【コラム】名作とともに振り返るPCゲーム市場の歴史

「イース6 Online」コラム

「イース6 Online~ナピシュテムの匣~」に関するプロモーションを展開しているマンハッタンピープルが、『イース』の歴史に関するプレスリリースを下記の通り発信致します。
 
「ファイナルファンタジー」「ドラゴンクエスト」と共に、アクションRPG(ARPG)創世期の金字塔とも呼ばれるゲーム界のレジェンド、「イース」シリーズ。
 
冒険家アドル・クリスティンが主人公のファンタジーアドベンチャーである本作は、1987年のシリーズ第1作発売以来、現在までに10作がゲーム化され、今なお世界中から熱狂的に支持されるメガヒットシリーズとなっています。
 
そして2021年春、このシリーズの中でも屈指の人気作である「イースⅥ~ナピシュテムの匣(はこ)~」が、シリーズで初めて「イース6 Online〜ナピシュテムの匣〜」としてスマホゲーム化することが決定いたしました。
 
本作を含め、一口にゲームといっても<テーブルゲーム>から始まり、<電子ゲーム>までその種類は多岐にわたります。<電子ゲーム>と聞くと今の時代はロールプレイングゲーム、つまりRPGを思い浮かべる方も多いのではないかと思いますが、今回は「名作と振り返るPCゲーム市場の歴史」と題し、今の若い人たちには新鮮かもしれない、そして40代以上の方には少し懐かしい、《パソコンゲームの黎明期》のお話を掘り下げていきます。(ライター:ゆきのかなめ)
 
 
◉電子ゲームのはじまり
そもそも昔はゲームといえばテーブルゲームのことを指し、将棋や囲碁、麻雀、トランプなどでした。それらも今や一人で遊べる麻雀ゲームや将棋、囲碁、トランプなど、様々なルールの下電子ゲーム化されています。
あのファミリーコンピュータ(以下ファミコン)を開発した任天堂ですら最初はテーブルゲームである花札の会社だったのです。それがファミコンの開発以降、今やゲーム機開発会社のトップ。プレイステーションで知られるソニーも後発ゲーム機メーカーです。現在、これだけゲームが一般化したのはゲームセンターだけだった電子ゲームを家庭用に普及させたコンシューマゲーム機と呼ばれる存在が不可欠でした。そんなファミコンが発売されたのは1983年。いまから38年近くも前の事なのです。
 
ここからはそんな80年代のゲーム事情を紐解いていきます。
 
◉ゲームセンターから家庭へ
ゲームの黎明期といえばインベーダーゲーム。
当時のブームは凄まじくサラリーマンもゲームセンターに通っていました。それまでにもゲーム機というものは何台か発売されてはいましたが、いまいち普及しませんでした。ところがファミコンの登場はその状況を一変させます。
 
あの大ヒットした「スーパーマリオブラザーズ」の大元であるファミコンゲームの「マリオブラザーズ」などが登場した当時のゲームといえばアクションゲームが主でした。ナムコの「ゼビウス」、「マッピー」、「ギャラクシャン」など多彩なゲームが作られ、今我々が良く知る<ゲーム>はテーブルゲームから始まりアクションゲームを電子化することによって始まったのです。ゲーム専用機というのはこのアクションゲームというジャンルが得意でした。
 
(著者 撮影)
(著者 撮影)
 
◉そのころパソコンゲームは?
一方当時のパソコンの性能はアクションゲーム向きではありませんでした。そのためパソコンゲームでは、現在は廃れてしまったアドベンチャーゲームが流行ります。「ミステリーハウス」に始まり「デゼニランド」、「サラダの国のトマト姫」、「ポートピア連続殺人事件」など数々の名作が世に出ました。記憶容量がゲーム専用機よりも大きいパソコンはゲームの内容の量が必要なゲームを得意としていきます。その意味で、RPGはまさにパソコンにうってつけのジャンルだったのです。
 
◉RPGはどこから始まった?
今でこそRPGといえば電子ゲームの一角を担っていますが、当時のRPGは、現在テーブルトークロールプレイングゲームと呼ばれる「ダンジョンズ&ドラゴンズ」に端を発するボードゲームっぽいものしかありませんでした。これは要するに、ロールプレイしたい仲間が集まり、一人がシナリオを作って提供、みんなで冒険ごっこをして遊ぼうというゲームで、そのシステムが売られていたわけです。(システムといってもコンピュータを使う訳ではなく、ベースとなるルールブックが売られていて、そのルールに則って遊んでいた。)
ところがこれでは一人では遊べません。そのためコンピュータの登場によって一人で遊べるRPGの登場というのは必然だったわけです。
 
◉いよいよRPGがコンピュータへ
そんな中で1984年、ゲームセンターにRPGっぽいゲームが登場します。
ナムコの「ドルアーガの塔」です。全60階からなるフロアを攻略していくアクションゲームなのにRPG色を伴った当時としては異色のゲームでした。当時はまだパソコンを持っていなかった人々はゲームセンターに通ったもの。後にファミコンで「ドルアーガの塔」は発売されます。
 
◉家庭で遊べるRPGの登場
そして今や日本のRPGの代表作ともいえる「ドラゴンクエスト」(以下DQ)がエニックスから発売されるのが1986年。「ファイナルファンタジー」(以下FF)がスクエアから発売されるのが1987年。それまでのRPG黎明期を支えたのはやはりパソコンです。1984年に発売された「ブラックオニキス」と1985年に発売された「ウィザードリィ」(日本)などが日本で遊ばれた黎明期RPGの代表格です。(ちなみに「ウィザードリィ」がアメリカでappleⅡ用に発売されたのは1981年。)
どちらも3Dダンジョンを攻略するファンタジーRPG。キャラクターメイキングをしてダンジョン攻略をするゲームで、ストーリー性は今と比べるとかなり薄かったと思います。そこにストーリー性重視のJRPGとも呼ばれるジャンルを確立した「DQ」、「FF」が登場します。日本において初めての本格ストーリーRPGが日の目を浴びていくわけです。
 
(著者 撮影)
(著者 撮影)
 
◉ヒットするための必要条件
この2作品がヒットしシリーズ化されて今日に至るわけですが、それは作品が名作であったことも確かにあるのですが、やはり発売されたプラットフォームがファミコン(当時\14,800)という激安な価格であったのが大きいです。つまり、ヒットするには名作であるというだけでなく発売されるプラットフォームも重要という事です。当時のパソコンはまだまだ敷居が高く、ひと通り揃えるとなると20万円~30万円。モニタも買わなくてはいけないからさらに高くなります。それがファミコンは家庭にあるテレビにつなぐだけで1万5千円です。普及するにはとてもお手頃な価格です。
 
◉当時パソコンは普及していない
ご存知の通り、パソコンはWindows95が出るまでは、まだまだマニアの物でした。PC88、MSX2、PC98、X68000と乗り継いでWindowsへ…。昔は今と違ってそれぞれ互換性がなく、機種というかOSがバラバラ。それがWindowsの登場によって統一化されて、市場規模として大きくなるまでパソコンゲームはゲーム専用機のゲームに内容で負けていなくても、発売本数で大きく水をあけられるのが当たり前だった時代です。
例えば「DQ」は売上150万本に対し、パソコンゲームで当時最大のヒットといわれた「ザナドゥ」は40万本でした。パソコンが普及していない80年代のパソコンゲームは、どんなにゲーム内容が良くても語り継がれる時代を代表される名作としての名声は得られなかったのです。
 
◉パソコンが普及した今だからこそ言える隠れた名作の数々
そんなマニアのプラットフォームであるパソコンがいまや誰もが持てるのが、当たり前の時代。そんな今だからこそ、昔の古き良きパソコンで発売された隠れた名作RPGを紹介していきます。
先に挙げた「ウィザードリィ」はファミコンに移植されていますし、ゲームとしても再現度は高かったと思います。また「ブラックオニキス」も一応はファミコンに移植されて少しばかりアレンジはされているもののゲームそのものの楽しさは再現されています。
 
そんな中でややマニアックかも知れない、パソコンが出発点となったゲーム。
まずは日本ファルコムから発売された「ドラゴンスレイヤー」シリーズの第2作「ザナドゥ」。それまでの3DダンジョンRPGではなく2Dでの平面RPGでアクション性を伴うゲームという、今のアクションRPGの原点を作り上げた1本です。ストーリーも確かにあるのですが、やはりキャラクターを強くしていくという楽しみ方がされたゲームといえるでしょう。人気は続き、続編である「シナリオⅡ」もあります。こちらは現在、Windowsでプレイが出来ます。
 
次にT&Eソフトから発売された「ハイドライド」シリーズの3部作、「ハイドライドⅠ~Ⅲ」です。このゲームも難易度が高く、マニア向けです。やはり今のアクションRPGの基礎を作り上げたシリーズで「ザナドゥ」がダンジョン攻略メインであるのに対しこちらはフィールドからダンジョンまでというオールラウンドタイプ。「ハイドライドⅢ」では重さの概念などを取り入れた斬新なシステムです。こちらも現在Windowsで遊べます。
 
そして当時、上記2作品と並んで好評だったクリスタルソフトの「夢幻の心臓」シリーズ。特に「夢幻の心臓Ⅱ」は名作でした。ゲームタイプとしてはアクション性ほぼ無し。「DQ」や「FF」といったターン制戦闘。特に「DQ」はこの「夢幻の心臓」の影響を受けています。こちらも現在Windowsで遊ぶことが可能です。
 
上記シリーズはメインプログラマーの天才っぷりが評判で、3人のゲームクリエイターによる対談がゲーム雑誌に掲載されるなど、ゲームクリエイターが表舞台に出てきた先駆け的存在となっています。
 
◉それまでのアクションRPGを進化させた名作
  
  © Nihon Falcom Corporation. All rights reserved
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そんな中でそれまでのパソコンゲームRPGを進化させた作品が市場に出てきます。
 
今回特にオススメする名作ですが、先の「ザナドゥ」を発売した日本ファルコムが1987年と1988年に開発した、今や伝説ともいえるシリーズとなったイース作品群の第1作目と第2作目、「イースⅠ」と「イースⅡ」。
「ザナドゥ」よりもストーリーを重視して開発された作品で、そのストーリーは必見です。ヴィジュアルがそれまでのゲームと比べて強化されたのも大きい。「イースⅡ」では、今では当たり前のアニメーションっぽいOPが採用されていたのも新鮮でした。ゲームシステムも程よくアクション性があり当時のRPGはゲームの難易度が高めのものが主流の中、「今、RPGは優しさの時代へ。」をキャッチコピーに絶妙なゲームバランスを実現しており、優しいけど易しくはないゲームでした。音楽も当時かなり注目を浴びた作品で、ゲーム楽曲制作で名高い古代祐三氏などが参加されています。
 
当時日本ファルコムは「ドラゴンスレイヤー」シリーズや「ソーサリアン」といったRPGに力を入れている開発会社であり、当時からのパソコンゲームプレーヤーで日本ファルコムを知らない人はいないといっても良いくらいの存在感ある会社でした。他にも後年、「英雄伝説」シリーズなどを発売していく良質のRPG作品を市場に供給し続けてくれている稀有な開発会社です。「イースⅠ」をPC8801mkIISR、「イースⅡ」をMSX2でプレイしており、是非ともオリジナルであるPC88版に忠実な移植とされているプラットフォームでプレイされることをお勧めします。
 
 
今回、最後に紹介したイースシリーズは現在ではWindows版も発売されており、スマートホンでもプレイが可能に。シリーズ作品も9まで登場していて、途中からプレイされている方も、この機会にイースの原典である「イースⅠ」と「イースⅡ」の前後編ともいえる壮大なストーリーに触れておくことをお勧めします。
 
その他のゲームに関しても当時の子どもたちの様子を想像しつつプレイしていただくと、よりひと味違うゲーム体験となることに違いないでしょう。
 
 
ゲーム概要
・タイトル:「イース6 Online〜ナピシュテムの匣〜」
・ジャンル:RPG ・価格:基本無料(一部ゲーム内アイテム課金あり)
・クレジット:© Restar Games. © Nihon Falcom Corporation All rights reserved.
 
イースシリーズとは――
日本ファルコムから発売されている冒険家アドル・クリスティンが世界各地の古代文明の謎を解き明かしていくアク ションロールプレイング。1987年のPC版シリーズ第1作「イース」発売以来、現在までに10作がゲーム化。30年以上に渡って描き続けられており、今なお世界中から熱狂的に支持されるメガヒットシリーズ。
 
「イースⅥ ―ナピシュテムの匣―」とは――
2003年に日本ファルコムからPC用ゲームとして発売されたアクションRPG「イース」シリーズの正式ナンバリングタイトル。冒険家アドル・クリスティンがカナン諸島を舞台に、“有翼人”の謎に迫る冒険が描かれる。前作「Ⅴ」を ベースに、これまでのシステムを総括した全く新しいシステムが採用されたシリーズ初の3D作品。スピーディで爽快感のあるバトルがゲームユーザーから高い評価を受けた。