スマートシティを推進し幸せを実感できるまちを実現  加古川市 デジタル技術を活用した令和6年度の取り組み

「スマートシティモデル都市」と言われる街へ

兵庫県加古川市では、2016年(平成28年)から「見守りカメラ事業」、「見守りサービス事業」をスタートさせました。

2017年(平成29年)からはスマートシティ(デジタル技術を活用して地域課題を効率的に解決するまち)の実現につなげるため、「データ利活用型スマートシティ推進事業」に取り組み、「加古川市スマートシティ構想」を策定し、「市民中心の課題解決型スマートシティ」を目指しています。
 市民のみなさまがより暮らしやすくなるよう、日常生活に関わることから、教育・子育て分野まで、スマートシティを推進する取り組みは多岐にわたりますが、今回はこれまでの取り組みと令和6年度に注目いただきたいポイントをご紹介いたします。

◆令和6年度 スマートシティ推進の注目ポイント

①日本初の取り組み「加古川市版Decidim」の改良

「Decidim」とは、オンライン上で市民と行政が対話して社会課題の解決につなげるツールとして、スペイン・バルセロナ市で誕生した「市民参加型合意形成プラットフォーム」です。
これまでスマートシティ構想の策定、加古川河川敷活用のアイデアなどの意見収集・交換、市内複合施設の愛称候補を決める際の投票などを実施してきた、市民が市政に対して意見を投稿できる加古川市独自の機能です。
 令和6年度は、市民のみなさまが市政をより身近に感じていただけるように、企業、大学、高校等と連携した「加古川市版Decidim」を活用した市政に関するワークショップを開催し、スマートフォンなどの身近なツールからもさらに閲覧しやすく、利用していただきやすいものに改良する予定です。

■加古川市 市民参加型合意形成プラットフォーム

https://kakogawa.diycities.jp/?locale=ja

■加古川市版 Decidim 資料 
https://www.city.kakogawa.lg.jp/material/files/group/10/r2-2-sumasikyougidecidim.pdf

➁ワンコイン浸水センサを活用した広域連携

加古川市が主導し、令和4年度から三田市と連携を開始し、今年度は加古川流域の自治体(三田市、西脇市、小野市、加東市、播磨町)に連携を拡大して、広域での減災及び治水対応力の向上を目指した実証を国土交通省の支援を受けて実施します。
実証に参加する各市町が設置した「ワンコイン浸水センサ」のデータを当市の「行政情報ダッシュボード」に表示し、各市町において浸水被害発生時の迅速な対応に活用するための効果検証を行います。将来的に一般公開することを目指しています。

【行政情報ダッシュボードの表示イメージ】

③見守りタグ検知アプリを用いた広域連携

 市内に設置している見守りカメラと高度化見守りカメラにはビーコンタグ(BLEタグ)検知器が内蔵されています。加古川市では、このタグを持ったお子様などがカメラ付近を通過すると、ご家族がアプリで位置情報履歴を確認することができる見守りサービスを提供しています。


 令和6年度は広域連携の実証実験として、近隣の三木市、三田市と連携し、各市で募った協力者にタグを携帯していただき、機能とスマートフォンアプリでの検知を検証します。
 この実証実験は、加古川市が事業効果を高め、広域的な社会課題の解決につながることを目指して近隣市町に実証への参加を打診し、三木市と三田市から快諾を得て実現しました。今回の実証結果を踏まえた広域事業化は令和7年からのスタートを目指しています。

◆スマートシティ推進におけるこれまでの取り組み

・ICT機器の導入で保育士の負担軽減と保護者の利便性アップ

 加古川市では、平成28年度に保育業務支援システムの導入や事故防止のためのビデオカメラの設置、令和2年度に午睡事故防止センサーの導入のための補助金制度を設立し、積極的に保育施設のデジタル化を推進しました。その結果、市内の認定こども園・保育園の80%以上がICT機器を導入しており、保育士の負担軽減や保護者の利便性アップにつながっています。
 令和3年度には公立園にも保育業務支援システムを導入し、毎日の登降園管理、出欠連絡や園からのお知らせの配信など、スマホやタブレットで完結できるようになりました。今後は、保護者への更なる情報発信をし、コミュニケーションを深めるツールとして活用する予定です。

・入園相談窓口のオンライン予約

 毎年、新年度の入園申込時期には、窓口が非常に混雑し、待ち時間が長いという問題がありました。そのため、令和3年10月から入園相談のオンライン予約を導入したところ、混雑・待ち時間の解消を図ることができ、一人一人のニーズに寄り添った丁寧な入園相談が実施できました。

・保育施設へのAI入所調整システムの導入

 令和4年度からAIによる保育施設への入所調整システムを導入しました。近年、共働き世帯の増加等により、保育施設への入所希望が増えており、手作業による入所調整に膨大な時間を要していましたが、AI入所調整システムの導入により、判定を迅速に行うことができました。その結果、削減できた時間を、入所保留となった方に空いている園を紹介するなど、待機児童の解消に向けた取組に充てることができます。

・見守りカメラで安心できる子育て環境を整備

 加古川市ではかねてより、市内に1,475台の見守りカメラを設置しています。令和4年には設置前の平成29年と比較して刑法犯認知件数が約4割減少しており、見守りカメラの設置効果が表れています。
昨年度は、従来の見守りカメラの機能に加えてAI機能を搭載した高度化見守りカメラを設置し、特にお子様がおられる市民の方々に安全・安心に暮らしていただけるよう努めています。また、見守りカメラの更新を順次行っており、令和6年度は700台を更新予定です。
これまで以上に犯罪や交通事故の未然防止を図り、市民のさらなる安全・安心と子育てしやすい環境の整備を進めていきます。

 

【昨年度設置した「高度化見守りカメラ」の機能】

■Ⅰ型(100台)
・悲鳴等の異常音を検知し、スピーカーと回転灯で警告します(夜間のみ)。
■Ⅱ型(50台)
Ⅰ型の機能に加え、次の機能があります(日中のみ)。
・自動車の危険運転を検知し、スピーカーと回転灯で注意喚起します。
・交通量や人流データを自動把握し、防犯や交通安全のほか、まちのにぎわいづくりにも活用します。

・市内の小学校1年生は無料で利用できる見守りサービス

 高度化見守りカメラには、既設の見守りカメラと同じく、ビーコンタグ(BLEタグ)検知器が内蔵されています。見守りサービスは、タグを持った子どもが見守りカメラ付近を通過すると、ご家族が位置情報履歴を確認することができるサービスです。加古川市では、市内の小学校1年生の児童は無料でご利用いただけます。
令和5年度から、「株式会社ミマモルメ」、「綜合警備保障株式会社」に加え、「ジョージ・アンド・ショーン株式会社」が見守りサービスの提供事業者に加わりました。市が所有する公用車や日本郵便株式会社の郵便配達用バイクにもビーコンタグ(BLEタグ)検知器を設置し、検知ポイントの拡大に努め、サービスをより強化しています。

・みまもりアプリで見守りボランティア

 子どもや高齢者等を見守るご家族の不安や負担を軽減し、地域全体で安全安心のまちづくりを目指すため、いつもの生活を送りながら「みまもりアプリ」を使っての見守り活動に取り組む見守りボランティアを推奨しています。
散歩などの外出の際に、お持ちのスマートフォンにインストールした「みまもりアプリ」の見守り機能をオンにすることで、見守りボランティアとして活動いただけます。

・ネット環境の整備~ICT教育を強力に推進するためのハイブリッド型通信環境も構築~

 令和3年度から「地域BWA(広帯域移動無線アクセス)※1」により、子どもたちが校舎内だけでなく、屋外や各家庭でも1人1台端末を活用することができる環境が整っています。
また、令和4年9月から市内の小学校17校339教室、中学校7校125教室で光回線サービスの利用を開始し、教室においてさらなる通信の高速化を実現しました。
 個々の普通教室に直接、光回線を1本ずつ敷く通信環境は全国的にみても類を見ない加古川市独自の取り組みのひとつです。
 令和5年度にはすべての市内小・中学校の普通教室に光回線を導入し、学校では光回線、家庭などでは地域BWAを活用できるハイブリッド型の通信環境の構築によって、GIGAスクール構想をさらに進めています。

※1地域BWA ※Broadband Wireless Access (広帯域移動無線アクセス)について
地域BWAサービスは、大手通信キャリアとは異なる2.5GHz帯の周波数の電波を使用し、地域の公共サービスの向上やデジタル・デバイド(条件不利地域)の解消等、地域の公共の福祉の増進に寄与することを目的とした電気通信業務用の無線サービス。通信する際に、使用される領域や規模が広いのが特長で、多くのデータ送受信を高速で行うことができる通信方法。
加古川市では、地域BWAの無線局免許を持つBAN-BANネットワークス株式会社と協力して市域全体をカバーし、教育環境に活用しています。

・行かなくていい窓口、書かなくていい窓口

① オンライン申請
インターネットから24時間いつでも簡単に申請ができます。
② 書かない窓口
申請書に署名するだけで手続きができます。

◆スマートシティ推進における市内(民間)の取り組み

 【民間事業者によるデジタル技術を用いた取組の技術実証を補助】

 令和5年度から民間事業者を全国から公募し、迅速な救急活動に向けたAI分析や高齢者向けのフレイル・認知症予防のためのオンラインコミュニティづくりなどのデジタル技術等を活用した技術実証を行っています。加古川市をフィールドとしてデジタル技術等を活用した技術実証を全国から公募し、採択した技術実証の支援として、経費の一部補助や実証フィールドの提供等を行います。
実証を踏まえ、未来の課題解決に向けた取り組みに生かしていきます。

 【シェアサイクルで人の流れを分析】

 令和4年度からJR加古川駅・東加古川駅などでは、スマートフォン1つで使えるシェアサイクルを導入しています。また、利用者の移動データを分析してまちづくりに生かします。

 【笑顔認証端末を複合施設「かこてらす」に設置し、笑顔の計測数に応じたおもちゃの寄付】

 加古川市では、市民意識調査などのアンケートでは回答を得ることが難しい子どもたちの笑顔の数を計測し、子どもの幸福感を見える化するため、令和5年2月17日から複合施設「かこてらす」で子どもの笑顔を計測するAIアプリを搭載したスマートフォン及びタブレットを全7台設置されました。
子育てファミリーを応援するニッケパークタウン様から、笑顔の計測数に応じて上限2万円相当(1笑顔=1円換算)のおもちゃを寄付していただくイベントを昨年度からスタートし、14,356円相当のおもちゃを寄贈していただきました。今年度も同イベントを2月8日から3月18日まで開催しました(結果は集計中)。

《加古川市スマートシティ構想とは?》

 加古川市では、デジタル技術の活用により、市民生活の質を高め、市民満足度の向上を図り、「誰もが豊かさを享受でき、幸せを実感できるまち加古川」を実現するため令和3年3月に「加古川市スマートシティ構想」を策定しました。市のさまざまな課題について、市民と解決する「市民中心の課題解決型スマートシティ」を目指しています。

  • オンライン上での報道資料公開●

PRTIMES(リリース):https://prtimes.jp/main/html/searchrlp/company_id/84250
PRTODAY(リリース・ニュースレターなど):https://www.pr-today.net/a00442/