2023年も松戸市の中学校が全国大会に出場!

全国中学校体育大会での活躍を紹介

2023年8月に開催された全国中学校体育大会に、松戸市立常盤平中学校野球部、同サッカー部、松戸市立第三中学校ソフトボール部、松戸市立第六中学校卓球部が厳しい予選を勝ち抜き出場を果たしました。

今回は、初の全国大会出場で見事1勝を挙げた市立第三中学校ソフトボール部と、4度目の全国大会出場で惜しくも予選リーグ敗退となりましたが、すべての試合でフルセットの激戦を繰り広げた市立第六中学校卓球部を取り上げ、全国出場という目標を成し遂げた裏に秘められた日々の努力や、全国大会での思い出などを各校の部長と顧問の先生にインタビューしてきました。※本資料は20231020日時点の内容です。

創部以来初の快挙の裏には葛藤を乗り越えた選手、顧問の強い思いがあった

【~松戸市立第三中学校ソフトボール部~】

全国大会での集合写真

新チーム発足時は考えられなかった全国出場

「昨年の新人戦の頃は、チーム全体から勝ちたいとう気持ちが伝わってきませんでした。全国出場を考えられる雰囲気ではありませんでした」

第三中学校ソフトボール部の顧問を務める東野沙弥(ひがしの さや)先生は、新チーム発足当初のことをこう振り返ってくれました。部には、U-15日本代表にも選ばれている部長の大川沙菜(おおかわ さな)さんを中心に、実力のある選手が在籍していたため、強いチームになれる要素は揃っていたそうです。しかし「私たちの代になったとき、勝つことよりも楽しんでソフトボールがしたいという意見が多かったんです」と大川さんが教えてくれました。大川さん自身は、勝ちたいという気持ちが強くありましたが、部員全員が同じ方向を向けない時期が続いたそうです。

「大川のように勝負への意識が高い選手と、楽しめればいいという選手とに分かれてしまい、勝つことが全てではありませんが、勝利を目指すことで得られる楽しさも子どもたちには知ってほしいという思いもあったので、指導する側としてはかなり悩みました(東野先生)」

3年生が抜けて初めての大会となる新人戦を前に、チームが1つになれない。そんなとき東野先生は、「あなたたちが思う楽しさは、私の教えたいソフトボールの楽しさではない。自分たちの楽しさを求めたいのであれば、自由にやって構わない。私は何も言いません」と、あえて突き放す言葉を投げかけたそうです。そんな状態で迎えた昨年秋の市内の新人戦は3位。部の歴史を振り返っても、これまでの成績とは程遠い結果になりました。

松戸市立第三中学校ソフトボール部の選手たち

勝利を諦めなかった部長の姿勢がチームを変えた

この結果を踏まえても、チーム全体の雰囲気はあまり変わらなかったそうです。そこで東野先生は、春季大会までの期間、多くの練習試合を組み、試合に勝つことで得られる楽しさを伝えようと努力を続けました。「たくさんのチームと戦い、勝ち負けを経験する中で、選手たちに気持ちの変化が現れてきたので、徐々にスイッチが入ってきたかなという感触はありました(東野先生)」

選手たちを支え続けた東野先生

チームが徐々に1つになっていく中で迎えた、春の市内大会で見事に優勝。「ここでチームの雰囲気は一気に変わりました」と東野先生が振り返るように、チームは一つにまとまり、県総体優勝を目標に掲げるまでになりました。そして迎えた夏の千葉県中学校総合体育大会は、松戸市予選会を全勝で突破し県大会に出場。1回戦で八千代市立大和田中学校に72で勝利して、好スタートを切りました。しかし、続く2回戦、船橋市立船橋中学校との試合は、43で勝利はしたものの内容は決していいものではありませんでした。船橋中学校とは何度も対戦経験があり、そのほとんどがコールド勝ちをしていたそうです。苦戦した背景には選手たちの気の緩みがあったのではと東野先生は振り返ります。「初戦で実力のある大和田中学校に勝ったことで、選手たちが変な気持ちの余裕を持ってしまった。それがプレーにも如実に現れていたので、試合後3年生には今までで一番というくらい注意したのを覚えています」。船橋中学校との試合では、部長の大川さんまでもが精細を欠いたプレーをしたと言います。「なんであんなプレーをしたか自分でもわからないのですが、とても反省し、家に帰ってから泣いたのを覚えています(大川さん)」。東野先生の檄で目を覚ました選手たちは、準々決勝を70で勝利すると、準決勝、決勝ともにコールド勝ちを収め、関東大会出場を決めました。

チームの中心として活躍した大川さん

見事な逆転劇で全国の切符を掴む!

関東大会では2回戦で敗れ代表決定トーナメントに回ることに。それでも「2回戦の相手は実力差もあるチームだったので、負けてもすぐに気持ちを切り替え、『まだ全国へのチャンスはあるから絶対に勝ちにいこう』と皆で話していました」と大川さん。そして大切な代表決定トーナメント初戦で勝利を収めると、勝てば代表が決まる試合では最終回に逆転を許し2点をリードされる苦しい展開に。しかし裏の攻撃で再逆転をして98の劇的なサヨナラ勝利を収めました。「大差をつけて逃げ切るというのがうちの勝ちパターン。それが追いつき追い越されての試合展開で、再度ひっくり返すエネルギーがあるか心配でしたが、ベンチも含めて選手たちの声が出ていたのでやってくれるかなという思いはありました」と東野先生。試合後選手たちから「絶対に勝てると思っていました」という声を聞き、大きな成長を感じたと言います。

様々な苦難を乗り越えて全国大会初出場を成し遂げた第三中学校ソフトボール部。全国大会1回戦でも、初回に8得点を奪うというチームの勝ちパターンで1勝を掴み取りました。最高の夏の思い出が作れたことに、大川さんは「私以外の3年生4人がいなかったら、ここまで来ることはできなかった。たくさん相談して支えてもらったので、本当に感謝しかないです。もう一緒にプレーできないのかと思うと本当に悲しい」と、同級生のチームメイトへ感謝の言葉を述べてくれました。

全国大会で記念すべき1勝を上げる

東野先生は「全国大会後、選手たちにはいろんな人の助けや縁のおかげで、私たちはこうやってプレーができている。今後はその縁を大切に次の道に進んでもらいたいと伝えたので、それを忘れないでほしいですね」と話してくれました。先生や仲間、そしてたくさんの人達との縁のおかげでなし得た今回の全国出場。その経験と先生の言葉は、選手たちのこれからの成長過程で生かされていくことでしょう。

目標達成への目的を追い求める努力を続けて全国大会への出場を決める!

【~松戸市立第六中学校男子卓球部~】

全国出場へ全員の意志を統一

2019年以来の全国大会出場を果たした第六中学校男子卓球部。部長の大場智也(おおばともや)さんを含め、クラブチームでJOCジュニアオリンピック全国大会に出場した経験を持つ選手が揃い、新チームになったときから、千葉県大会優勝、全国大会出場を目標に努力を続けてきました。「部員全員で、練習のときから、常に試合を意識して取り組むという意識を共有できたことが、一番大きかったと思います。また、選手同士でしっかりコミュニケーションを取ることができたのも今回の結果につながったと思います」。3年生5人、2年生19人、1年生5人という大所帯のチームをまとめた大場さんは、自分たちの代で戦った1年間をこう振り返りました。

 顧問不在でも見せた精神力の強さ

全国へ出場するためには、自分たちで何をしなければいけないのかを、日々話し合いながら練習に取り組んでいたという第六中学校の男子卓球部。その姿は、今年から副顧問を務めている星野夏輝(ほしの なつき)先生にも頼もしく見えたと言います。「普段から、目的意識を持って取り組んでいることはこちらから見てもわかりました。関東大会直前、顧問の渡邉睦(わたなべ むつみ))先生が体調不良で指導できない時期もありましたが、本人たちが今まで指導されてきたことをわかっていて行動をしてくれたので、卓球初心者の私としても助けられた部分もあります」。

キャプテンとしてチームを率いた大場さん

そんな選手たちの精神力の強さが発揮されたのが、全国大会出場を決めた関東大会でした。第1ステージ突破も第2ステージ初戦で敗退。その後代表決定トーナメントでも厳しい戦いを強いられました。代表が決まる一戦では、部長の大場さんが1試合目を落とし、続く2試合目も黒星と後がない状況に追い込まれました。しかし「僕自身、負けてしまい悔しさはありましたが、絶対にチームメイトが勝ってくれると信じていたので弱気になることはありませんでした」と大場さん。引率していた星野先生も「一試合一試合にかける強い気持ちを忘れていないことがプレーする姿を見ていてわかったので、勝ってくれると信じて応援していました」と当時を振ります。結果、2連敗からの3連勝で勝利をもぎ取り、全国大会出場を決めました。

見事な逆転劇で勝利を決めた第六中学校卓球部

萎縮せずに挑めた強豪校との対戦

迎えた全国中学校大会では、九州代表の明豊中学校、北海道代表の陵北中学校と激突しましたが、いずれも23敗で勝利を収めることはできませんでした。しかし、大場さんは、全国の舞台で強豪の明豊中学校と戦えたことは、とてもいい経験になったと振り返ります。「全国でも強豪と言われる学校との対戦はとても楽しかったです。チームとしては負けてしまいましたが、僕自身勝つことができ自信にもつながりました。全中は、クラブチームで出場したジュニアオリンピックの全国大会とは雰囲気が違い、気持ちの入り方も違ってとても興奮しました。自分の試合のときだけでなく、チームメイトが戦っているときの応援も精いっぱいできたので、本当にいい経験になったと思います」。素晴らしい戦いを見せてくれた選手に対して星野先生は「全国に行っても、“六中の色”をしっかり出せていた。一球一球大切に、普段と変わらない卓球をできていることが、とても頼もしかったです」と話してくれました。

さらに、体調不良のため全国で活躍する姿を直接見ることができなかった顧問の渡邉先生は、「滅多に掴めない全国大会出場という切符を勝ち取り、とても貴重な経験をしたと思います。市内大会から始まり、試合をしてきたたくさんのチームにも支えられてここまで勝ち上がってきたという感謝の気持ちで、精一杯戦ってくれたと思います」とコメントしてくれました。

強豪相手にも気迫いっぱいの戦いをみせた

目標と目的を明確に持ち続けてほしい

大場さんたち3年生が引退し、新チームとなった第六中学校男子卓球部。大場さんと同じクラブチームに所属し、今回の全国大会を経験した選手が多く残っているため、2年連続での全国大会出場に大きな期待がかかります。大場さんは「渡邉先生から、何を目標にして部活動をしているのか、その目標を達成するために何を目的にして練習をしているのかということを言われ続けてきました。僕たちはその教えを守り結果を出せたと思うので、後輩たちにもその言葉を忘れることなく、2年連続での全国出場を成し遂げてもらいたいです」とエールを送ってくれた。また渡邉先生は「新チームになっても全国大会に出場したメンバーが多く残っているので、そこでの経験や緊張感、意地、覚悟を忘れずに練習に励んでほしい」さらに、星野先生も「“六中の色”をなくさないように。いい緊張感を持って試合に挑む姿を継続させ努力を続けてほしい」と話してくれました。

2年連続全国大会出場の期待がかかる六中卓球部

自分たちで考え、目的意識を持ちながら目標に向かって練習に取り組むことは、中学生にとって難しいことかもしれません。しかし、大場さんの代は、それをやり遂げて目標を達成しました。そんな頼もしい先輩たちからバトンを受け継いだ新チームの選手達。彼らもまた、自分たちが定めた目標へ向け、強い意志を持って努力を続けることでしょう。