【記者会見ハイライト】全国の地域生協の事業概況と事業方針を発表

✓総供給高は物価上昇の影響や店舗での顧客数の回復により前年を上回る傾向に ✓「物流2024年問題」:BOXパレット活用で積込み・荷卸し時間を2時間削減

日本生活協同組合連合会(略称:日本生協連、代表理事会長:土屋敏夫)は、全国生協の事業概況と今後の活動方針について発表いたします。また「DX-CO・OPプロジェクト」の進捗と物流2024年問題への対応についても併せてご報告いたします。

  • ●地域生協:物価上昇の影響や店舗での顧客数の回復により前年を上回る傾向に

全国65主要地域生協の2023年度の供給高(売上高)は、4月と8月を除き前年を上回る結果となりました。物価上昇による客単価の増加や、店舗での顧客数の回復が主な要因となっています。年末商戦においても迎春商品を中心に好調で、前年を上回りました。

  • ●宅配事業:物価高騰の影響で、利用単価が上昇するも、利用人数・点数は低下

2023年4月度~12月度の宅配事業は物価高騰の影響で利用単価が上昇するも利用人数・点数は前年を下回りました(供給高:前年比99.8%、利用単価:前年比103.3%、利用人数:前年比96.7%、利用点数:前年比95.3%)。(※10月度時点)

宅配事業における取り組みでは、温室効果ガス削減のため、省エネや再エネへの切り替え、低炭素型自動車への切り替えなどを実施しました。2023年12月現在で会員生協保有のEV車(軽自動車・軽バンなど)は289台で、今年度(4月~10月末)導入は83台となります。また、宅配車両でのEVトラックを実験導入し、水平展開に向けた効果検証を行っています。現在3台実験中で、24年度中には7台まで増やす予定です。

  • ●店舗事業:供給高や来店数を維持。物価高騰の影響で利用単価が上昇し利用点数は低下

2023年4月度~12月度の店舗事業は供給高や来店数を維持しました。物価高騰の影響で利用単価が上昇し利用点数は低下しました(供給高:前年比103.0%、利用単価:前年比102.3%、利用人数:前年比100.7%、利用点数:前年比97.1%)。(※10月度時点)

積極的な新規出店(15店舗)やリニューアル(12店舗)が進む一方、16店舗を閉店しました。地場産品や生協ならではの商品など、魅力的な店づくりや、宅配人気商品の配置、宅配ステーションやコミュニティスペース併設など、総合力を活かした魅力づくりも進みました。

  • ●くらし応援全国キャンペーン(23年9月~11月)

全国の生協で「組合員の生活」を一丸となって支え、コープ商品の「利用しやすい価格」と「品質」をあらためてご紹介し、組合員のくらしに最大限お役立ちすることを目指すことを目的に特別価格で商品を提供する「くらし応援全国キャンペーン」の第2弾を2023年9月から11月まで実施。店舗・宅配合計で供給額前年比121.2%(宅配:前年比121.0%、店舗:前年比121.8%、利用点数:前年比115.9%)となりました。こんにゃく、ちくわ、かに風味かまぼこ、魚肉ソーセージ、マーガリンといった日配品のほか、冷凍食品やツナ缶、パン粉、レトルトカレー、砂糖、削り節などの商品が好調でした。

  • ●日本生協連:総供給高3,690億円(全年比8%)と伸長(2023年4月~2024年1月)

日本生協連の総供給高は3,690億円(前年比100.8%)となり、前年を上回る結果となりました。コープ商品事業供給高は2,951億円(前年比102.6%)となりました。分類別では日配品、冷凍食品が好調で、くらし応援全国キャンペーンでも両分類が牽引しています。NB商品を主とした日用品・消耗品の供給を行うキャロット事業の供給高は、273億円(前年比93.1%)となりました。そのほか、衣料品などの供給を行うカタログ事業の供給高は432億円(前年比94.5%)、ギフト事業供給高は32億円(前年比95.3%)となりました。

「エシカル消費対応商品」の進捗状況

●エシカル消費対応商品の23年度供給高(売上高)見込みが推計2,570億円*(前年比113%)に
2023年度のコープ商品のエシカル消費対応商品の供給金額(売上高)は前年比113%となる2,570億円となりました。既存商品の容器包装問題への対応が進み、エコマーク認定商品(前年比128%)とFSC認証商品(前年比114%)の供給金額が伸長しています。2024年度からは新たに食品ロス削減商品もエシカル消費対応商品になるため、エシカル消費を更に加速します。
*組合員供給価格ベースの推計値、12月までの供給状況から単純推計

【2023年度の主な取り組み】
①「コープサステナブル」シリーズが伸長
環境や社会に配慮した主原料を使った商品に、共通のロゴマークを付けて
シリーズ化した「コープサステナブル」商品も2023年度末で228品まで展開商品を増やしています。

②プラスチック問題対応を加速
生協で回収したPETボトルをコープ商品の軟包材にリサイクルする取り組みを2023年度に更に拡大し、ファミリーチョコレートなどの大型商品でも再生利用の取り組みを開始しました。他にも、PET飲料販売本数1位の「ハト麦入りさわやかブレンド茶」が再生プラスチックを100%使用したPETボトルとするなど、プラスチック問題対応を加速しています。また、再生・植物由来プラスチックへの切り替え商品は、2024年度2月末時点で889品に到達しました。


若年層向け施策および「DX-CO・OPプロジェクト」の進捗状況
●若年層の生協の自分ゴト化へのチャレンジ
従来より「子育て層」に向けては、全国生協で加入にむけたアプローチが行われてきました。現在は生協と接点が少ない「一人・二人暮らし」の若年層に向けて、デジタルコミュニケーションを活用した接点を作ることで生協への理解・共感を広げる取り組みを進めています。

【主な取り組み】
TRY CO・OP(トライコープ)
TRY CO・OPは、生協に未加入の方が宅配商品を気軽に試せるサービスです。「生協宅配=子育て家庭が利用するもの」というイメージにとらわれず、ひとり・ふたり暮らしの若い方々にも気軽にご利用いただき生協の理解と未来の利用につなげる取り組みです。取り組みに共感を得て、参加生協の輪が広がっています。2024年1月現在、TRY CO・OP参加生協数は32生協で、目標対比250%で推移しています。

  • ●「注文予測型レコメンド」で注文のしやすさを向上し、多様な世帯への対応を強化

宅配を利用する組合員一人ひとりに合わせて買いそうな商品をAIが予測し、あらかじめ提示することで組合員の注文の手間を省き簡単に注文できることを目指した取り組みです。現在生活協同組合コープ東北サンネット事業連合、コープデリ生活協同組合連合会、生活協同組合連合会東海コープ事業連合で導入しています。その他の生協でも導入に向けて検討しています。

【主な取り組み】
2023年10月より、東海コープで「コープセレクト」をリリースしました。過去に購入履歴のないおすすめ商品(レコメンド品)と定期的に購入している商品(リマインド品)が組合員ごとの比率で60品表示されるもので、実績も良好です。

物流2024年問題に対する生協の対応
物流2024年問題への対応として、日本生協連としての自主行動計画を策定し、2024年1月に農水省に提出しました。自主行動計画策定に当たっては加工食品業界など各業界団体に対して策定の呼びかけが行われており、日本生協連でも業界動向について情報収集を進めていきます。

【主な取り組み】
入庫待機時間の短縮
①予約車両の荷待ち30分超過台数削減0台を目指します。
②予約率60%以上の達成を目指します。
※予約率を上げることで、荷待ち時間が削減でき、当日の受付台数が減少し、全体の待機時間の削減を実現します。
③日時・週次での要因を分析。
④人員拡充・バース拡大等、改善策の実施。

  • ●パレット積載改善

コープ商品を全品点検し、パレット積数改善効果の高い商品を選出し、優先順位を上げて対策を計画しました。「CO・OPミートドリアソース」はケースサイズを見直すことでパレットへの積載率が74%から94%となり、パレット容積率は48%から76%と大幅に増加しました。また、パレットの積載数も今までは段数5段だったものを6段にするなど改善しています。

  • ●BOXパレットの活用

今まではアイテムと数量が細かく、60枚前後のパレットを必要としており、日本生協連で積込みをし、会員生協で荷卸しと検収に長い時間を要していました。そこでBOXパレットを活用して納品を行う方式に変更することで、積込み・荷卸しの荷役時間としては合計で2時間ほどの削減効果が得られました。会員生協側でも入庫バースの占有時間も短縮され、作業を効率化することが可能になりました。

今後も既存の取り組みの検証を続け、導入を促進していくとともに、新たな施策にも取り組み、組合員の新しいくらしの実現を目指します。