7月24日 テレワークの日に「透析者の就業」について考える

~透析患者の「できる」を増やしたことで実現した、セルフ透析中にテレワーク~

セルフ透析センターがサテライトオフィスとしての役を果たし、透析患者の就業に関する悩みの解決につながっています。随時見学受付中です。

 障がい者1級にあたる日本の透析患者数は34万人を超えており、さらに透析の予備軍といわれる慢性腎臓病の患者数は国内に推定1,000万人以上といわれております。(腎疾患対策の取組について-厚生労働省)一方で日本企業の法定障がい者雇用率は、2024年4月に2.5%へ引き上げられたばかりですが、2026年度中にはさらに2.7%への引き上げが控えています。企業として、自社の社員が本来発揮できる能力を、障がいが理由で埋もれさせることなく会社や社会で活躍することが多く求められる世の中になってきます。

 現に、働きたくても働けないという65歳未満男性透析患者さんの割合は、62.3%にも上ります。(日本透析医会雑誌別冊2021年度血液透析患者実態調査報告書)

 透析医療によって透析患者が以下のような多くのストレスを抱えて、透析が苦痛であるイメージが根付いていることが関係しているからです。

・腎臓病の様々な合併症と体調不良による仕事のパフォーマンス。

・病院主導の透析スケジュールに患者が合わせなければならないため、透析をベースに仕事を調整しなけければならない現状がある。

・標準的な透析施設は病衣に着替え、ベッドで透析を受けるため透析中の自由度が低い。 等

 これらは、標準的な透析医療の、健康度と自由度の低さからくる患者が抱える悩みとストレスです。透析になったら仕事を辞めなければならないというのは、これまでの常識でした。また「透析はそういうもの。どれも仕方のないもの。」であると認識されていることが問題です。

 そこでこの問題を解決するために構築されたのが、現時点で日本にまだ一つしかない「セルフ透析システム」です。(今後、認知度を上げていき、規模拡大をはかっていかなければならない状況です。)このシステムは透析患者が抱える悩みに根本から向き合い、患者のQOL(生活の質)向上を目的に開発されました。

 

 セルフ透析とは、「セルフ」という名の通り、医療施設で患者さんご自身で透析を行います。

ご自身で透析ができるということは、自由度が高まります。保険診療として医療者と相談をしながら自身の体調や都合に合わせて、好きな時間、回数を予約し、十分な透析量を確保しながら時間の有効活用ができるからです。

 また、セルフ透析センターは病院のイメージとは違うオフィスのような空間にデスクやチェア、高速WiFiを完備しており、テレワーク(電話、オンラインミーティング含む)ができるため、サテライトオフィスとして活用する患者さんが増えています。

  日本透析医学会ガイドラインで、「腎機能の代行は4時間週3回の透析では不完全」とされていながらも、いまだに標準的な透析が「4時間週3回」である矛盾をこの仕組みで変えていかなければなりません。

 透析患者の平均年齢は68.9歳されていますが、最低年齢は19歳です。(日本透析医会雑誌別冊2021 年度血液透析患者実態調査報告書)

 セルフ透析センターをサテライトオフィスとして認める企業が増えれば活発な社会活動を行いたい透析患者さんがもっと増加することが予想されます。そして既に大企業はサテライトオフィスとしての活用を開始し実績を重ねています。

障がい者雇用率の上昇が来年もまた控えている今、社会にセルフ透析を認知させる重要性が問われており、患者さんに伝える必要があるシステムです。