。今後12カ月は、特にオーストラリア、香港、韓国、シンガポールなどの中核市場にとって、依然として厳しい状況が続くでしょう。しかし、欧州や北米の市場に大きく依存している多国籍投資家は、アジアへの投資が現在のインフレと金利環境から少し異なるところにいることに気づくでしょう。また、デットマーケットが安定し、ボラティリティが減少すると、2023年にかけてプライベート・エクイティがM&A活動を活発化させることも予想されます」"

コスト増加と今後の課題

現在のインフレと金利は、すでにサプライチェーンの問題やエネルギー価格の上昇によって悪化している運用コストや建設コストの上昇に拍車をかけています。アジア太平洋地域の投資家は、投資戦略遂行能力に最も悪影響を与える今後の課題として、金利(88%)、建設コストの増加(87%)、運用コストの増加(77%)を挙げています。世界的にも、金利が最大の懸念事項(88%)となり、次いでインフレ(74%)、サプライチェーンの混乱(68%) となりました。
「不動産に影響を与える様々なコスト上昇の圧力を理解し、管理することが重要です。資本コストは方程式の一部でしかありません。現在の見通しとは裏腹に、今日の経済環境下では非常に魅力的な長期投資の機会が存在します。例えば、質の高いテナントとのリース期間が長い資産を購入する能力があり、完全なエクイティを購入できる場合、または魅力的なデット調達できる場合です。現地に精通した経験豊富なパートナーは、コストや価値に影響を与える市場のニュアンスを投資家が理解するのに役立ちます」と、Howaldは述べています。

コアアセットが優勢

市場のボラティリティが高いため、投資家はファンダメンタルズとディフェンシブな戦略を重視するようになりました。アジア太平洋地域の投資家が2023年に投資したいセクターのトップ3は、オフィス(68%)、インダストリアル・ロジスティックス(I&L)(65%)、マルチファミリー・賃貸住宅(42%)で、これは世界の投資家のトップ3とも同じです。アジア太平洋地域の投資家は、既存の大都市にある中核的な資産を選好していますが(74%)、小規模な成長都市では、マルチファミリーや高齢者住宅など人口動態や経済の変化に密接に関連するセクターに積極的です。また、また、小売業への関心も高まっており、アジア太平洋地域の回答者の52%が郊外型モール(世界最高水準)に、48%が都心型/ハイストリート型小売業に投資する意向を持っています。

流動性とサステナビリティが投資機会を促進

環境・社会・ガバナンス(ESG)基準は、アジア太平洋地域の投資家の意思決定において、引き続き重要な要素となっています。この背景には、主に主要なオフィスマーケットにおける品質への逃避、入居者の要望への対応、長期的な運用コストとのバランスの必要性などがあります。
アジア太平洋地域では、3分の266%)の投資家が資産の環境パフォーマンスに関する行動(ESGを勘案した改修投資、売却、買収戦略など)をすでに実施しているか、統合しているところであり、世界全体の投資家の75%のそれに匹敵する結果となっています。また、アジア太平洋地域の投資家の40%が、ESG投資戦略に合わなくなったため、今後5年間で既存ポートフォリオの最大50%の処分を検討しているのに対し、グローバルでは53%となっています。

キャピタルマーケット&インベストメントサービスのマネージング・ディレクター John Marascoは、次のように述べています。「入居者の好み、規制要件の高まり、資産運用コストの上昇に対応するため、投資家は今年、価値を見直し、さまざまなESG要素をより重視するようになっています。サステナビリティに優れた資産にはプレミアムがつき、そうでないものは大きく割り引かれるという予想と根拠があります。借り換え、資産の改修、新規建設、売却など、資本がどのように配分されるかは様子見となるでしょう。"

2023年世界投資家見通しについて

2023年コリアーズ世界の投資家アウトルックレポートは、202210月と11月に実施され、コリアーズ・キャピタル・マーケットのグローバルおよび各地域の専門家による30以上の詳細なインタビューに基づいて作成されたものです。全世界で750人以上の投資家を対象に調査を行い、アジア太平洋地域からは365人が回答しました。これは、コリアーズによる世界の不動産投資家の年次展望の第3版です。

英語版レポートはこちらよりダウンロードください。
https://www.colliers.com/download-article?itemId=1c1fdfcd-1df9-4be4-97de-600c69c580f1

コリアーズについて

コリアーズは、ナスダックおよびトロント証券取引所に上場する、世界有数の大手総合不動産プロフェッショナルサービス・投資運用会社です。世界63か国で事業を展開し、18,000人のエンタープライズ精神に富んだ従業員が、テナント、オーナー、投資家といった顧客企業の不動産価値を最大化するため、専門的なアドバイス・サービスを提供しています。また、当社株式を保有する経験豊富な経営陣は、27年以上にわたり、年間20%の投資収益率を株主に提供してきました。年間売上高は46億ドル、運用資産は920億ドルです。

コリアーズ・ジャパンについて

コリアーズ・ジャパンは東京・大阪の拠点に100人以上の専門家を擁し、国内外の投資家・オーナー・テナント向けに、オフィス・リーシング、キャピタルマーケット&インベストメントサービス、プロジェクトマネジメント、デザイン・ビルド、ワークプレス・コンサルティングおよび不動産鑑定などのアドバイザリー業務を提供しています。

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